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耐水ペーパーの使い方や種類、用途別の選び方について解説します

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サンドペーパーの一種である耐水ペーパーは、「熱を発生させづらい」「削った粉が飛び散らない」などの強みがある一方で、直射日光や湿気などに弱く、保管環境に気を付ける必要があります。

そんな耐水ペーパーですが、正しく管理し、使用することで様々な恩恵を受けられるため、DIYをはじめるなら知っておきたい知識の一つです。

ということで今回は、これからDIYに挑戦する方やサンドペーパーの基礎知識について学びたいと考えている方に向けて、耐水性ペーパーの基礎知識や用途別の選び方などについて解説していきたいと思います。

ぜひ、最後まで読んで参考にされてみてください。

耐水性ペーパーとは?どんな用途で使用する?

耐水ペーパーは、水に強い特性を持つ研磨材の一種です。このペーパーなら、水を使いながら素材を磨けます。

一般的な紙やすりとは異なり、水を使っても破れたり、接着剤が溶けたりしません。水を使ってやすりがけする前提で作られています。

では耐水ペーパーのおもな用途について見ていきましょう。

用途

解説

金属の鏡面仕上げ・精密仕上げ

水を使うため摩擦熱を抑え、削りくずの飛散を防ぎ、目詰まりを軽減できます。

プラモデルの仕上げ

水を使い、均一な表面に仕上げられます。

水に弱い素材の研磨

木材や水に弱い素材、特別な処理をしていない水性塗料の研磨に適しています。水を使わずに乾いた状態でも使用可能です。

屋外での使用

水に濡れても破れにくく、アウトドアでの利用にも適しています。

塗装前の下地調整

水を使って滑らかで均一な表面に仕上げられるため、塗装の仕上がりを向上させます。

水回りの水垢取り

水に濡れても破れにくいため、トイレやお風呂場の頑固な水垢を取り除くのに適しています。

上記のように耐水ペーパーは水を使う研磨作業や、水に濡れる環境での使用に適した紙やすりです。

金属やプラモデルの仕上げ、屋外での使用、水垢取りといった幅広い用途で活用されています。

耐水性ペーパーで水研ぎするメリット

そもそも耐水ペーパーを使って水研ぎをするメリットは、どういった点にあるのでしょうか?

まずは摩擦熱の軽減が挙げられます。水を使うと冷却水の役割を果たし、研磨時の摩擦熱を抑えられるのです。熱に弱い素材の変質や変色も防げるでしょう。

次に削りカスの飛散防止。水で削りカスを流しながら研磨できるため、削りカスが飛び散りません。目詰まりの軽減にも役立ちます。

ペーパーの目詰まりを防止できれば研磨力も長持ちし、均一な仕上がりが得られやすいです。

そして何よりも、滑らかな仕上がりになるのがメリット。水を使うと、滑らかで均一な仕上がりを実現できます。とくに金属の鏡面仕上げに最適です。

目詰まりを防げるので、空研ぎに比べてペーパーの交換頻度も減らせます。

以上のように水研ぎはメリットが多く、空研ぎに比べて効率的かつ美しい仕上がりを実現できる方法と言えるでしょう。

プラモデルや金属加工をする際、精密な研磨作業を行うならとくに有効な方法です。

耐水性ペーパーの番手の種類と用途別の選び方

耐水ペーパーは番手によって粒子の大きさが異なるので、研磨する素材や目的に応じて使い分けなくてはなりません。

番手が小さいほど粒子が大きく、荒い研磨に最適です。そして番手が大きいほど粒子が小さく、仕上げ研磨に適しています。

ここでは耐水ペーパーの番手の種類と、用途に合わせた選び方についてまとめました。

番手ごとの主な用途

耐水ペーパーは番手によって粒子の大きさが異なるため、研磨する素材や目的に応じて使い分ける必要があります。

番手の分類を表にまとめたので、それぞれの用途を見ていきましょう。

番手

粒子の大きさ

主な用途

#60~#180

粗目

木材や金属の荒削り、バリ取り、塗装の剥離。

#240~#400

中目

木材や金属の中仕上げ、塗装前の下地調整。

#600~#1000

細目

木材や金属の仕上げ研磨、塗装面の磨き。

#1200以上

極細目

金属の鏡面仕上げ、塗装面の最終仕上げ、水垢取り。

粗目は「#60~#180」の番手を指します。木材や金属の荒削りやバリ取り、塗装の剥離に使用。粒子が大きいため、素材を大まかに削れます。

中目は「#240~#400」です。木材や金属の中仕上げや、塗装前の下地調整に良いでしょう。粗目で削ったあとの表面も、より滑らかに仕上げられます。

細目は「#600~#1000」です。木材や金属の仕上げ研磨や、塗装面の磨きに使用。表面をより滑らかに仕上げ、光沢を出すのに最適です。

極細目になると、「#1200」以上が該当します。ここまで来ると金属の鏡面仕上げや、塗装面の最終仕上げ、水回りの水垢取りに最適です。

非常に細かい粒子で、高い光沢と滑らかさを実現できます。

用途別のサンドペーパーの選び方

耐水ペーパーを選ぶ際は、研磨する素材の特性を考慮しましょう。素材によって硬さや密度、熱への耐性が異なります。

適切な番手や種類の耐水ペーパーを使用しないと、効率的な研磨作業ができないだけではなく、素材を傷つけてしまうのです。

例えば木材は比較的柔らかく、熱に弱い素材ですよね。そのため粗目の耐水ペーパーを使いすぎると、表面を傷つけてしまいます。

一方で金属は硬く、熱に強い素材です。粗目の耐水ペーパーでガシガシ削っても、問題はありません。効率的に研磨できます。

プラスチックだと熱に弱く、柔らかい素材なのが分かるはずです。細かい番手の耐水ペーパーを使わなければなりません。

このように、素材の特性に合わせて適切な耐水ペーパーを選ぶ必要があります。

もう少し選び方について見ていくため、木材加工と金属加工、プラスチック加工と分けてご紹介しましょう。

木材加工の場合

木材加工では研磨の段階に応じ、適切な番手の耐水ペーパーを選ぶことが何よりも重要です。

各段階における、耐水ペーパーの選び方を解説します。

・荒削り(#60~#180)

この段階では木材表面の凹凸を整えたり、塗装を剥がしたりする際です。#60~#180程度の、粗目の耐水ペーパーを使用します。

とくに#80程度の耐水ペーパーは、ざらつきがひどい場合や接着剤が付着している場合の下研磨におすすめです。

・中仕上げ(#240~#400)

荒削りである程度整えた木材の表面を、さらに滑らかにする段階です。#240~#400の中目耐水ペーパーを使用してください。

木工や工作では、この番手で仕上げとすることもあります。

・仕上げ研磨(#600~#1000)

塗装前の下地調整やツヤ出し研磨には、#600~#1000の細目耐水ペーパーが最適です。

細目で丁寧に研磨すれば、木材表面をとても滑らかに仕上げられます。

木材加工も、粗目から細目へと段階的に番手を変えていきましょう。急に細かい番手に変えると粗目の研磨傷が残ったり、時間がかかったりします。

また硬い木材の場合は、より時間をかけて丁寧に研磨しなくてはなりません。

金属加工の場合

金属加工ではサビ取りや表面の仕上げ、鏡面仕上げと幅広い用途で耐水ペーパーが使用されます。

金属は硬く熱に強い素材なので、木材とは異なる選び方が必要です。

・サビ取り・荒仕上げ(#60~#180)

金属表面のサビ取りや溶接後の荒仕上げには、#60~#180程度の粗目耐水ペーパーを使用します。

とくに#80や#120になると、サビ落としや塗装前の下地処理が得意です。

粗目の耐水ペーパーは金属表面の凹凸を素早く均一にできますが、深い傷がつきやすいので注意しましょう。

・中仕上げ(#240~#400)

サビ取りや荒仕上げの後、表面をより滑らかにするには#240~#400の中目を使ってください。金属加工では、この番手で仕上げとすることも多いです。

中目の耐水ペーパーを使えば表面の細かな凹凸を取り除き、光沢のある仕上がりが得られます。

・仕上げ研磨・ツヤ出し(#600~#2000)

金属表面の最終仕上げや鏡面仕上げを目指す場合、#600以上の細目や極細目の耐水ペーパーを使用します。

#1000以上の番手は、キズを付けたくない金属面のツヤ出しに最適です。

細目や極細目の耐水ペーパーを使うと、金属表面を滑らかに磨き上げられます。高い光沢を得られるでしょう。

ステンレスやアルミニウムの鏡面仕上げには、#2000以上の超極細目が用いられます。

また金属加工では耐水性と耐久性に優れた「布やすり」や、「ポリネットシート」も使われることが多いです。

紙やすりよりも長持ちする上に、曲面の研磨にも最適。用途に合わせて選ぶとよいでしょう。

金属加工の場合、水を使った水研ぎが一般的です。水で削りカスを洗い流しながら作業を進めれば、目詰まりを防いで仕上がりを向上させられます。

プラスチック加工の場合

プラスチックは熱に弱く柔らかい素材なので、研磨の際は細かい番手の耐水ペーパーを使ったほうが良いです。

ではプラスチック加工に適した耐水ペーパーの選び方について、詳しく見ていきましょう。

・荒仕上げ(#240~#400)

プラスチック表面の凹凸を整える際は、#240~#400程度の中目から始めるのがおすすめです。

ほかの素材と違ってあまり粗い番手を使うと、プラスチック表面に深い傷がついてしまいます。

・中仕上げ(#600~#1000)

荒仕上げである程度整えたプラスチックの表面をもっと滑らかにするなら、#600~#1000の細目を使います。

※プラスチック加工では、この番手で仕上げとすることも多いです。

・仕上げ研磨・ツヤ出し(#1200以上)

プラスチック表面の最終仕上げや高い光沢を出したい場合、#1200以上の極細目を使用します。

とくにクリアパーツのような研磨には、#2000以上の超極細目ペーパーがおすすめです。

プラスチック加工では熱による変形を防ぐため、必ず水を使った湿式研磨(ウェット)で行いましょう。

水で削りカスを洗い流しつつ作業を進めれば、目詰まりを防いで美しい仕上がりになります。

またプラスチックは柔らかい素材なので、耐水ペーパーを強く押し付けすぎないように注意が必要です。軽い力で丁寧に研磨してください。

SiC(炭化ケイ素)を使用した耐水性ペーパーには要注意

耐水ペーパーを選ぶ際、研磨材の種類にも注目する必要があります。

中でもSiC(炭化ケイ素)を使用した耐水ペーパーは、その特性から使用用途が限られている点に注意が必要です。

SiCは非常に硬い研磨材で、金属の研磨には良いかもしれません。しかし木材やプラスチックに使用すると、表面を傷つけてしまう可能性があります。

ここではSiC耐水ペーパーの特徴と、使用する際の注意点についてまとめました。

発がん性物質として炭化ケイ素は指定されている

実はSiC(炭化ケイ素)、その発がん性が懸念されています。国際的には化学物質の分類において、発がん性物質に指定されている素材です。

国際がん研究機関(IARC)は、SiCファイバー(ウィスカー)を「ヒトに対して恐らく発がん性がある(グループ2A)」に。

SiC繊維を「ヒトに対して発がん性の可能性がある(グループ2B)」に分類しています。この分類は、動物実験の結果に基づいたものです。

また米国産業衛生専門家会議(ACGIH)も、SiCを発がん性物質(A2)に分類していました。

欧州化学品庁(ECHA)の報告書も見てみると、「SiC繊維の吸入ばく露による発がんリスク」が指摘されています。

SiC製造業従事者の疫学研究では、高濃度の粉じんばく露により肺がんリスクの上昇が検出されているほどです。

ただしSiC自体の発がん性よりも、粉じんばく露全体による影響の可能性が示唆されていました。

以上のようにSiCは、国際的な化学物質管理の枠組み内で「発がん性物質」として認識されています。規制の対象です。

SiCを含む耐水ペーパーを使用する際、粉じんばく露を最小限に抑える対策を講じなくてはなりません。

炭化ケイ素を使用した耐水性ペーパーは誰でも購入可能

SiC(炭化ケイ素)を使用した耐水ペーパーは、一般の方でもかんたんに購入できます。

実際にホームセンターやDIYショップ、工具専門店、オンライン通販サイトで広く販売されているほどです。

しかしSiCは国際がん研究機関(IARC)により、発がん性が懸念される物質に指定されています。粉じんばく露を最小限に抑えなくてはなりません。

適切な防塵マスクの着用や粉じん対策なしに使用すると、健康上のリスクがとても高くなります。十分に注意が必要です。

そんな危険なものなら、販売規制がかかっても仕方ないのでは?と思うかもしれません。

その状態でも SiC耐水ペーパーが一般に販売されているのは、SiCの持つ優れた特性があるからです。

SiCは非常に硬度が高く、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持ちます。また高温域でも強度の低下が少なく、耐摩耗性や耐熱性にも優れているほど。

さらに化学的な安定度も高く、金属や硬い素材の研磨に適しているのです。

とくに金属加工の分野ではサビ取りや表面の仕上げ、鏡面仕上げに SiC耐水ペーパーが重宝されます。

粗目から細目まで番手を選べるので、用途に合わせて使い分けられるのも利点です。

このようにSiCは優れた特性を持つ研磨材ですが、発がん性が疑われる物質でもあります。

SiC耐水ペーパーは一般の方でも入手しやすい反面、適切な防護対策をしないまま使用するのはとても危険です。

販売されている理由を理解したうえで、必要な粉じん対策を講じて使用してください。

まとめ

今回は、これからDIYに挑戦する方やサンドペーパーの基礎知識について学びたいと考えている方に向けて、耐水性ペーパーの基礎知識や用途別の選び方などについて解説しました。

このほかにもサンドペーパーに関する知識やDIYに関する知っておきたい知識は、まだまだあります。

ぜひ、そのほかの関連記事も読んで参考にされてみてください。