スピードスプレーヤーとは?種類や選び方、おすすめなメーカーについて解説します
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皆さんは、スピードスプレーヤーについてご存知でしょうか。
スピードスプレーヤーは薬剤を散布する際に使用する農業用器具で、中規模から大規模農業を営んでいる方が使用されています。
そんなスピードスプレーヤーですが、車体タイプや走行形式タイプ、ノズルタイプなどいくつかの種類が存在しますので、購入に迷ってしまう方も多いです。
ということで今回は、スピードスプレーヤーについて種類や選び方などの基礎知識から、購入するならおすすめしたいメーカーについて解説していきたいと思います。
薬剤散布を効率的にしたいと考えている方は、ぜひ最後まで読んで参考にされてみてください。
スピードスプレーヤーとは?どんな用途で使う?
スピードスプレーヤーは薬剤を散布する際に使用する農業用器具で、主に果樹園などの現場で使用されます。
スピードスプレーヤーは、本体に大型のファンが取り付けられているため、薬剤を高い場所や広範囲に散布することができますので、大規模農業をおこなっている場合は、導入される方が増えています。
農薬などの薬剤は小型の散布機やホースでも散布は可能ですが、大規模な農園になると散布に時間がかかってしまいます。
一方、スピードスプレーヤーであれば、走行しながら薬剤の散布がおこなえるため、作業時間を大幅に削減できます。
ちなみに、スピードスプレーヤーは走行方式によっても幾つかに分類され、種類によっては地盤が柔らかい場所や傾斜地での作業も可能ですので、選び方には慎重になる必要があります。
また、購入を検討しているスピードスプレーヤーのスペックによって、必要な免許の種類が異なります。少しでも公道の走行を必要とする場合は、必要な免許証の種類も把握しておきましょう。
スピードスプレーヤーの運転に免許は必要?
スピードスプレーヤーで少しでも公道を走行する機会があるのなら、運転免許は必要です。
ただし、道路交通法により、手持ちのスピードスプレーヤーのサイズや最高速度に応じて必要な免許の種類が定められています。
■普通免許/小型特殊免許が必要な場合
以下、全ての条件を満たす場合は普通免許/小型特殊免許が必要です。
- サイズ : 「長さ4.7m、幅1.7、高さ2.0m」以下
- 最高速度 : 15km/h以下
■大型特殊免許が必要となる場合
上記、普通免許/小型特殊免許の基準を1つでも上回る場合は、大型特殊免許が必要です。
スピードスプレーヤーの種類について
スピードスプレーヤーは、主に以下の基準で種類が分かれています。
- 車体タイプ
- 走行形式
- ノズルタイプ
それぞれ説明していきます。
車体タイプ
スピードスプレーヤーの車体には、「オープンタイプ」と「キャビンタイプ」の2種類があります。オープンタイプには屋根がないため、薬剤の散布時に防除ヘルメットやゴーグルなどの装備が必要です。
一方のキャビンタイプは操縦席に屋根やドアで付き、運転者を薬剤から守ってくるので、基本的に装着する必要はありません。
ただし、運転者の負担を軽減してくれる分、オープンタイプと比較して価格が高くなる傾向がある点は購入時に検討する必要があります。
また、そもそもオープンタイプ自体が少なくなっており、キャビンタイプしか取り扱っていないメーカーがあるのも現状です。
走行形式
スピードスプレーヤーは4輪駆動(4WD)や4輪操舵(4WS)をはじめ、3輪や6輪駆動など様々な圃場(ほじょう)に適した走行形式があります。
圃場→農作物を栽培する場所
圃場はデコボコしていたり傾斜があったりして走行しづらい場合が多いので、走行形式それぞれの特徴を理解して、地盤に適したタイプを選ぶようにしましょう。
4WDは柔らかい地盤(軟弱地)でも走行しやすいのが大きな特徴です。
4WSもしくは3輪は小回りの良さを求める場合に適しています。ただ、4WSがオフロードに強いのに対して、3輪は傾斜地に弱く基本的に平地でしか使えないのがデメリットです。
6輪駆動は6つのタイヤが付いているため、傾斜地や軟弱地に強く、安定した走行が期待できます。
また、現在は自走式のスピードスプレーヤーが主流ですが、ひと昔前はけん引きするタイプが流行していました。中古農機具店で購入する場合は、けん引タイプの可能性があるので注意してください。
圃場が広くて問題なく旋回できるのであれば、けん引タイプを検討してもよいでしょう。
ノズルタイプ
スピードスプレーヤーの噴霧ノズルは「標準タイプ」と「広角タイプ」の2種類があり、用途に応じた使い分けが必要になります。
例えば、みかんやりんごの木など高い位置まで噴霧する場合は、標準タイプを選ぶのが一般的です。逆に、ナシの木などあまり高さがない場合は、横に広がる広角タイプを使用します。
これ以外にもメーカーによって様々な種類のノズルがあり、木をはじめ噴霧する対象が実際にどのような状態になっているかでも使い分けは変わってきます。
スピードスプレーヤーの選び方
次にスピードスプレーヤーの選び方について解説していきます。
圃場の形態に合わせる
スピードスプレーヤーは圃場の形態に合わせて選ぶようにしましょう
自分の農園に合うスピードスプレーヤーを選びやすくなるように、立木向き・棚園向き・わい化園向き・みかん園向など、適した圃場の形態を明確にしている製品もあります。
薬剤タンクの容量
スピードスプレーヤーの薬剤タンクの容量は、一般的に「500・600・1,000」Lに分類されます。圃場が大規模になるほど容量が大きい方が効率的に散布できますが、その分価格は上がりやすいのが問題です。
育てている農作物が何か・どれくらいの数かによっても適量は異なるので、何度も補充する必要がない丁度いい容量を見極めましょう。
ポンプの吐出量
1分間で薬剤を噴霧できるポンプの吐出量にも着目しましょう。
吐出量が多ければ多いほど1回で大量の薬剤を噴霧でき、適切なシーンで利用すれば作業の効率アップにつながります。
ただし、圃場の広さや農作物によっては、1度に噴霧される薬剤が過剰になってしまう場合もあるので、よく検討したうえで選ぶようにしましょう。
エンジン出力の値
エンジンでスピードスプレーヤーの車体を動かす際に発揮する力である「エンジン出力」の値はスペック表で確認しておきましょう。
単位はKWやPSで表され、値が大きいほど馬力が大きくなります。
スピードスプレーヤー使用時の注意点や事故について
次にスピードスプレーヤーを使用する際の注意点などについて解説していきます。
作業中・移動中の事故に注意
スピードスプレーヤーは公道に出ない分には免許はいりませんが、私有地内でも転倒や衝突をはじめ多くの事故が起こっています。
中でも横転事故は圃場間を移動する際に起こりやすいといわれています。薬剤タンクの容量が大きいほど車体全体が重くなり、カーブを曲がる際にバランスを崩しやすくなるため危険です。
農道は舗装路と比較して転倒の危険性が上がるので、走行時は十分に速度を落とすようにしましょう。
スピードスプレーヤーを使用する際は、他にも以下の点に注意しましょう。
- 撤去できる障害物は事前に片付けておく
- スピードが出ている状態で急にハンドルを切らない
- わき見運転は厳禁
- 段差・斜面に注意
ドリフトに注意
ドリフトとは、農薬が散布する対象の農作物以外に飛散することです。スペードスプレーヤーは走行しながら大型のファンを回して農薬を散布するため、ドリフトが起こりやすい問題があります。
風がある日はもちろん、圃場が他の家の畑に隣接している場合などには特に注意が必要です。
使用時の注意点
スピードスプレーヤーの適切な使用方法を守らないと、十分な効果が得られない場合もあります。
特に「薬剤を攪拌する時間」と「薬剤の散布量」には注意しましょう。
スピードスプレーヤーの薬剤タンクは、攪拌機で薬剤と水を攪拌する仕組みになっています。しかし、十分に攪拌される前に作業を開始してしまうなど、攪拌が不十分だと防除効果が下がってしまう薬剤もあるため注意が必要です。
薬剤を散布したはずが虫に農作物を荒らされるなど、後々のトラブルを避けるためにも十分な攪拌を意識するようにしましょう。
また、手で農薬を散布するのと同程度の防除効果を得るには、10aあたり400L程度の散布が必要といわれているので、作業やタンクを選ぶ際の目安として覚えておきましょう。
メンテナンスで注意するポイント
スピードスプレーヤーはメンテナンス次第で30年以上持つといわれ、中古市場での人気も高いです。
日々のメンテナンスをしっかり行うことで、高値で引き取ってもらえる可能性もありますが、メンテナンス時には、これから解説する2つのポイントに注意する必要があります。
消毒をして、車体についた薬剤は水で洗い流す
消毒作業で使った石灰・酸性系の薬剤を車体に付いた状態で放置すると、サビや劣化が進行してしまいます。消毒後は水で薬剤の成分をしっかり洗い流しましょう。
冬期はポンプや噴霧口の凍結に注意
例えば、上記で紹介した消毒作業の薬剤を水流した際などにポンプや噴射口に水分が残っていると、冬場であれば凍ってしまう場合もあります。
最悪の場合は破裂してしまうこともあり、非常に危険です。
冬期でしばらく使用する機会がない場合は、クーラント液と水をタンクに入れて、後方の吹き出し口から噴射した後に保管することで(多くの場合)解決します。
スピードスプレーヤーを買うならおすすめしたいメーカーと製品特徴
スピードスプレーヤーはメーカーごとに様々なライナップがあり、それぞれ特徴も異なります。
予算と相談しながらも、作業中の事故を防止する観点から環境に合わせて安全に使用できる製品を選びたいところです。
各メーカーの特徴を把握し、購入するスピードスプレーヤーの目星を付けていきましょう。
共立
共立は株式会社やまびこジャパンが展開する農業具ブランド。スピードスプレーヤーを国内で最初に販売したメーカーとして有名で、現在も共立ブランドとして確立しています。他にもチェンソーをはじめ、様々な農機具の開発を手掛けています。
600Sシリーズ「SSVH6061FSC」は、マルチアクションディスプレイを導入し、圃場に応じた農薬の散布が可能です。また自動散布モードを搭載し、走行速度に応じて圧力調整を自動で行えます。
さらにギアチェンジをする必要なく任意の速度に調整可能なHST変速機構など、様々な機能があるのが特徴です。
歩行型シリーズを除いて最も安価な「SSVH535FKN」は、コンパクトな作りで棚園に適しています。HSTを採用しているため、1本のレバー操作のみで無段変速と前進・後進などの切り替えが容易です。
共立は新規開発にも一層力を入れ、2015年には世界初である電動式を発売しました。
一般モデルも「500L・600L・1000L・歩行型」を展開するなど、現在も利用者のニーズを的確に捉え、製品開発から改良まで日々進化を続けています。
丸山製作所
丸山製作所は工業用ポンプやエンジンの開発に定評があるメーカーです。
その開発ノウハウをいかし、噴霧機をはじめとした防除機において国内トップクラスのシェアを誇り、スピードスプレーヤーの開発にも力を注いでいます。
製品全体として使い安さ・安全性にこだわり、運転席を広くする一方で車体はコンパクトな設計にすることで、無断のない起動力を生み出せるのが特徴です。
ライナップも豊富で、走行方式は4WD・4WS・6WD、タンク容量も500~1,000Lと幅広くあります。
丸山製作所のスピードスプレーヤーで最も安価な棚園専用の「SSA-E501DX」は、オリジナルの5連ポンプを搭載した、シンプルで使いやすいモデルです。
5連ポンプは薬剤が一方向に流れるため、一定の流量と圧力を確保しやすいメリットがあります。耳障りな騒音を軽減できる仕組みも取り入れており、静かな環境で作業できるのも嬉しいポイントです。
他には長い時間座っても疲労を感じづらい「DXシート」など、快適に使用するための工夫が随所に見られます。
ショーシン
ショーシンはスピードスプレーヤーの開発を手掛けて60年の歴史を誇る、日本国内の代表的なメーカーです。
ラインナップは当然豊富なため、自分に合ったスピードスプレーヤーを見つけるためにも、候補に入れたいメーカーといえます。
4WDで最も安い「3S-C522」をはじめ小型で扱いやすさを重視したモデル、下枝の低い立木圃場でも快適に散布できるキャビンタイプ「3S-FSC601TLG」などが有名です。
立ち木、わい化向きなど圃場の形態に合わせた製品はもちろん、高風量を確保しながらも静音性を保てる「静音湾曲ファン」はショーシンの大きな強みといえます。
まとめ
今回は、スピードスプレーヤーについて種類や選び方などの基礎知識から、購入するならおすすめしたいメーカーについて解説していきました。
この他にも農機具やDIYに関する知っておきたい知識や情報は、まだまだあります。
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