NEWS
新着情報

シリコングリスとは?種類やメリット・デメリット、使用できない素材について解説します

ハンズクラフトのロゴ

ハンズクラフト西日本最大級の工具専門リユースショップです。

ハンズクラフト【工具専門】西日本最大級の総合リユースショップです。

当店は創業20年以上、工具・家電を中心に扱うリユース専門館です。お買取りした中古品を綺麗にメンテナンスして新たな価値を吹き込み、福岡・北九州地域を中心に沖縄や山口・広島まで9店舗を展開中です。各記事は工具専門のスタッフや、工具・家電の修理専門部門が監修・執筆しています。

シリコングリスは、幅広い用途で使われる潤滑剤です。自作PCに興味がある方なら、CPUに使用するグリスとしてその名前を知っているかもしれません。

しかし、シリコングリスについてその種類やメリット・デメリット、使用できない素材などについて理解している方もたくさんいます。

ということで今回は、シリコングリスについて解説していきたいと思います。

これからシリコングリスの購入を検討されている方は、ぜひ最後まで読んで参考してみてください。

シリコングリスとは?

シリコングリスはシリコンオイルをグリス状にしたもので見た目や形状も、一般的なグリスと変わりません。

一般的に使われるグリスとの違いはベースとなっている素材が異なる点で、それにより特性も異なります。

■一般的なグリスとシリコングリスの用途の違い

  • シリコングリス: 電子機器や高温環境、耐水性が求められる場面での使用に適しています。
  • 一般的なグリス: 機械などの可動部の潤滑目的や耐圧性が求められる場面など広い用途に適しています。

ただし、一般的なグリスといってもその種類は様々で、全ての特徴を覚えておくのも大変だと思います。

そもそもグリスは潤滑や防錆、シーリングや異音防止と言った幅広い目的で使われるものです。

一般的な石油系グリスが金属同士の潤滑に強い一方で、シリコングリスはプラスチックやゴム製品の潤滑に適しているなど、幅広い用途の中から使用目的に合わせてベースとなる素材を使い分ける必要があります。

シリコングリスの特徴

シリコングリスは、下記のような特徴があります。

  • 耐熱・耐寒性がある
  • 耐変色性がある
  • 耐水性がある
  • 耐酸化性がある
  • 低温でも固さが維持される

シリコングリスは幅広い温度で使用できるため、活用できる場面が多いです。製品により、その温度域は-50℃から250℃になることも。

熱による変色にも強く、高温下でも色が変色しにくい点もシリコングリスのメリットだと言われています。とはいえあまり高温だと、酸化が進みやすいので注意が必要です。

また、シリコングリスは耐水性もあり、水が触れるような場所でも潤滑が維持されますので、防錆対策として使われることもあります。

ちなみに、一般的に使われている石油系グリスは酸化による性能劣化が著しい点がデメリットだと言われていますが、シリコングリスは酸化しづらいという点も強みだったりします。

どんな用途やシーンで利用されている?

シリコングリスの用途は、おもにプラスチックやゴム製品の潤滑です。実はグリスの種類によって、ゴムやプラスチックを侵してしまう可能性があります。

しかしシリコングリスであれば、ゴムや樹脂であっても悪影響は出にくいです。具体的に使える製品は、下記を参考にしてください。

  • 釣具
  • おもちゃ
  • カメラ
  • 時計
  • パソコン
  • OA機器
  • プラスチック、ゴム製パーツ類

シリコングリスは、樹脂・ゴム製品の潤滑に向いています。金属同士の潤滑も素材や状況により可能ですが、一般的には向いていません。

とくに強い圧力がかかってしまう部位では、シリコングリスを使用すると被膜の形成ができなくなります。

金属同士はとくに圧がかかる場所も多いため、焼付きの原因となるでしょう。この特性こそ、シリコングリスが一般的に使われない理由の1つとなっています。

シリコングリスの種類

グリスには、半個体タイプとスプレータイプがあります。

中身はほぼ同じですが、粘性の違いから特徴が異なる点にご注意ください。

この項目ではそれぞれの特徴と利用シーン、詳細についてまとめました。

半個体タイプの特徴と利用シーン

半個体タイプのシリコングリスは、ドロッとしたペースト状になっています。

よくチューブタイプで売られており、歯磨き粉のように絞り出して使用するイメージです。

使う際のテクスチャもねっとりとしたもので、滴下や飛散が少ない特徴を持っています。長期的な保存が可能な点も特徴的。

半個体タイプは耐熱・耐寒に特化した製品もあり、利用シーンも幅広いのでオールマイティーな製品と言えるでしょう。

そのまま絞り出したものを手で塗ることもあって、あらゆる場面で使える特徴があります。

長期的な保存もしやすく、普段から愛用している方は半個体タイプを選ぶ傾向にあるようです。

ただし付けすぎると凹凸が出てしまうため、塗りすぎに注意しなくてはなりません。塗り方の自由度が高い一方で、やや細かい場所のグリスアップには不向きです。

スプレータイプの特徴と利用シーン

スプレータイプのシリコングリスは、半個体タイプよりもやや液状に近いシリコングリスです。

※製品によって、スプレー直後から半個体タイプのようなものもあり。

先端が細いノズルを使えるため、細部に注入する潤滑がしやすいです。手が汚れる心配もなく、広範囲に使用できます。

また塗り方に工夫が必要だった半個体タイプと異なり、シリコングリススプレーは仕上がりがほぼフラット。ベタつきもほぼありません。

細かいスキマや細部に塗布したい場合は、スプレータイプのシリコングリスを使うと扱いやすいでしょう。

シリコンオイルスプレーとの違いは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。オイルとの違いは粘度で、長期的に留まるか否かの違いがあります。

※シリコンオイルスプレーの場合、粘性が低いので長期的な潤滑は不向き。定期的な注入が必須です。

細部の長期潤滑が目的なら、シリコングリススプレーを使用してください。オイルよりも保持でき、メンテナンス性が高まります。

シリコングリスのメリットとデメリット

シリコングリスにはメリットが多い一方で、デメリットも存在しています。

一般的に使用されるケースが少ないのは、このデメリットが関係していると言えるでしょう。

事前にメリットとデメリットを押さえておけば、使用する際に役立ちます。詳しく特徴をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

メリット

シリコングリスを利用するメリットは、下記の3つです。

  • 使用できる温度域が広い
  • 酸化しにくく機械的安定性が高い
  • ゴムや樹脂製品を痛めない

シリコングリスは製品によって、-50℃から250℃までの温度域に使用できます。石油系グリスの場合、高温用を除いて150℃以下までが許容値です。

また一般的なグリスは熱による劣化、形状変化がデメリット。とくに低温下での硬化により、低温作動性が悪くなりやすいです。

しかしシリコングリスなら低温下でも固さが変わらず、非常に安定した性能を持っています。

酸化もしにくく、グリスとしての理想的な性能を兼ね備えていると言われるほど。

ゴムや樹脂製品を痛める心配も無いので、幅広い製品の潤滑や修理に使われています。

デメリット

シリコングリスのデメリットは、「金属同士の潤滑に向かない」という点です。

基本的にグリスは被膜を作り出すことで、直接金属が触れ合わない状況を作ります。金属同士が触れて圧力を受け続けると、摩擦熱が発生してしまうでしょう。

そのため被膜を形成しやすいグリスこそ、強い圧力を受け続ける場所に最適なのです。

とはいえ一般的なグリスだと、ゴム製品や樹脂を侵しやすい。こういった点から、シリコングリスとほかのグリスで棲み分けができていると言えます。

金属同士の潤滑には向かないと言っても、鋼対アルミ、鋼対ゴムといった場面なら効果を発揮しやすいです。(鋼同士はやや不向き)

そのためブレーキキャリパーや、ゴム製シール部品を組み付けるときに使われます。

もし潤滑をしようと思った部位にゴムが含まれているなら、シリコングリスを利用したほうが良いかもしれません。

そうでなければ、シリコングリス以外の利用を検討したほうが良いです。(特性を理解し、問題なく用途に合っているシリコングリスなら使用可)

利用時に不安がある場合は、製造メーカーに問い合わせを行ってみてください。

シリコングリス使用時の注意点

シリコングリスを利用する際の注意点は、下記の3つです。

  • グリス同士を混ぜない
  • 保管時は蓋を開けっ放しにしない
  • 高温下に置きすぎない

シリコングリスは高い性能を持つ一方で、使い方を誤れば性能は発揮できません。事前に注意点を押さえておき、正しく利用するようにしてみてください。

グリス同士を混ぜない

シリコングリスに限らず、グリスは混合してしまうと性能が変化しやすいです。

とくに潤滑特性や極圧特性が低下すると、うまく潤滑できずに部品を破損させてしまうケースがあります。

意図しない変化が現れた場合、最悪事故へつながってしまう可能性も考えられるでしょう。

グリスは使う場所に応じ、定められたものが販売されています。できるだけほかのグリスは混ぜようとせず、単体で使うようにしてください。

保管時は蓋を開けっ放しにしない

とくにシリコングリスの半個体タイプを利用する場合、蓋を開けっ放しにして放置しないよう注意しましょう。

シリコングリスは粘度が高いため、異物を吸着しやすいです。蓋を開けっ放しにしていたせいで砂が入り、そのまま潤滑に使用してしまうこともあるでしょう。

砂がついたまま潤滑すると傷が入りやすいだけではなく、想定した潤滑能力を大幅に下回る可能性も高いです。

また砂のような目に付く汚れであれば取り除けばいいものの、見えない汚れの場合は気付かずに使ってしまうケースが想定されます。

潤滑部に細かい傷が入ると使い物にならず、結果的に全交換となる可能性も考えられるでしょう。こういった事態は防がなければなりません。

スプレータイプの場合は噴射されるまで外気と触れ合わないので、保管方法に気を使う必要はありません。

後述する高温状態になりすぎないようご注意ください。

高温下に置きすぎない

シリコングリスは耐寒・耐熱性が高いため、高温下での使用も問題ありません。

しかし問題なく利用できると言っても、長く高温にさらされれば劣化してしまいます。

一度劣化したシリコングリスは、温度が下がっても劣化したままです。一定以上、加熱されるような環境は避けましょう。

あまり高温下にさらされる想定なら、注入頻度を高めれば大丈夫です。

ちなみにスプレータイプはその特性上、噴射にガス圧を利用しています。真夏の車内といった環境だと、ガス圧が高まりすぎて破裂する危険性もあるでしょう。

保管する環境には十分気をつけてください。

シリコングリスが使用できない素材について

シリコングリスは幅広い用途に使えるものの、金属同士の素材を潤滑する際は注意が必要です。

とくに強い圧力を受け続ける場面では、適切なオイル被膜が保てません。

グリスはある一定の被膜を保ち続けることで、強い潤滑作用を発揮します。シリコングリスの場合、その作用が実現されるには制限があると思って良いでしょう。

とはいえゴムや樹脂を侵さないため、金属×ゴムや樹脂という組み合わせであれば問題はありません。

誤って金属同士の潤滑に使用してしまった場合、焼付きや事故の原因となります。十分に注意しながら使用してみてください。

まとめ

今回はシリコングリスについて種類やメリット・デメリット、使用できない素材について解説していきました。

この他にも知っておきたい知識はたくさんあります。

ぜひ、その他の関連記事も読んで参考にされてみてください。