電動工具メーカーの世界ランキングやシェアについて解説します
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皆さんは日本の工具メーカーの世界的な位置づけや世界で活躍している工具メーカーをどれだけご存知ですか。
とくにDIYを始めようとしている方やこれからDIYを始める方は、日本の電動工具メーカーだけでなく、海外の電動工具メーカーについても知って、幅広い選択肢の中からご自身にあったメーカーや電動工具を選ぶことが大切です。
ということで今回は電動工具メーカーの世界ランキングなどを中心に解説していきます。
これから初めての電動工具の購入を控えている方は、ぜひ、参考にされてみてください。
電動工具メーカー、世界ランキング(シェアランキング)
まずは電動工具の世界ランキングについて見てきます。
データは、様々な業界や市場の分析をおこなっているディールラボから引用しています。
1位:スタンレー・ブラック・アンド・デッカー 19.1%
2位:テクトロニック・インダストリーズ 13.0%
3位:マキタ 9.6%
4位:ボッシュ 8.6%
5位:ヒルティ 4.1%
こちらのデータは少し古いですが、2021年時点での世界市場のシェア率を表しています。
この結果を見ると、世界ランキング上位に日本のトップメーカーであるマキタが食い込んでおり、こちらのランキングには乗っていませんが、京セラと工機ホールディングス(HiKOKI)と続きます。
こちらの掲載元データを見て頂けると分かるのですが、実は世界シェアでは工機ホールディングスより京セラが上位に位置しています。
国内でのブランド力で言えば、工機ホールディングス(HiKOKI)の方が高いと感じる方も多いのではないかと思われますが、市場シェアで見てみると京セラの方が売上規模は大きいようです。
ちなみに、京セラが買収したRYOBIは国内事業を展開している元々のリョービ(リョービ株式会社の電動工具事業)の方であり、世界シェア2位を誇る香港のテクトロニック・インダストリーズ(TTI)の傘下にあるRYOBIとは別会社です。
世界の電動工具メーカーの特徴
世界の電動工具メーカーの一覧と特徴を解説していきます。
スタンレー・ブラック・アンド・デッカー
スタンレー・ブラック&デッカーは米国を代表する世界最大級の電動工具メーカーで、さきほどのデータは世界シェアトップに君臨していた老舗ブランドです。
2010年にスタンレー・ワークスとブラック・アンド・デッカーが経営統合をして誕生し、世界シェアトップに君臨し続けています。
赤と黒でコーディネートされた電動ドリルはプロ・アマ問わず有名で、1916年に世界初のピストルグリップ型のインパクトドライバーを開発したことでも知られています。
また、充電式の電動工具を世界で最初に実用化したのも、このブラックアンドデッカー社です。
現在はパワーツールだけではなく、電動バリカンなど園芸工具やコードレスの掃除機など家電全般への参入も行っているメーカーになっています。
ちなみに「スタンレー・ブラック・アンド・デッカー」は、世界最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所に上場しており、世界随一の企業であります。
テクトロニック・インダストリーズ
テクトロニック・インダストリーズは香港に本拠を置く1980年創業の会社で、電力機器製品事業を行う事業会社ですが、投資持株会社という側面も持ち合わせている会社です。
TTIの名称で知られ、リョービの海外事業の買収や最近では、ミルウォーキージャパンを設立したのも、このテクトロニック・インダストリーズだったりします。
その他にもテクトロニック・インダストリーズは、様々なブランドのOEM(他社ブランドの製造)をおこなっている会社ですが、最近は積極的なM&AによりOEMから自社ブランド生産へのシフトしているようです。
小売向けおよび業務用の両方で使用できるコードレス電動工具は、ニッチな分野でテクトロニック・インダストリーズにはこのジャンルに定評があります。
またリョービONE+ブランドのコードレス工具は、2018年に2桁台の売上高伸び率を記録し、ミルウォーキーブランドの2018年の売上高は28.2%増でした。
テクトロニック・インダストリーズは、かなり経営戦略に強く、幅広い販路とマーケティング力で急成長しています。
マキタ
マキタは1915年に牧田茂三郎氏によって設立された、牧田電機製作所を源流とする電動工具メーカーです。
国内シェアは60%を超え、世界でもトップクラスのシェア率を誇ります。
マキタは高品質で信頼性の高い電動工具を世界に送り出しており、高出力で効率的に作業をおこなうことができるブラシレスモーターや長寿命で高品質なリチウムイオンバッテリーを採用した電動工具が多いです。
またプロ用モデルの多くは耐久性の高い設計が施されており、軽量で高耐久性でありながら、高いパフォーマンスを発揮できるよう設計されています。
さらに、アフターサービスも国内トップクラスで充実していて、日本国内であれば数日で全国の支店で修理ができるという強みも持ち合わせています。
技術面においても、独自の低振動機構AVTや充電性能を高めたリチウムイオンバッテリの開発など、次々と業界をリードする技術を確立してきました。
こうした最新技術を世界各地のニーズにマッチする製品に展開することで、人の暮らしと住まいに役立つ工具の国際総合サプライヤーを目指している企業でもあります。
ボッシュ
1886年にロバート・ボッシュ氏によってシュトゥットガルトに設立された精密機械と電気技術作業場を起源とするドイツを代表する総合電機メーカーです。
世界的なテクノロジー企業で、自動車部品サプライヤー大手として産業用機器や車載用機器を主力事業としています。電動工具事業も伝統的に強みを持ち、1928年に電動工具部門をスタートしました。
最初の製品は電動バリカンでしたが、自動車電装品で蓄積されたノウハウを活かし1932年にハンマードリル、1946年にはジグソーを世界で最初に世に送り出しました。
2015年現在の売上額はグループ全体で525億ユーロ(約7兆円)で、電動工具部門では販売金額は40億ユーロとなっています。従業員数は30万人を超える超巨大企業です。
ドイツはもともと「安全」にはとても気を使う国で、電動工具の二重絶縁構造というのもボッシュが世界で初めて導入しました。
落下しても壊れにくく、ブルーボディのものはクルマで踏んでも壊れないほどの強度があるのです。
「必ずどんな条件でも達成できるもの」ということを重要視し、ドイツのクルマのスペックがアウトバーンでの走行で、実感できる数値としているところと通じる「まじめさ」がボッシュの特徴といえます。
ヒルティ
リヒテンシュタインに本拠を置く建設用の大手工具メーカーです。
世界120ヶ国以上に拠点を置くヨーロッパを代表する多国籍企業の1つで、2008年のヒルティ社の売上は約47億スイスフラン(日本円では6,864億)となります。
建設現場で使われるドリルやブレーカー(ハツリ機)、鋲打機、あと施工アンカーなどがヒルティの主力商品です。
ヒルティはファスニングメーカーを名乗り、物の取り付けに関る材料と工具を現場の全工程において提供しています。
欧州においては高級路線の電動工具メーカーとして圧倒的存在感を示し、付加価値として、先駆的な機能・性能に加えて、疲れにくさや洗練されたデザイン、盗難防止装置等、性能表にあらわれない部分にも力を入れています。
また建設現場では、鋲打機やハンマードリルを「ヒルティ」、内コーン式打ち込みアンカーを「ヒルティアンカー」と呼ぶことがあるほど、建築現場では人気。
ヒルティの経営方針は、大規模な敵対的企業買収をせず、労働者の処遇を優先・尊重するメーカーとして有名です。
その他の工具メーカーの特徴
次に、その他の工具メーカーについて解説していきます。
京セラ
京セラは、稲盛和夫氏によって1959年に設立された日本を代表するセラミックメーカーです。
セラミックにおける焼結技術を活用するべく、工具の分野では、2011年にデンマークの超硬工具メーカーのユニメルコ、2016年に米超硬工具メーカーのSGSツールカンパニーを買収しています。
複写機分野も手がけ三田工業を買収しドキュメントソリューションを強化しています。太陽光のモジュールも展開しています。
電動工具では2017年に住宅向けくぎ打ち機大手の米SENCOホールディングスを買収して事業を拡大しています。
そしてマキタ、Hikokiに次ぐ国内3位の電動工具メーカーのリョービが子会社にあることも有名です。
子会社の「京セラインダストリアルツールズ」が製造・販売を行っています。
リョービは1943年に創業し、元々ダイカスト製品の製造販売を中心に展開していました。1960年代にダイカストで培った技術で、電動工具事業に参入します。
その後アメリカに生産拠点を設立し、日本のダイカストメーカーとしては初めての国外進出を果たします。
現在は国内に7ヶ所の営業所と4ヶ所の工場があり、リョービだけでも7745名もの社員が在籍し、かなりの大企業となっています。
工機ホールディングス
日本を代表する電動工具メーカーで、2015年にフランスの大手電動工具メーカーのMetabo社を買収しています。
元々は日立グループに属していましたが、2017年に米国の投資ファンドのKKRが日立工機を買収し、独立を果たしました。
Hikokiブランドをメインで展開し、マルチボルト蓄電池の活用によりコードレスを実現する「マルチボルトシリーズ」を、世界戦略商品としてグローバルに積極的に展開しています。
工機ホールディングスは、アジア・欧米を中心に約30の国・地域に計37拠点を持ち、海外売上比率は欧米を中心に約7割、海外生産比率は約9割を占めています。
MAX
マックス株式会社は高い信頼性と人気のあるエアー工具メーカーです。釘打機やエアコンプレッサなどをラインナップしており、テープラーと釘打機の国内最大手とされています。
国内一貫生産を徹底しており、マックスは品質の高さが職人たちから信頼されているメーカーです。主力製品については二年間の保証制度があるので、安心して使用できる点も魅力。
他メーカーと比べると消費者のニーズに強く対応している商品を市場に送り出しているので、長い間マックス製品を愛用している消費者も多く存在します。
パンチ、タイムレコーダー、ラベルプリンタ、エアドライバなどの電動工具、床暖房装置や浴室暖房などの住環境機器なども製作しているのも特徴です。
パナソニック
パナソニックは電動工具メーカーとしてのシェアはそこまで大きくありませんが、世界中でその名前を知らない方はいないのではないでしょうか。
もともと古くから充電式工具を販売しており、販売開始から数えると実に40年以上の歴史があります。
一般的なホームセンターで見かけることはなく、電設業や工事現場・職人といった専門の業者さん向けに提供されています。
また1982年からの10年間は、NASAのスペースシャトル船外活動用としてパナソニックの電動工具が採用されていたほどです。
世界的に有名な企業なので、どこにいてもアフターフォローを受けることができるのも魅力の一つです。バッテリーの互換性があるのも人気の点で、14Vと18Vのバッテリーの互換性があります。
コスパが良いのも魅力的なのでおすすめなメーカーのひとつです
スナップオン
スナップオンは1920年にジョセフ・ジョンソンによって創設されたアメリカの会社で、米国に本拠を置く大手工具メーカーです。
ソケットレンチを開発した会社としても有名です。1920年の創業以来車向けを含めた各種工具を開発・販売しています。
工具全体の品質や強度、耐久性だけではなくデザイン性も抜群で、戦闘機や航空関連の整備用にも採用されています。
自動車ディーラーにも愛されており、整備士がもっともあこがれる工具メーカーといわれています。スナップオンの一部工具には「永久保証」が付いています。
永久保証は「製造上の瑕疵による不具合があった場合、無償で修理・交換を行う」といった、独自の保証システムです。
永久保証の条件として、日本国内の正規販売店から購入した製品・消耗品でない製品に限られます。このように充実したアフターサポートもスナップオンの特徴です。
海外メーカー製の電動工具を購入する際に注意したいこと
次に海外メーカー製工具を購入する際に注意したいことをまとめてみました。
アフターサービスがない
修理や問い合わせ等のアフターサービスを受けられないことに注意しましょう。
原則として製品の修理やメンテナンスなどのアフターサポートは、販売されている国でしか依頼できません。壊れてしまっても修理依頼は不可能です。
日本の電動工具メーカーでも海外販売品の修理受付は不可としているため、国内の電動工具メーカーの営業所が修理を受け付けてくれません。
部品の手配も難しいので、基本的に修理不可能、部品取り寄せできても輸入・税関などの手続きで数か月の時間を要します。
プロ用途で海外輸入の電動工具を使用する場合、修理ができないのは長期的に見るとコストパフォーマンスも悪く、急なトラブルにも対応できなくなるのでおすすめできません。
アクセサリが日本の規格と異なる可能性がある
海外と日本の電動工具の規格の違いにより使用できないケースがあります。
インパクトドライバのビット形状が異なる場合が多く、海外のビットはくびれの部分が短く9mmしかないため、海外仕様のインパクトドライバに日本のビットを差し込むとビットが奥まで入りきらないことがあります。
ビットの固定ができずに落ちてしまうため、USマキタの製品などは国内仕様のアンビルに交換すれば対応できますが、自己責任での改造となります。
海外の製品は電圧が異なる場合がある
欧州地域の230Vや北米地域の120Vなどに比べると日本の商用電源の電圧は100V低く、1500Wを超える高出力な電動工具は使用する事ができません。
120Vの製品で電子制御が入った製品の場合であれば電圧が低くても動作できる場合がありますが、電圧が低くなっているのをカバーしようと電流を増やして必要な電力を確保しようと動作します。
そのためモーターや回路の損失が増えて過負荷故障となる場合があります。変圧器を使用する方法もありますが、数100Wクラスの変圧器は大きく高価なので持ち運びには不便となるでしょう。
法規制で使うことができない可能性がある
電動工具は使用者の危険や健康に直結する道具なので、保安に関する法律や電子回路の規制など様々な法規制の影響を多く受けています。
製品によっては国ごとに規格を取得していたり、対象国用の製品を設計していたりするので安易に輸入して使用する事は推奨されません。
無線搭載工具は技適マークがない
海外電動工具メーカーではBluetooth搭載電動工具が普及しつつありますが、これらの電動工具は日本で使用する事ができません。
日本で無線機器を使用する場合には技術基準適合証明(技適)の認定を受けた無線機器を使用しなくてはならず、海外でしか展開されていないBluetooth搭載電動工具は技適の認可を受けていません。
これに違反した場合は電波法違反となる可能性があります。
銃刀法に抵触する可能性がある
釘打ち機、バッテリーで動作するコンプレッサーなどのコードがない状態でも使用できる釘打ち機などは、銃刀法対象外製品を除き「銃砲刀剣類所持等取締法」の規制対象となる「鉄砲」に該当する可能性があるので注意が必要になります。
高容量のリチウムイオンバッテリーは輸入が難しい
現在のリチウムイオンバッテリーは大容量化が進んでおり、リチウムイオンバッテリーは「危険物 第9類」に該当します。
特に、バッテリー容量100Whを超えるバッテリーは航空危険物に該当するため、専用の梱包やラベルの表記などが必要になります。そのままの梱包状態では日本へ発送する事ができません。
これらの機器を輸入するためには、海上輸送や空輸便各社のリチウムイオンバッテリーの航空輸送条件を満たす形で発送してくれる業者を探さなくてはいけません。
まとめ
今回は、電動工具メーカーの世界ランキング(シェア)について解説してきました。
電動工具については、まだまだ知っておきたいことがたくさんあります。
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