マキタの40Vmaxシリーズで失敗しないために知っておきたいこと
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マキタの40Vmaxシリーズは、国内の電動工具の中でも最高峰のスペックを誇ります。
ですが、購入費用も高く、新しく発売されたシリーズですので、失敗が怖いと思っている方も多いのではないでしょうか。
ということで今回は、マキタの40Vmaxシリーズについて失敗しないために知っておきたいことについて解説します。
40Vmaxシリーズとは
40Vmaxシリーズとは、マキタが展開するハイエンド電動工具のシリーズ名です。
発表は2019年の10月で、まだ3年も経っていない新シリーズとして注目が集まっています。(2022年4月現在)
その特徴は電動工具でも高電圧と呼ばれる、36Vバッテリーを採用しているところです。(40Vではない理由について後述)
一般的には電動工具の主流電圧が18Vなので、その倍を実装しています。この高い電圧によって生み出されるパワーや、特性から発熱を抑えた耐久性が従来機と一線を画すほどです。
また現在ではラインナップ数もさらに増え、110製品(2022年4月現在)となっています。
2年先行していたHiKOKIのラインナップ数、69製品(2022年4月現在)を上回る勢いとなっています。
40Vmaxだけど実際は36Vバッテリー?
マキタの40Vmaxシリーズは、実は40Vの電圧があるわけではありません。厳密には3.6Vのバッテリーを10個使っているため、3.6×10で36Vとなっています。
しかし使用しているリチウムイオンバッテリーのセルは、満充電で4.0V~4.2V近い数値になるのが特徴です。
そのためマキタとしても「40V【max】」という表記にして、満充電時に40V近い数値が出ることをアピールしていると見られます。
この表記になった理由は、おそらく競合他社との差別化を図るためでしょう。
ライバル社であるHiKOKIは2017年8月の段階で、すでにマルチボルトシリーズとして36Vバッテリー搭載のシリーズを展開しています。
少しでも後発の出遅れや、イメージ払拭のためにこのような表記を採用したはずです。
ですが、実際には同系統の36Vバッテリーと、スペック・特性は大きく変わりません。
40Vmaxシリーズの特徴
40Vmaxシリーズの特徴は下記3つです。
- バッテリーが防水防じんIP56に適合
- 40Vmaxシリーズ専用設計
- 拡張規格である80Vmax
40Vmaxシリーズで使われるバッテリーは、電動工具メーカーでは初の防水防じん規格・「IP56」に適合しています。
バッテリーも防水防じんに対応したことで、本体と組み合わせてさらに過酷な環境でも使えるようになりました。
また40Vmaxシリーズは、旧来の18V機と併用ができない専用設計です。バッテリーは使い回しができないものの、専用設計によって耐久性と信頼性が向上しています。
他社の場合は互換性を優先するために、端子の接点が少し安定しにくいです。40Vmaxシリーズでは専用設計にしたことで、端子接点を大きく取ることに成功しました。
結果としてバッテリー接続時の信頼性も向上しています。
さらに拡張規格である80Vmaxは、40Vmaxバッテリーを2本つなげてさらなる高出力を実現する規格です。
今までエンジン機器が中心だった建築分野、園芸分野で脱エンジンを期待できます。
40Vが必要な作業について
40Vが必要な作業は、よりパワーが必要な作業です。連続作業が続く場合も、18V機と比較して熱を持ちにくい特徴が活きます。
それぞれ特徴に合わせた作業を紹介していきますので、ぜひチェックしてみましょう。
パワーが必要な作業
40Vmaxシリーズは出力が大きいので、パワーが必要な作業で活躍します。
具体的には下記の通り、インパクトドライバーの場合で項目をまとめました。
- 固着したネジを外す際
- 125mmほどのコーススレッドを木材へ打ち込む
- M16サイズのボルト締め
- 直径50mmの穴あけ(木材)
- 直径20mmの穴あけ(鉄工)
ただし通常のネジ締めはパワーがあり過ぎるため、弱設定で打ち込んでいくのが良いでしょう。あまりパワーがあるとネジの皿が破損してしまい、事故や怪我につながるおそれがあります。
比較として18V機でパワー不足を感じる場面なら、40Vmax機を使えばスムーズに作業が行えるはずです。
連続作業が必要な場合
連続作業が必要な場合でも、40Vmax機を使ったほうが連続して作業できます。
理由は高電圧化によってモーターへの電流を減らし、熱損失を減らせる点です。
電圧が高ければ流せる電流を少なくできるため、熱暴走によってモーターストップまで到達する時間を遅らせられます。
また18V機の場合、作業時間が長くなってくるとバッテリー容量が減り、締付けスピードやトルクが落ちてしまうのは避けられません。
作業内容によってはパワーが落ちると、すぐにバッテリーを交換する必要が出てくるでしょう。
しかし40Vmaxバッテリーは「スマートシステム」を搭載しており、バッテリーが空になる直前までハイパワーを維持し続けます。
発熱が少ない上にパワーがあって作業時間が短縮され、最後まで大出力のパワーを使い切れるので長時間の連続使用にも最適です。
40Vmaxシリーズを購入して後悔している人の理由について
ハイエンドの40Vmaxシリーズでも、購入して後悔している人もいます。
具体的には下記の3つです。
- コストパフォーマンスが悪い
- バッテリーの使い回しができなかった
- そもそも使用環境に合わなかった
どういった点で後悔しているのか、理由についてまとめました。
コストパフォーマンスが悪い
実際に購入された方で、「コストパフォーマンスが悪い」と回答されている方がいます。理由は金額の高さと実際の作業でどのくらい活用できるかどうか、という部分です。
例えば最新のインパクトドライバー、TD002GRDXを購入したとします。こちらは税別で73,000円になるため、なかなか大きな出費となるでしょう。
しかし付属するのは2.5Ahのバッテリーで、容量があまり大きくありません。対して18V機のTD157DRGXを購入した場合、フルセットで税別65,200円です。
付属するのは6.0Ahのバッテリーで、ほかの機種を使っていれば新たに買い足す必要もないでしょう。
またバッテリーの仕事量をWhに変換すると、下記のような比較となります。
- 18V×6.0Ah=108Wh
- 36V×2.5Ah=90Wh
上記のように、36Vではやや仕事量が少なくなってしまいます。
パワーを必要とする場面ならともかく、一般的な環境では18V機で十分だったとのことです。バッテリーの互換性もないため、コストパフォーマンスは悪いという点で後悔されていました。
バッテリーの使い回しができなかった
40Vmaxシリーズは、同じ40Vmaxシリーズ内でしか互換性がありません。18V機とは接点も違うため、物理的に接続することもできない状態です。
使い始めた段階では40Vmax機のパワーが新鮮で、作業性の高さから信頼できる機種として使えるでしょう。
しかしバッテリー容量が足りない場合や、状況によって18V機と併用して持って行く場面も出てきます。
1台だけで使う場合ならともかく、すでに18V機を持っている段階で互換性のない40Vmax機を導入すると不便になりやすいです。
そういった点から実際に購入してみて、不便に感じたと後悔している方もいらっしゃいました。
そもそも使用環境に合わなかった
40Vmaxシリーズはハイパワーな一方で、使用環境に合わない場合もあります。
例えば下記のような環境です。
- 求めるパワーが大きくないが作業時間を長く取りたい場合
- 足場が不安定でトルクが大きいと打ちづらい場合
一般的には18Vのインパクトドライバーでも、十分なパワーがあります。強モードで使えばビット破損や、ビス折れを起こしてしまうことも。
よほど作業性を求める環境や、特殊な環境でなければ18V機で十分な場合が多いです。
例えば下記のような状況であれば、40Vmax機が活きるでしょう。
- 大径のハンマードリルを連続使用する際
- 丸ノコで厚い材料を切断する際
- インパクトレンチでボルトを締める際
- ブロワーの風量がもっとほしいと思う際
上記以外ではオーバースペック気味になってしまうことも多く、あまり違いが見られない場合もあるはずです。
そういった際に「せっかく高価な40Vmax機を購入したのに、恩恵を感じられない」という事態になるかもしれません。
40Vmaxシリーズの強みと弱み
40Vmaxシリーズは強みも多く、まさにマキタのハイエンドシリーズとして人気と注目が集まっています。
しかしただ強みがあるだけではなく弱みもあるので、どちらが自分にとってメリットが大きいか比較してみる必要があるでしょう。
具体的に40Vmaxシリーズの強みと弱みをまとめました。
40Vmaxシリーズの強み
40Vmaxシリーズの強みは、下記の4つです。
- 大出力
- 耐久性
- バッテリーの防水対応
- 80Vmax規格
高電圧化したことで、より大きなトルクや出力を出せるようになりました。ただパワーがあるだけではなく、停止しづらい粘り強さも獲得しています。
今まで18V機を使っていてパワー不足だった場面でも、40Vmaxシリーズなら作業がスムーズに進むでしょう。
また高電圧化に伴い、熱損失を減らすことに成功しています。モーターへの過度な負担が少なくなり、長時間の作業性と耐久力の向上を実現しました。
実はバッテリーも40Vmaxシリーズ専用設計となったため、耐久性が大幅に上昇しています。
防水防じんの等級「IP56」に適合しているほか、端子短絡防止構造や高剛性レール・衝撃吸収構造で耐衝撃性がおよそ40%アップ。
バッテリーの防水対応は電動工具メーカーの中でも初なので、まさに40Vmaxシリーズならではの強みが生かされています。
80Vmax規格もマキタにしかないものです。エンジン機器でしか補えなかった園芸・工業分野でも、置き換えが進むであろうと期待が高まっています。
40Vmaxシリーズの弱み
40Vmaxシリーズの弱みは、下記の2点です。
- 互換性がない
- 価格が高い
40Vmaxシリーズで買い替えが進みにくい大きな要因は、互換性が無い点です。似たような高電圧シリーズはHiKOKIのほかにDeWALTがあり、両者とも18V機への互換性があります。
もしこの互換性が保たれていれば、マキタが市場を席巻していたとも言われるほどです。
また互換性がない部分から、実売価格以上に値段が高いと感じる部分もあります。互換性があれば新たにバッテリーを買い足す必要もなく、コストパフォーマンスが高い状態で導入を行えたでしょう。
結果として他社の機種を買い足すのと変わらない導入状況になり、価格が高い面から弱みへとつながっています。
40Vmaxシリーズは買いなのか?
結論として40Vmaxシリーズは、条件付きで「買い」です。
40Vmaxシリーズは今後の展開状況も考えると、おそらくどんどんラインナップも拡充していくことでしょう。
さらに高電圧のシリーズが販売される可能性もあり、14.4V機が18V機に置き換わったような状況が作られるかもしれません。
※ただし18V機が主流になるまで15年ほどかかっています。
時代の流れを踏まえるなら、今後36Vや40Vが一般的になる可能性はあるはずです。加えて18V機でパワー不足を感じている場面や、パフォーマンスを優先する場合は40Vmax機が活躍します。
プロの方なら買いですし、アマチュアの方は状況によってオーバースペック気味になる可能性があるでしょう。
しかしプロの方でも作業内容によっては、18V機のほうが最適な場合も多いです。
作業内容と予算を見極めて、導入を検討してください。
まとめ
今回はマキタの40Vmaxシリーズについて失敗しないために知っておきたいことについて解説してきました。
電動工具については、まだまだ知っておきたいことがたくさんあります。
ぜひ、関連記事も読んで参考にしてみてください。
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