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マキタの40VmaxシリーズとHiKOKIのマルチボルトシリーズの違いについて

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近年では電動工具の高電圧化が、どの工具メーカーとしても力を入れている現状ですが、使用者の立場としては、「どのシリーズがどんな違いがあり、どう使い分けるべきか?自分にとってどれが正解なのか?」など、分かりづらくなっている状況だと思います。

ということで今回は、はじめて工具を購入されるお客様からよく確認される「マキタの40VmaxシリーズとHiKOKIのマルチボルトシリーズの違い」について解説していきたいと思います。

ぜひ、参考にしてみてください。

HiKOKIのマルチボルトシリーズについて

国内ではNo.2のシェア率を誇る大手メーカー、HiKOKIによって展開される高電圧シリーズがマルチボルトシリーズです。

今まで電動工具は18Vが主流でした。そこにHiKOKIが新構造のバッテリーを搭載した36Vシリーズを、2017年8月に打ち出しています。

新構造のバッテリーによって、旧シリーズである18Vバッテリーと同サイズを実現。

しかし出力はAC電源並みのパワーを兼ね備え、重作業において活躍する電動工具を作り出しました。

通常バッテリーに使われる最小単位は、3.6Vのセルが使われています。つまりこのセルを10個使用し、36Vという電圧を作り出している仕組みです。

高電圧化によって電流を少なくしつつ、出力を維持できます。

モーターの負荷が下がり、発熱量も減るのが特徴です。マルチボルトシリーズは結果として、出力と耐久性を大きく向上させています。

マルチボルトの強みと弱み

マルチボルトシリーズの強みは以下の通りです。

  • モーター効率の高さ
  • 下位機種との互換性

一般的に電動工具で使われるモーターは、電圧が高くなれば流せる電流を少なくできます。電流が多ければ多いほど発熱につながるため、連続作業に影響が出てしまうでしょう。

しかしマルチボルトシリーズは高電圧により、モーター損失を大きく削減できています。

さらにマルチボルトシリーズは下位18V機に装着しても、自動で機器が判断して動作するよう作られているのが特徴です。

※回路をスイッチングしているため、パワー不足も影響はなし。

優れた耐久性と互換性により、作業効率が大幅に向上します。

対してマルチボルトシリーズの弱みは下記の通りです。

  • 容量不足
  • 機種によって恩恵を受けられない

どうしても高電圧と高出力を実現したものの、バッテリーから取り出せる仕事量は限界があります。

実際にスペック表を見ても、1充電当たりの作業量は大きく向上していません。まだまだ容量不足が見られる場面は出てしまうでしょう。

また高電圧化によって恩恵を受けるのは、モーターの回転力をダイレクトに使用できる電動工具です。

インパクトドライバーや釘打機はスプリングの影響もあるため、やや恩恵を受けにくい面があります。

マキタの40Vmaxシリーズについて

40Vmaxシリーズは、国内シェア率No.1を誇るマキタが展開しているシリーズです。

電圧表記に「40V」とありますが、実際に使用しているセルは3.6V×10個なので36Vと同等と言えるでしょう。

他社の36Vバッテリーと性能において、大きな違いは無いと言っても良いかもしれません。

ただし使用しているリチウムイオンバッテリーは、満充電で4.2Vになります。おおよそ10個のセルを満充電すれば、40Vmaxとなるはずです。

この特性を利用し、ライバルよりも高い数値をつける目的で40Vmax表記が付けられたと予測されています。

実際にSNSでもこの特性を知らない方がいて、「マキタのほうが40Vでパワーはある」と発信している状況も見られるほどです。

ただし下位シリーズの18V機とは互換性が保たれていません。40Vmax機単体でしか使用できない点に注意が必要です。

40Vmaxの強みと弱み

40Vmaxシリーズの強みは下記の通りです。

  • バッテリーの防水防じん規格が高い
  • 拡張性が高い

40Vmaxシリーズで使われるバッテリーは、実は電動工具で初のIP56(防水防じんの規格)に対応しています。

電動工具本体は高い規格に対応していても、バッテリーが対応していないこともありました。

40Vmaxバッテリーなら、電動工具と組み合わせて高い防水・防じん効果が得られるでしょう。

また拡張性の高さも特徴となっており、40Vmaxのバッテリーを2個直結させて80Vmaxになる拡張規格も登場しています。

ラインナップもHiKOKIの数を上回っているため、拡張性の高さが強みです。

40Vmaxの弱みは下記の通りとなっています。

  • 18V機との互換性がない
  • コストパフォーマンスが悪い

マキタの40Vmax機は、同社の18V機と互換性がない専用設計です。

もちろん専用設計だからこそ強みがあるものの、今まで18V機を使っていた利用者からするとデメリットになります。

バッテリーを使い回せる面はコストパフォーマンスの向上にもつながるため、どうしても単体で使う状況では費用対効果が悪くなってしまうでしょう。

マルチボルトシリーズと40Vmaxシリーズの違いについて

マルチボルトシリーズと40Vmaxシリーズの違いについて、各項目で表を作成しました。

実際に比較してみると、互換性があって無線接続が行えるのはHiKOKIのマルチボルトシリーズです。

互換性を廃し、防水防じんと拡張機能、ラインナップ数に特化しているのが40Vmaxシリーズとなっています。

高電圧化を2年も早く実現したHiKOKIが有利だったものの、ここ数年でマキタのラインナップがかなり拡充しつつあるのは見逃せません。

40Vmaxシリーズ単体での優れている点は、かなり明確になりつつあるでしょう。

もちろんマルチボルトシリーズも互換性や無線接続の使い勝手を考えると、コストパフォーマンスは高くなっています。

どちらが優れているかは、どういった使い方をするかで変わってくるはずです。

インパクトドライバーで比較する両シリーズの違い

実際にインパクトドライバーで両シリーズを見ていきましょう。

具体的には最大トルクと重量で違いを比較し、検討する際の材料として考えてみてください。

TD002GRDXとWH36DCの最大トルクの違い

マキタのTD002GRDXと、HiKOKIのWH36DCについてトルク値を表にまとめました。

最大トルクを見てみると、マキタのTD002GRDXが有利です。

しかしトルク値が20 N・mほどの差であれば、ほぼ体感するのは難しいかもしれません。

おおよそ200 N・mを超えた場合、ほとんどの作業で問題なく締付けは行えるでしょう。

この値であれば誤差と言っても良いレベルです。

トルクをギリギリに使用する場面ならともかく、単純にトルクだけを狙いたいなら違う視点からも比較してみてください。

TD002GRDXとWH36DCの重量の違い

マキタのTD002GRDXと、HiKOKIのWH36DCについて重量を下記の表にまとめました。

重量については、ほぼ差が無いものとなっていました。

取り回しについては重量のほか、形状やグリップ・重心といった部分にも影響が大きく出ます。

ただし重さではあまり比較ができないため、軽さを考えるのでしたら扱いやすさも重点的に見てみると良いでしょう。

両機種はどちらが優れていてどちらを選べば良いのか

TD002GRDXもWH36DCも、スペック上はあまり大きな違いが見られない機種です。

具体的にそれぞれのスペックを下記表で比較してみましょう。

ほとんどスペック上でも違いが大きく見られず、どちらを選べば良いのかわかりづらい面が多いでしょう。

このシートを見て比較する限り、優れている点はWH36DCのコストパフォーマンスです。

WH36DCはTD002GRDXよりも価格が安く、十分実用的な機能を備えながら18V機に使える互換性を持っています。

充電にかかる時間もWH36DCがわずかに勝っており、利用環境によってはTD002GRDXよりも扱いやすい場面が多いはずです。

どうしてもトルク値は大きいほうが良い、ずっとマキタを使っていたからマキタが良い!という方は、TD002GRDXを選ぶと良いでしょう。

ただしTD002GRDXは、下位機種とバッテリーを併用できません。その点にだけご注意ください。

40Vや36Vが必要な作業について

40Vや36Vは、どんな場面で必要になるでしょうか。

パワーや耐久性が上がったのは分かるけど、実際どんな作業で活躍するのか知りたい。そんな方もいらっしゃるはずです。

この項目では高電圧シリーズが活躍する作業や、移行するメリットについてまとめました。

40Vや36Vが必要な作業

40Vや36Vは過酷な現場や作業で必要になります。なぜなら高電圧シリーズは、作業性と耐久性の向上が著しいからです。

とくに18V機ではパワー不足を感じていた場面や、連続作業でどうしてもモーターが停止してしまう過酷な場面でこそ活躍します。

例えば丸ノコで旧機種(18V機)と比較した場合、切断スピードと粘り(工具が止まらず進む強さ)に2倍の差が見られた事例もあるようです。

プロが毎日現場で使う電動工具は、あまりにも過酷だと充電式では使えない場合があります。

そういったときに今までAC電源式を採用していたものも、40V、もしくは36Vシリーズで対応できるようになるのがメリットです。

何枚もの厚くて固い板材をスピーディーに切断したり、長時間のビス打ちを行ったりする作業で必要となるでしょう。

結局40Vや36Vに移行したほうが良いのか

今後も40Vや36Vシリーズは改善を重ね、ラインナップも拡充していく見込みです。

現状ではまだ18V機が手に入るものの、今後も改良が重ねられればさらに高電圧なシリーズが販売されることもあるでしょう。

そういったときに、18V機は販売や扱いを停止する可能性があることも予測しておかなくてはなりません。

高電圧とされる機種が一般化した場合は、徐々に乗り換えをする必要もあります。

ただし現状では高電圧シリーズがまだまだ改良の余地もあり、18V機でまかなえる場面も多いです。

予算をあまり割けられないなら、急いで40Vや36Vシリーズに移行する必要はありません。

プロの方はメリットが多いので移行を推奨

高電圧シリーズで恩恵を受けるのは、電動工具を日々使いこなし、過酷な環境で結果を出す必要があるプロの方々です。

現在の使用環境で問題が無いなら急いで変える必要はありませんが、より作業がスムーズになって効率化が図れるなら投資を考えたほうが良いでしょう。

とくにプロの方々は少しの差が全体の大きな差につながります。

各社から販売されている高電圧シリーズは、パワーや耐久性、作業性においてトップレベルです。

長く愛用していく工具だからこそ、より結果を意識して高性能な電動工具を揃えておくと長い目で見て効率的に仕事が行えます。

まとめ

今回は、マキタの40VmaxシリーズとHiKOKIのマルチボルトシリーズの違いについて解説していきました。

電動工具については、まだまだ知っておきたいことがたくさんあります。

ぜひ、関連記事も読んで参考にしてみてください。