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潤滑油と作動油、切削油の違いや使い分けについて解説します

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皆さんは潤滑油と作動油、切削油の違いについてご存知でしょうか。

工業分野で幅広く使われる油やオイルは、その種類が非常に豊富で、種類よっても特徴や得意・不得意がことなります。

その中でも潤滑油や作動油、切削油は利用シーンも多く、その用途や特徴、それぞれの違いについて知っておくことは非常に重要な知識だったりします。

ということで今回は「潤滑油と作動油、切削油の違い」や「潤滑油と作動油、切削油の使い分け」について解説していきます。

これらの製品を扱う予定がある方は、ぜひ最後まで読んで参考にされてみてください。

潤滑油とは?用途について

潤滑油とは、別々のパーツや機械部品が滑らかに動作するよう、あらかじめそれぞれのパーツに使用される油のことです。

作動油や切削油と比べて一般の方にも広く知られ、もっとも馴染み深い油の種類でもあります。

機械同士はもちろん、樹脂やゴム製品なんかも潤滑油が使われているのをご存知でしょうか。

例えば自分の手で試してみてください。手を強くこすり合わせると徐々に熱くなり、そのまま動かすのは困難になってくるはずです。

そこへ石鹸を使ってみたら、どうでしょうか。滑らかに動き、そのままの状態よりも滑りが良くなりますよね。

基本的に、潤滑油はこの原理を利用しています。

金属同士の場合は、強くこすり合わせることで摩擦が生じ、熱が発生しまう場合があります。また、長期間触れ合うことで、パーツ同士が摩耗してしまいパーツの寿命も短くなってしまうデメリットも生じます。

そういったデメリットを少しでも減らす目的として、潤滑油は存在します。

ちなみにプラスチックのような樹脂製品であっても、製品を長く保たせたり、異音を防いだりする目的で使われます。

また、潤滑油は潤滑以外の目的として冷却や密閉させる目的しても使用されていますので、その用途は幅広いです。

作動油とは?用途について

潤滑油と似たような名前で、「作動油」というものがあります。作動と聞けば、なにかを作動させるときに使われるもの、という印象がありますよね。

まさしく作動油は、油圧システムを作動させる媒体として使われるものです。潤滑油とは異なり、代替はできません。

油圧システムはその名の通り、油の圧力を利用したものです。例えば注射器のようなシリンダーをイメージしてみてください。

先端を塞ぎ、空気を押し込んだら圧縮できますよね。じゃあここにオイルが入ったら?強く圧縮してもなかなか押せないでしょう。

空気だと圧縮されてしまうので、力の伝達が悪いです。しかしオイル(流体)なら、力をそのままに伝送できます。

実際には注射器のようなシリンダーからさまざまな流路が作られ、発揮したい箇所に伝達される仕組みです。

よくある車のブレーキも油圧システムが使われており、ペダルを踏むだけで各車輪のブレーキシステムが作動するようになっています。

この流路に使われるオイルこそ、作動油。油圧システムに使われるため、特殊なオイルとして重宝されています。

切削油とは?用途について

切削油は切削加工の際に使用される油のことで、加工時の金属同士が強くこすれ合う際に生じる大きな熱や摩擦を抑える役割があります。

切削とは、金属を切りながら削る加工法ですので、金属を削り取る際に使われる大きな熱が発生しやすくなります。

そのため、切削油は切削時の抵抗を大きく減らし、熱を伝えて冷却させるために利用されます。

単に熱を冷ますだけなら水でも良いのですが、水を使用した場合は潤滑の役目を果たすことができず、切削時の刃がすぐに寿命を迎えてしまうというデメリットが生じます。

このため、上記のようなデメリットを解消することができる切削油は、旋盤のように回転する対象物へ刃を当てて削るほか、ドリルのようなタイプにも使用されることが多いです。

切削油の種類について

ちなみに、切削油には種類が存在します。

その種類は2種類あり、1つは潤滑を目的とした「不水溶性切削油剤」です。こちらは原液のまま使用します。

そして、もう1つの種類は冷却を主目的とした「水溶性切削油剤」になります。水溶性切削油剤は、水溶性ですので、水に希釈して使用するのが特徴です。

これらの種類は実際に使用する加工の目的に応じて使い分ける必要がありますので、加工する素材の特性にあったものを選びましょう。

潤滑油と作動油、切削油の違い

潤滑油と作動油、切削油の違いは役割です。同じ油でも、使う場面によって求められる能力が大きく異なります。

そのため配合されている添加物や、素材そのものが異なるケースもあるでしょう。

例えば潤滑油は2つの物体がこすれ合う場所に使われ、摩擦を最小限にして長時間の稼働・寿命の延長といった役割を持ちます。

油膜がうまく保持できるよう、粘度は高めです。あまりサラサラした油だと油膜は保持できず、留まることができません。

そして作動油は油圧システムで使われる油なので、油圧伝達に適した特性を持っています。

実は作動油も潤滑油と似た性質を持っており、潤滑と防錆・冷却も兼ね備えているのが特徴です。

油圧システムは油に圧力をかけて流動させ、各所に力を伝えるシステム。その作動で金属面が広くこすれ合うため、潤滑油の役割も必要なのです。

潤滑油でも代用可能では?と思われますが、適切な粘度で使用しなければ本来の力は発揮できません。

火災発生のリスクがあるなら、難燃性のオイルを選ぶ必要もあるでしょう。ただし潤滑油でも同じ性質があれば、代用は可能です。

切削油は、金属加工で使われる油となっています。金属同士を合わせて切り削るため、排熱と抵抗をうまくコントロールする媒体が必要です。

そこで切削油を使うと、油が金属の切削加工時に熱を逃がしてくれます。刃にかかる抵抗も減少し、加工できる寿命が延びるでしょう。

切削油も潤滑油と同じく、潤滑・冷却・防錆の役目を担っています。大きなカテゴリで潤滑油があり、より用途に特化したのが作動油・切削油です。

潤滑油と作動油、切削油の使い分けについて

潤滑油と作動油、切削油はそれぞれ用途に特化した使い方があります。

でもどんな場面で使用するのか、いまいち想像がつかない場合もあるでしょう。

そこでこの項目では、潤滑油や作動油、切削油の使い分けについてまとめました。

潤滑油を使用する場面

潤滑油を使用する場面は、かなり幅広いです。

  • ドアの金切り音対策
  • 自転車のチェーン潤滑
  • サビ取り
  • 汚れ取り
  • 端子接点の復活
  • 産業用機械の各部潤滑
  • 機械の回転部分

あらゆる箇所で、金属同士が摺動する部分を見つけられるでしょう。そういった部分は潤滑がなくなると、異音がしたり破損したりします。

身近な例だと自転車のチェーンがサビつき、うまく漕げない場合があるはずです。そんなときに潤滑油を使えば、動きがスムーズになりますよね。

ほかにも潤滑油は浸透する性質があるので、サビ取りや汚れ取りに使われます。ゴルフクラブの清掃、防錆で使う方もいらっしゃるほどです。

身近なものだけに限らず、工業分野でも幅広く使われるのが潤滑油。多くの工場で潤滑油は必要不可欠な存在となっています。

とくに機械の回転部分は常に強い圧力がかかり、油膜の保持がなくてはなりません。

自分は見たことがなくても、誰かがメンテナンスで潤滑油を注入しているはずです。

作動油を使用する場面

作動油は、油圧システムを使うほとんどの製品に使われています。

身近なものだと、車のブレーキが分かりやすいでしょう。車のブレーキは少し踏み込んだだけでも、1,000kg近い車体を制動できます。

まるで自分の足で止めているように感じますが、油圧システムが踏み込まれたエネルギーを増幅して止めているのです。

そして長く使っていると劣化し、徐々にブレーキの作動が悪くなります。カーショップに行けば、「ブレーキフルード交換」という項目を見つけられるでしょう。

こういったタイミングでブレーキフルードの交換、つまり作動油を交換します。

身近な車以外にも、工業用で使われる機械は多くが油圧を採用しているはずです。例えばよく地面を掘り返しているショベルは、動作を油圧システムが担っています。

※プレス機や工作機械、建設機械は油圧システムを採用しているものが多い。

油圧システムは使っていると油漏れが発生したり、汚染管理が必要だったりと一定の手間をかけなくてはなりません。

適切なメンテナンスを行う際、作動油の交換で新品と入れ替える作業も発生します。

切削油を使用する場面

切削油を使用する場面は、金属加工を行う際に使用する場合が多いです。中でもNC工作機械を利用する際、多く使われます。

NC工作機械は金属を削り取り、目的の形に仕上げていく機械です。実際に使用する際は、まさに削る瞬間。

切削油を対象物にかけ、直接刃を当てて削っていきます。こうすることで加工金属と刃の間に油膜ができ、刃の摩耗を低減できる仕組みです。

また単に摩耗を低減させるだけではなく、金属加工時の熱発生を逃がす役目も果たしています。(そのためクーラント液と呼ばれることも)

効率の良い生産を行うため、下記3つの作用を目的に切削油が使われています。

  • 潤滑
  • 冷却
  • 反溶着

潤滑は摩耗を低減し、刃先の寿命を伸ばしてくれます。削り取る際のスキマに浸透し、油膜を張って潤滑。

切削時の抵抗が小さくなるため、無用な力が要りません。仕上がりがきれいになる効果もあります。

また金属加工は熱が発生すると変形し、仕上がりが悪くなりやすいです。とくに切削は600~1,000℃近い温度が発生することも。

ここで冷却を行えば変形を最小限にできて、生産体制が安定します。

反溶着は刃と対象物の溶着を押さえ、精度の低下を防ぐ作用です。こういった場面で切削油は活躍します。

エンジンオイルを作動油の代用として利用できる?デメリットは?

エンジン内部の潤滑を行うエンジンオイルは、作動油として代用できるのか疑問に思う場合があるでしょう。

どちらも潤滑油としての役割があり、ある程度なら代用できるのでは?と思うかもしれません。

実際代用は可能なのか、代用したとしてどんなデメリットがあるのか?という点についてまとめました。

エンジンオイルは作動油の代用として利用できる?

エンジンオイルは、基本的に作動油の代用として利用できません。ただし利用する機械によって、代用は可能です。

例えば以前、エンジンオイルの10Wを油圧作動油として指定している建機メーカーもありました。

使用条件もそれほど過酷でなければ、何かしら悪影響が出ることは無いでしょう。

しかし推奨できる方法ではなく、事故があっても想定外の使い方では誰も保証してくれません。

できるかぎり代用は考えず、メーカー指定のオイルを使うようにしてください。

どうしても仕方がない場合、ある程度粘度を揃えたほうが良いです。とくに高性能な機器ほど粘度が異なると、故障や誤作動のリスクが高まります。

あくまで使えるかもしれないが、故障しないとも言えない…といったニュアンスとなるでしょう。

ちなみに作動油をエンジンオイルとして利用するのは、絶対にやめてください。要求されるオイル性能が異なるため、エンジン焼付きの原因となります。

エンジンオイルを作動油として代用した際のデメリット

エンジンオイルを作動油として代用した際のデメリットは、「想定外の故障・誤作動リスクがあるかもしれない」という点です。

作動油をエンジンオイルとして利用するのは問題ありですが、正直粘度さえ揃えればエンジンオイルを作動油に使っても問題ない場合があるでしょう。

しかし大きな力を扱う場合、オイルに求められる性能がシビアな場合だと、想定と違うオイルにより誤作動が起きるかもしれません。

使用していて問題がなくても、のちのち重大な故障リスクに発展するケースもあります。

人によっては、エンジンオイルを利用して長年問題がない場合もあるはずです。ただたまたま相性が合っただけで、推奨できるやり方ではありません。

デメリットを考えると少し博打的な要素があるため、できるだけエンジンオイルを作動油として代用するのはやめましょう。

エンジンオイルや作動油と言っても、両者が非常に近い性質のものもあれば、全く組成が異なるものもあります。

また混入してしまうと、新しくオイルを入れ直しても性能が悪化する場合も多いです。

上記のデメリットを踏まえると、やはり代用はややおすすめできない行為だと言えるでしょう。

まとめ

今回は「潤滑油と作動油、切削油の違い」や「潤滑油と作動油、切削油の使い分け」について解説していきました。

この他にも電動工具や工業用製品について知っておきたい知識は、まだまだたくさんあります。

ぜひ、その他の関連記事も読んで参考にされてみてください。