家庭用モデルのエアーコンプレッサーの選び方について解説します
目次
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電動工具の性能が年々上がっていますが、まだまだエアーツールに劣る部分があるのも事実です。
そんな中、家庭用モデルのエアーコンプレッサーの導入を検討している方が増えています。
ということで今回は、家庭用エアーコンプレッサーの選び方など、購入前に知っておきたい基礎知識について解説していきたいと思います。
これからエアーツールの導入を検討している方は、ぜひ、最後まで読んで参考にされてみてください。
エアーコンプレッサーとは?どんな作業に必要?
エアーコンプレッサーとは、吸い込んだ周囲の空気を圧縮し、高圧で様々な機器に吐出する機器のことです。
圧縮された空気は、アタッチメントを付け替えることでエアーツールをはじめ様々な機器の動力源と活用できます。
使用後の空気は排気され、圧力が低下すると再び周囲から新たに空気を取り込むサイクルを繰り返す仕組みです。
エアーコンプレッサーは、趣味やDIYから、工場や建設現場での業務まで幅広い用途で使われています。特に、製造現場の生産ライン上で使う機器の動力源としては、欠かせないものになっています。
■エアーコンプレッサーの主な使用場面
用途 |
特徴 |
タイヤ交換・ |
タイヤ交換の際にはインパクトレンチ、 空気圧調整の際はエアチェックガンと組み合わせて使用 |
塗装 |
車体の塗装、プラモデルの塗装などに使用される 均一で滑らかな仕上りになる プラモデルの塗装では、エアブラシと組み合わせることで微細なボカシやグラデーションを表現できる |
清掃・乾燥 |
「エアーブロワー」「エアーダスター」と組み合わせる エアーブロワー : 作業上の床や車両のホコリやゴミを吹き飛ばす エアーダスター : 電子部品や精密部品の清掃、電子部品の乾燥 |
現場での釘打ち |
釘打ち機「エアータッカー」をエアーコンプレッサーに接続 エアーコンプレッサーの動力源を活用し、連続釘打ちなど正確で素早い作業が可能になる |
家庭用エアーコンプレッサーの選び方
ここでは、家庭用エアーコンプレッサーを選ぶ際のポイントを3つ厳選して紹介していきます。製品のスペックをみる際、特に優先して確認するポイントなので、しっかり理解していきましょう。
タンク容量と吐出空気量
タンク容量はエアーコンプレッサーが一回に蓄えられる空気量(リットルL)を指します。タンク容量は多ければよいというわけではなく、用途に合った最適なサイズを見極めることが必要です。
タンク容量が作業内容に比較して大き過ぎると、持ち運びに苦労するだけで作業効率は低下してしまうでしょう。当然、小さ過ぎても同じことが起こります。
タンク容量は以下を目安として選んでみてください。
用途 |
タンク容量(L) |
趣味や家庭用 |
6~30 |
自動車メンテナンス・ |
50~100 |
長時間の作業が必要な場合 建設現場や大規模工場での作業など |
200以上 |
吐き出し空気量は、エアーコンプレッサーが1分間で吐出する空気量を表し、性能を左右する重要な指標の一つです。
単位はリットル/分(L /min)もしくは立方メートル/分(m3/min)で表されます。
軽作業や趣味など家庭用なら、50~150L/min程度で効率良く作業を行えるでしょう。業務に使用する場合は、高い性能と持続力が求められます。
目安としては、一般的な作業や工業用途には150~500L/min程度、建設現場や大型工場などさらに長時間の連続作業が必要になる場合は500L/min以上が最適です。
給油式タイプとオイルレスタイプの違い
エアーコンプレッサーはオイル潤滑の有無によって「給油式」と「オイルレス」2つのタイプに分類されます。
両者の主な違いは、以下の通りです。
|
給油式タイプ |
オイルレスタイプ |
耐久性 |
高い |
低い |
価格 |
高め |
安め |
メンテナンス |
定期的なオイル交換 |
オイル交換不要 |
用途 |
業務用、 |
DIY、初心者・ライトユーザー向け |
給油式は工場や車整備の他にも印刷や物流の梱包など幅広く活用される、定番といえるエアーコンプレッサーです。
一方のオイルレスタイプは、オイル交換が不要で比較的安価なため、ライトユーザー向けといわれています。
一概にどちらが使いやすいとはいえず、用途によって推奨されるタイプは異なります。
給油式とオイルレス、それぞれのメリット・デメリットを中心に両者の違いを詳しく確認していきましょう。
給油式タイプのメリットとデメリット
給油式は内部の機械部品をオイルで潤滑しているタイプで、油分が含まれる「オイルミスト」と呼ばれる圧縮空気を発生させているのが特徴です。
潤滑しないと焼け付けや傷が発生するリスクがあるため、オイルで滑りをよくして問題を解消しています。
給油式の主なメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット
- オイルで潤滑しているため、耐久性に優れ、連続運転にも向いている
- オイルフリー式と比較して、振動・騒音が少ない
- 幅広い用途で使用でき、実用性のバリエーションも豊富
デメリット
- 定期的なオイル交換が必要
- オイルで潤滑しているので、エアー中にオイルミストが若干混じる
給油式は比較的価格も高く、ヘビーユーザー向きなので、初めて購入する場合には用途に見合っているか十分に検討するようにしましょう。
オイルフリータイプのメリットとデメリット
給油式とは異なり、潤滑油を使用しないタイプです。
オイルフリータイプのエアーコンプレッサーは「ドライオイルフリー式コンプレッサー」と呼ばれる場合もあるので覚えておきましょう。
オイルフリータイプの主なメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット
- オイル交換は不要
- 圧縮された空気にオイルが含まれないクリーンな吐出しを実現
- オイルを使用していない分、メンテナンスが容易
デメリット
- 用途によっては耐久性・連続運転時間が不足する
- 給油式と比較すると騒音・振動が多い
オイルフリー式は潤滑油を使っていないため、吹き出す空気はキレイです。
そのため、特に清潔さが求められる食品加工や医療機器などの製造現場では重宝されています。
馬力(消費空気量)
エアーコンプレッサーの馬力が大きくなるほど吐出し空気量が大きくなり、重い作業にも対応できます。
タンクへの充填も短時間で完了するため、起動してすぐに使いたい場合や連続して長時間使いたい場合も馬力が大きい製品を選ぶとよいでしょう。
製品によっては1馬力など馬力表示ではなく「Kw」で表示される場合があります。
吐出し空気量をみる場合は、一緒に使用するエアーツールの空気消費量も必ず確認しましょう。
目安としては、使用するエアーツールの空気消費量に対して1.5倍程度の吐出し空気量があればトラブルなく使用できます。
また、1馬力以下だと使用できるエアーツールが限られてしまうので、1馬力(0.75Kw)以上の機種を選ぶようにしましょう。
ただし、馬力が大きいエアーコンプレッサーを購入する場合は、消費電力・消費電流に注意する必要があります。
家庭用の100V/15A電源で使用できるのは2馬力(1.5Kw)の製品までとなっています。
そのため、3馬力(2.2Kw)以上のエアーコンプレッサーを使用する場合は、業務用の三相200Vで給電する必要がありますので注意が必要です。
タンク内最高圧力
最高圧力はエアーコンプレッサーが発生させられる最大圧力のことです。
タンク内の最大圧力が高ければ、圧力が下がり再始動するまでの時間が長くなるため、連続作業できる時間が増えます。
ただし、圧力が高いほど優れている製品というわけではなく、使用するエアーツールや作業内容によって必要な圧力が異なる点を考慮して選ばなければなりません。
圧力が高すぎるとオーバースペックになり、部品の破裂やエアーツールの故障などを招く可能性もあります。安全性の観点からも、使用する機器が推奨する圧力を超えないようにすることが大切です。
家庭用や軽作業で使うのであれば、低圧力のモデルの方が適しています。
作業を開始する前には、設定された圧力が適切かどうかを圧力計で確認するようにしましょう。また、圧力調整機能があるエアーコンプレッサーであれば、作業内容に見合った圧力につど調整できるので便利です。
【作業別】エアーコンプレッサーの選び方
ここからは、作業別にエアーコンプレッサーの選び方を紹介していきます。用途によって適切な製品の特徴は異なるので、参考にしてみてください。
ボルトやナットの締め作業
ボルトやナットを締めたり緩めたりするインパクトレンチには、エアーコンプレッサーを動力源として使用する「エアーインパクトレンチ」があります。
最適なエアーコンプレッサーのスペックは製品によっても異なるので、購入時には確認が必要です。
エアーインパクトレンチを購入する際は、特に空気消費量を確認してください。
目安として、エアーコンプレッサーの吐出し空気量が、エアーコンパクトレンチの空気消費の1.5倍程度(1割以上余裕のある)になる製品を選ぶとよいでしょう。
塗装
エアーコンプレッサーを塗装に使用する場合は、オイルフリー式を選ぶようにしてください。
オイル式は圧縮された空気の中にオイルが混じってしまい、塗装の仕上りに多少なりとも影響してしまうためです。
空気使用料の少ないエアブラシでの作業が中心になる場合は、タンク容量は3~8L、馬力も0.25馬力程度あれば十分です。
逆にカップガンやスプレーガンで塗装する場合は多くのエアー・パワーを必要とするため、タンク容量は最低でも30L以上、馬力も1馬力以上のエアーコンプレッサーがおすすめです。
車全体の塗装をする場合には、70~100L程度のタンク容量が理想です。塗装している最中に空気切れを起こさないようにするためには、最低でも必要な容量とえいます。
ただ、タンク容量が70~100Lの製品はラインナップが少な目であり、価格も高い傾向があります。
その問題を解消するためには、エアーコンプレッサーのタンク部分に該当する「サブタンク」の購入を検討してみてください。
エアーコンプレッサー本体とサブタンクをエアーホースで接続することで、エアーを長時間利用できます。
研磨・切削
工場で金属やプラスチックを研磨・切削するために、エアーコンプレッサーがよく使用されています。
エアーグラインをエアーコンプレッサーに接続して、エアーサンダーを使用して素材表面の形状を整えたりするなど、色々な作業で活用できるのが強みです。
その他にも、金属パイプの切断や研磨、木材の切断に活用できる「ディスクグラインダ」など、エアーコンプレッサーの圧縮空気を動力源として稼働する様々な研磨・切削用のエアーツールがあります。
使用したいエアーツールのスペックを確認して、安全かつ効率的に作業が進められる製品を選びましょう。
タイヤへの空気入れ
エアーコンプレッサーはタイヤの空気入れにも活用できます。
タイヤの空気入れのみに使うのであれば、タンク容量は8~13L程度、馬力は0.5馬力程度の製品で十分です。
一般的な普通車の場合、タイヤの指定空気圧は220~270KPaが目安となっているので、エアーコンプレッサーの圧力制御もチェックしましょう。ほとんどのエアーコンプレッサーが800KPa程度の圧力制御に対応できるため、問題なく使えます。
タイヤの空気入れと同時にタイヤ交換も行いたい場合は、タンク容量は30L以上、馬力は1馬力以上の製品が理想です。これ以下のスペックでも作業自体はできますが、残圧低下により充填時間がかかる場合もあるので注意しましょう。
清掃
エアーコンプレッサーと組み合わせて「エアーブロワー・エアーダスター」を使えば、屋内外の清掃に活用できます。
エアーブロワーは床や車両についたホコリやゴミを吹き飛ばす目的で、清掃現場や園芸業で使われるのが一般的です。
エアーダスターは主に精密機器や電子部品の汚れを安全に除去するために使用されます。電子部品を乾燥させる用途としても利用でき、部品の損傷リスクを抑えながら水分を素早く除去できるのが魅力です。
エアーダスター中心に狭い範囲を短時間で掃除する場合は、そこまでタンク容量は必要ありません。
とはいえ、あまりに少な過ぎると何度も再充填する必要が出てきてしまうので、目安としてタンク容量は30L以上を最低ラインとしましょう。
また、馬力が大きい方が充填時間は短くなるので、より効率的に作業するなら1馬力以上のエアーコンプレッサーがおすすめです。
業務用の場合は大容量のタンクとパワーを持ち合わせた製品「レシプロコンプレッサー」が必要になる場合があります。
集合住宅など近隣に他の住人がたくさん住んでいる場合は、なるべく騒音が少ない給油式を選ぶようにしましょう。
高圧と常圧モデルの違いについて
エアー工具には、高圧か常圧のどちらに対応しているかが記載されています。そのため、エアーコンプレッサーも組み合わせるエアー工具に対応した製品を選ばなくてはなりません。
高圧モデルは高圧エアーに耐えられる設計になっており、主に建設現場をはじめ高い圧力とパワーを必要とするプロ向きの作業で活用されています。しかし、機器の重量が大きく扱いづらい、ピストンや回転部などへの負担が大きく摩耗しやすいといったデメリットもあります。
一方、常圧モデルはエアー切れを起こしづらく長時間の使用ができる点がメリットだと言われています。
一般的なエアー工具であれば基本的に使用できるため、汎用性の高さもあります。DIYからタイヤの空気入れ、塗装作業、清掃など幅広い用途で使用できるのが魅力です。
価格も高圧モデルと比較して安く、メンテナンス頻度も低いことから、初心者が始めて使う場合にも適しているといえます。
コンプレッサーの圧力について利用者からよく寄せられる質問の一つに、コンプレッサーを「常圧から高圧に変換できるのか」という内容があります。
結論をいえば、両モデルは設計構造が異なるため、常圧から高圧に変換はできません。
しかし一部のメーカーでは、常圧と高圧の両方に対応できる機能を搭載した汎用性の高い製品もあります。
用途に応じてより効率的な作業を実現できるように、選り好みせず幅広い製品を比較検討していきましょう。
まとめ
今回は、家庭用モデルのエアーコンプレッサーの選び方などについて解説していきました。
この他にもDIYや電動工具に関する知っておきたい知識は、まだまだあります。
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