ボール盤とフライス盤の違いや使い分けは?DIYで導入するメリットについて解説します
目次
ハンズクラフト西日本最大級の工具専門リユースショップです。
ハンズクラフト【工具専門】西日本最大級の総合リユースショップです。
当店は創業20年以上、工具・家電を中心に扱うリユース専門館です。お買取りした中古品を綺麗にメンテナンスして新たな価値を吹き込み、福岡・北九州地域を中心に沖縄や山口・広島まで14店舗を展開中です。各記事は工具専門のスタッフや、工具・家電の修理専門部門が監修・執筆しています。
ボール盤とフライス盤は工作機械の中でも代表的な存在で、プロ・アマ問わず、様々な場面で利用されています。
そんなボール盤とフライス盤ですが、それぞれの用途の違いや使い分け、そもそもDIYで導入する必要性があるのか?など、疑問に感じる方は多いです。
ということで今回は、ボール盤とフライス盤について解説していきたいと思います。
加工のバリエーションを増やしたい方や穴あけ加工などの効率化を図りたいと考えている方は、ぜひ、最後まで読んで参考にされてみてください。
ボール盤とは?
ボール盤は、木材や金属などの素材に穴あけ加工を行う際に利用される工作機械のひとつです。
穴あけ加工といえば、DIYではインパクトドライバーやドリルドライバーが主流ですが、より本格的な作業を行う場合は、ボール盤を導入する方も増えています。
その理由としては、「正確な穴あけ加工が効率的に行えるから」という点にメリットを感じる方が多いからだと言われています。
たとえば埋木作りや棚づくりなど繰り返し穴をあける作業が多いです。
そうした何度も同じ作業を行う、疲労や作業の熟練度によって加工精度にばらつきが生じてしまいます。
ですが、そんなときに役立つのがボール盤です。
ボール盤は素材をしっかり固定し、レバーを使用してドリルビットを垂直に降ろすため、初心者でも簡単に正確な穴あけ加工が可能です。
また穴を開けるだけではなく、穴を広げたり、ねじ穴を作ったりすることもできますし、木材やプラスチック、金属などの加工にも利用できますので、加工の選択肢やバリエーションが増えます。
さらにインパクトドライバーやドリルドライバーなどの電動ドリルでもよく起こる、作業中の怪我のリスクも減らすことが可能です。
こうしたメリットがあるため、DIY用途でも本格的な作業を行う場合は、ボール盤を購入する方が増えています。
フライス盤とは?
フライス盤は、金属や樹脂素材を「削って加工する工作機械」です。料理の世界で例えるなら、多機能調理器のような存在と言えるかもしれません。
なぜならフライス盤は平面を削ったり溝を掘ったりできるので、複雑な形状を作り出せるからです。
基本的な構造は下記の構成となっています。
- テーブル(加工する素材を固定する台)
- 主軸(回転する刃物を取り付ける部分)
- コラム(機械全体を支える柱)
上記の部分が協調して動くので、精密な加工が可能になります。
フライス盤の特徴は、まず多様な加工ができる点です。平面を削る、溝を掘る、穴を開ける、曲面を作るといった、多くの加工が1台で行えます。
料理人が1つの調理器具で野菜を切ったり、すりつぶしたり、混ぜたりするように、フライス盤も多彩な加工をこなせるでしょう。
またフライス盤は、非常に精密な加工も得意です。時計職人が微細な部品を作るような精度で、複雑な形状や細かい溝を作り出すこともできます。
さらにフライス盤は効率的な作業も可能です。同じ形状の部品を大量に作る場合、フライス盤なら同じ形の部品を効率よく作れます。
初心者の方にとっては少し複雑に感じるかもしれませんが、使いこなせるようになれば素材を自在に形作れるでしょう。
ボール盤とフライス盤の違い
ボール盤とフライス盤は、工作機械の中でも代表的な存在です。しかしその特徴や用途には大きな違いがあります。
そこでボール盤とフライス盤の主要な特徴を比較した表を作りましたので、照らし合わせながら、両者の違いを確認してみてください。
|
ボール盤 |
フライス盤 |
おもな用途 |
穴あけ加工に特化 |
平面・溝・曲面の削り出しと多用途 |
加工方法 |
素材にドリルを押し当てて穴を開ける |
素材を削り取る |
使用する工具 |
ドリル、リーマ |
フライス、エンドミル |
機械構造 |
垂直主軸 |
主軸の向きによって構造が異なる |
加工の精度 |
単純な穴あけの精度 |
高精度な加工が可能 |
汎用性 |
基本的な穴あけに特化 |
多様な加工が可能 |
産業の使用例 |
木工、金属加工 |
金属加工、機械部品製造業 |
この表から、両機械のおもな違いが明確になります。ボール盤はおもに穴あけ作業へ特化しており、比較的シンプルな構造と操作が特徴的です。
垂直に配置された主軸へドリルを取り付け、素材に穴を開けます。木工や一般的な金属加工と、幅広い分野で活用できるでしょう。
一方でフライス盤は、もっと複雑で多様な加工が可能です。回転する工具で素材を削り取るので、平面加工や溝加工、複雑な形状の加工まで行えます。
多軸方向の動きが可能な構造を持っているため、高精度な加工が実現しました。おもに金属加工や精密機械部品の製造に使用されます。
加工精度の面でも、フライス盤はボール盤よりも高い精度が実現可能です。
ただ同時に操作の複雑さも意味しており、フライス盤の操作にはより高度な技術と知識が必要となります。
使用する工具も異なるのが分かるでしょう。ボール盤ではドリルやリーマが使用されるのに対し、フライス盤ではフライスカッターやエンドミルを使用。
より多様な切削工具が使われます。作業の内容や求められる精度、生産性を考慮して適切な機械を選択しなくてはなりません。
ボール盤とフライス盤の具体的な使い分けについて
ボール盤はおもに、単純な穴あけ作業に適しています。しかしその利用シーンは多岐にわたると言えるでしょう。
- 家具部品に穴をあける場合
- 金属板への取り付け穴作成
- プリント基板への穴あけ
- 量産される金属部品への穴あけ
同じサイズの穴を多数開ける必要がある際も、ボール盤を使うと効率的です。パイプや棒材への長い穴あけと、深い穴の加工にも適しています。
一方でフライス盤は、より複雑で多様な加工ができる工作機械です。
- 金型の製作
- 雑な機械部品の加工
- 平面、溝、曲面といった多様な形状加工
精密機器の部品製作や計測器具の製作、ミクロン単位の高精度な加工が要求される場面でも重宝されます。
また自動車のエンジンブロックや航空機部品の加工といった、大型部品の加工にも最適です。
一つの部品に対して複数の加工を施す必要がある場合、工作機械の部品製作や産業用ロボットの部品加工にも使用されます。
さらに新製品開発時の試作品製作(例えば新型スマートフォンの筐体試作や、新しい機械部品の開発)にも使われることが多いです。
ボール盤とフライス盤の使い分けポイント
具体的な使い分けのポイントも見ていきましょう。詳しくは下記の5つです。
- 加工の複雑さ
- 要求される精度
- 生産規模
- 作業者のスキル
- コスト
まず単純な穴あけのみで、一般的な精度で良い場合はボール盤が適しています。
一方で複雑な形状や多様な加工、高精度な加工が必要な場合はフライス盤を選択してください。
また小規模生産や個人使用にはボール盤が良いでしょう。中~大規模生産や専門的な加工には、フライス盤が適しています。
作業者のスキルも考慮し、初心者や一般ユーザーにはボール盤。熟練工や専門技術者にはフライス盤が最適です。
そして低コストで簡易な加工にはボール盤、高度な加工に投資可能な場合はフライス盤が選択されます。
このようにボール盤とフライス盤は、それぞれの特性に応じて適切な場面で使い分けなくてはなりません。
加工の内容や精度の要求、生産規模、作業者のスキル、コストを総合的に考慮して見ると良いでしょう。
旋盤とボール盤の違いについて
ボール盤やフライス盤のほかに、旋盤というものがあります。同じ加工機材として扱われることが多いものの、その特性を理解していないと使い分けが難しいです。
そこで本項目では、旋盤の概要と使い分けについて比較しました。
旋盤もメジャーな加工機材なので、特性を把握しながらどちらを利用するか決めると良いでしょう。
旋盤とは?
旋盤とは金属や木材を「回転させながら切削加工を行う工作機械」です。
素材を高速で回転させ、その表面に刃物を当てることで、円筒形や円錐形、さらには複雑な曲面形状の部品も作り出せます。
初心者の方もイメージしやすいように、例えを交えながら解説しましょう。
例えば陶芸家が回転する轆轤(ろくろ)を使って形を成形するように、旋盤は回転する素材を削り、思い通りの形に仕上げていきます。
そしてりんごの皮をむくときのように、素材の表面を均一に削り取ることも可能です。
旋盤のおもな構造は、下記の3点から成り立っています。
- 素材を回転させるチャック(主軸台)
- 刃物を固定するツールポスト(刃物台)
- 加工を制御するための送り装置
上記の部分がそれぞれ協調して動くので、精密な加工が可能です。
旋盤を使うとボルトやナットのような円筒形の部品から、コマのような複雑な形状の部品までさまざまなものを作れるようになるでしょう。
まるで彫刻家が石を彫るように、旋盤オペレーターは回転する素材から不要な部分を削り取り、目的の形状を生み出していくのです。
旋盤の特徴は、高い精度で円形状の加工ができること。職人が精密な歯車を手作りするように、旋盤を使えば非常に正確な円形部品を製作できます。
旋盤1台あれば多様な製品加工が可能
旋盤は多様な加工に対応できるのも特徴です。
- 内径加工(穴を広げる)
- 外径加工(外側を削る)
- 端面加工(端を平らに削る)
- ねじ切り加工
上記のように、多くの加工品目を1台の機械で行えます。
旋盤は非常にメジャーな加工機械として、幅広く使われているものです。
機械部品の製造や自動車部品の製作、航空宇宙産業での精密部品の加工…非常に幅広く使われています。
DIY愛好家の中にも、小型の旋盤を使って木工や金属加工を楽しむ人々がいるほど。
少し初心者の方には複雑と感じる機械かもしれませんが、使いこなせればかなり精度の高い部品づくりや加工を行えるようになります。
ボール盤との違いや具体的な使い分けについて
ボール盤と旋盤は、どちらも工作機械として広く使用されています。しかしその特徴と用途には大きな違いがあり、知らないと使い分けができません。
ボール盤はおもに、穴あけ作業に特化した機械です。固定された素材に対して、回転するドリルを押し当てて穴を開けるのが基本。
比較的シンプルな構造で、操作も直感的です。初心者でも扱いやすい機械として知られています。
ボール盤は木工や金属加工の現場で広く使用され、家具製作での部品への穴あけや、金属板への取り付け穴の作成にも適しているでしょう。
同じサイズの穴をたくさん開ける必要がある場合にも、どんどん動かして穴あけをしていけるので効率的です。
一方で旋盤は、素材を回転させながら切削加工を行います。
おもに円筒形や円錐形の部品を作るのに適しており、外径加工や内径加工、ねじ切りといった多様な加工が得意です。
旋盤は工作物を回転させ、固定された刃物(バイト)を当てて切削します。円形状の部品を高精度に加工するなら、旋盤以外の手段では非効率的でしょう。
- 機械部品の製造
- 自動車部品の製作
- 航空宇宙産業での精密部品の加工
非常に幅広い産業分野で活用されているため、上記のような分野でも活躍中です。
ボール盤と旋盤の使い分けポイント
具体的な使い分けとしては、下記の表にまとめましたので比較しながら見てみましょう。
|
旋盤 |
ボール盤 |
おもな用途 |
円筒形や円錐形の部品加工 |
穴あけ作業 |
加工方法 |
素材を回転させ、固定刃物で切削 |
固定素材に回転ドリルで穴あけ |
加工の多様性 |
外径・内径・端面加工、ねじ切りなど |
主に穴あけ、リーマ加工、タップ立て |
精度と複雑さ |
高精度、複雑な形状可能 |
比較的単純な穴あけに適する |
主な使用分野 |
機械部品製造、自動車産業、航空宇宙産業 |
木工、一般金属加工、DIY |
操作の難易度 |
やや高度な技術が必要 |
比較的簡単 |
適する作業規模 |
中〜大規模生産、専門的加工 |
小規模生産、個人使用 |
単純な穴あけ作業や、多数同じサイズの穴を開ける必要がある場合はボール盤が適しています。
例えばDIYや小規模な工房での作業や家具製作、簡単な金属加工などの場合は、ボール盤が得意な領域です。
一方で、円筒形の部品や複雑な形状の回転体を作る必要がある場合は旋盤を選択するほうが適しています。
例えば、自動車のシャフトやボルトなどのより精密さが必要とされる作業の場合に旋盤が使用されることがほとんどです。
イメージとしては、特殊な加工を行いたい場合や精密さが必要とされる加工の場合は旋盤を、DIYや単純な穴あけ加工が中心の場合はボール盤がおすすめです。
まとめ
今回はボール盤とフライス盤について、それぞれの用途の違いや使い分け、そもそもDIYで導入する必要性があるのか?などについて解説していきました。
この他にもDIYや電動工具に関する知っておきたい知識は、まだまだあります。
ぜひ、その他の関連記事も読んで参考にされてみてください。
関連記事
不要な工具は
ハンズクラフトへ
工具専門で20年
買取価格に自信があります!
大切な工具だからこそ、工具専門店にお任せください。