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冷温庫の選び方や冷蔵庫との違い、冷却方式ごとのメリット・デメリットを解説します

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最近では、携帯性の良い製品も登場し、よりDIYやサブの冷蔵庫として活用されている冷温庫。

容量こそ冷蔵庫には劣りますが、その機能や用途は幅広く、温度調節の幅広さに魅力を感じ、アウトドアシーンでの利用も増えています。

そんな冷温庫、ファン式やペルチェ式など冷却方式にいくつかの種類が存在しますので、どう選ぶべきか悩まれている方もいるのではないでしょうか。

ということで今回は、冷温庫について選び方や冷蔵庫との違い、冷却方式ごとのメリット・デメリットについて解説していきます。

冷温庫の導入を検討している方は、ぜひ、最後まで読んで参考にされてみてください。

まずは冷蔵庫と冷温庫の違いについて解説していきます。

冷蔵庫と冷温庫の違いは冷却方法の違い

冷蔵庫と冷温庫のもっとも大きな違いは、冷却方法にあります。

一般的な冷蔵庫はコンプレッサーを利用して冷媒を圧縮・膨張させて庫内を冷却しますが、冷温庫の場合は製品よって冷却方法が異なり、冷却方法によってメリット・デメリットが分かれます。

たとえば、ペルチェ素子を使用した「電子冷却方式(ペルチェ式)」を採用している冷温庫の場合は、冷媒を使用しないため環境負荷が少なく、圧縮機のような駆動部がないため、騒音や振動がほとんどありません。

また、冷蔵庫の場合は機能が「冷蔵や冷凍のみ」ですが、冷温庫の場合は冷蔵や冷凍だけではなく、保温機能も搭載されています。

ただし、冷温庫の冷凍機能に関しては製品によっては機能が無い場合もありますので注意が必要です。

次に冷温庫の冷却方法の種類とそれぞれの違いについて解説していきます。

冷温庫の冷却方法の種類とそれぞれの違いについて

冷温庫の冷却方法には、「コンプレッサー直冷式」「ファン式」「電子冷却方式(ペルチェ式)」の3種類が存在します。

それぞれにメリット・デメリットが存在しますので、それぞれの特徴について知っていくことは、冷温庫選びに欠かせない知識です。

冷蔵庫や冷温庫の性能を左右する重要な要素として、冷却方法があります。おもに3つの方式が一般的です。

上記の冷却方式には、それぞれ長所と短所があるため、用途や使用環境に応じて適切な方式を選択してみてください。

コンプレッサー直冷式

コンプレッサー直冷式は、従来の冷蔵庫で広く採用されている冷却方式です。

この方式は圧縮機(コンプレッサー)を使用して冷媒を圧縮し、その後急激に膨張させて生じる「吸熱反応」を利用して冷却を行います。

この方式に見られる特徴は以下のとおりです。

  • 高い冷却能力:強力な冷却が可能で、大容量の冷蔵庫に最適
  • シンプルな構造:冷却パイプが庫内を直接冷やすため、構造がシンプル
  • コスト効率:ほかの方式と比較して製造コストが抑えられる

一方でデメリットとして庫内の温度分布が不均一になりやすい温度むらや、コンプレッサーの動作音・振動が発生する点が挙げられます。

ほかにも湿度の高い環境では霜が付きやすく、定期的な除霜が必要です。

コンプレッサー直冷式は大型冷蔵庫や業務用冷蔵庫といった、強力な冷却性能が求められる場面で広く使用されてきました。

家庭用冷蔵庫では、より静音性や省エネ性能に優れたファン式やインバーター制御との組み合わせが増えてきています。

ファン式

ファン式は庫内ではなく庫外の冷気を効率的に循環させ、均一に冷やす冷却方式となっています。

冷却の仕組みは庫外にあるコンプレッサーで冷却された冷気を使い、ファンを使って庫内全体に循環させます。

庫内全体に冷気が行き渡るため、温度むらが少なくなるのは大きなメリット。空気の循環により、霜も付きにくくなります。

均一な温度分布により、食品の保存状態も向上。冷却器が小型化でき、庫内スペースを広く使えます。

ただし空気を循環させるファンの音が発生するのは避けられません。(意外と周波数的に、ファンの音が気になってしまう方も)

ファン式は多くの冷蔵庫で採用されており、とくに大型の冷蔵庫や冷凍冷蔵庫で効果を発揮します。

コンプレッサー式と組み合わせて使用され、効率的な冷却と食品保存を実現している方式です。

ペルチェ式(電子式)

ペルチェ式(電子式)は、半導体素子を利用した冷却方式です。冷温庫や小型の冷蔵庫に採用されています。

実はペルチェ素子と呼ばれる半導体に電流を流すと、一方の面が冷却され、もう一方の面が発熱。

電流の量や方向を変えれば、冷却と加熱を自在に制御できます。

さらに圧縮機のような駆動部がないため、騒音や振動がほとんどありません。電流調整により、急激な温度変化なく設定温度まで調整できます。

フロンのような冷媒を使用しない点も、環境負荷が低い面から大きなメリットです。

シンプルで小型化しやすい構造から、ホテルの客室や限られたスペースに最適。適切な制御により、消費電力を抑えられます。

ただし大型の冷蔵庫に比べると、冷却能力に限界がある点は押さえておかなくてはなりません。

外気温との温度差も大きい場合は、効率が低下してしまうでしょう。

ペルチェ式(電子式)は静かな環境での使用や、温度制御の精密さが求められる場面でとくに威力を発揮します。

寝室やホテルの客室、オフィス、静粛性が重視される場所での使用におすすめです。

温度調節の柔軟性を活かし、ワインセラーや化粧品の保管、特定の温度帯での保存が必要な用途にも適しています。

次に冷却方式ごとに、メリットとデメリットを解説していきます。

冷却方式ごとのメリットとデメリット

冷蔵庫や冷温庫の選択において、冷却方式の特徴を理解することは非常に重要です。

この章では、それぞれの冷却方式によって異なる、メリットとデメリットについて解説していきます。

コンプレッサー直冷式のメリット

コンプレッサー直冷式は、従来から広く使用されている冷却方式です。以下のような4つのメリットがあります。

  • 強力な冷却能力
  • シンプルな構造
  • コスト効率
  • 長寿命

大容量の冷蔵庫や冷凍庫に適しており、素早く効率的に庫内を冷やせます。外気温が高い環境下でも安定した冷却性能が強みです。

冷却パイプが庫内を直接冷やす仕組みのため、構造がシンプルなのも特徴と言えるでしょう。部品が少ないので、故障のリスクが比較的低いです。

また部品が少ない上に構造がシンプルとなっており、製造コストを抑えられます。シンプル構造と堅牢な部品により、長寿命化も実現しました。

適切なメンテナンスを行えば、10年以上の使用もまったく珍しくありません。

コンプレッサー直冷式は今でも多くの冷蔵庫で採用されており、とくに大容量や強力な冷却が必要な場面で重宝されています。

コンプレッサー直冷式のデメリット

コンプレッサー直冷式冷蔵庫には、以下のようなデメリットがあります。

  • 霜の発生
  • 運転音
  • 温度むら

コンプレッサー直冷式は構造上、定期的な霜取りが必要です。1~2ヶ月に一度程度、霜取り作業を行わなくてはなりません。

霜を放置するとどうなるの?と思うかもしれません。実は放置していると冷却効率が低下し、スペースも圧迫します。

コンプレッサーの動作音や振動が発生する点もデメリットです。現在の方式はかなり音が静かになったものの、業務用クラスだとかなりの騒音になります。

また庫内の温度分布が不均一になりやすい傾向です。とくに外気温が高い環境では、温度むらとともに冷却効率が低下しやすくなります。

ただしこういったデメリットは、使用環境や個人の優先事項によって影響の度合いが異なってくるでしょう。

霜取りの手間や運転音は設置場所や使用頻度により重要度が変わってくる可能性があります。

ファン式のメリット

ファン式は以下のようなメリットがあります。

  • 自動霜取り機能
  • 均一な温度分布
  • 高い冷却効率
  • 大容量対応

定期的な霜取り作業が不要で、メンテナンスが容易です。ヒーターが設置されており、自動で霜取りを行い購入時の冷却機能を維持できます。

冷気がファンによって強制的な循環を行うため、庫内の温度分布が均一化。食品が均一に冷凍・冷蔵され、鮮度保持に優れています。

ファンによって冷気を効率循環させられるので、省エネルギー性能にも◎。外部に冷却器が設置されている点から、庫内スペースを有効活用できます。

この方式は中型から大型の冷蔵庫に適していて、ファミリー向けの大容量モデルに多く採用されているのも特長です。

上記メリットから、ファン式冷温庫は大型冷蔵庫や高機能モデルで広く採用されています。使いやすさと効率性を重視するならファン式が良いでしょう。

ファン式のデメリット

ファン式冷温庫のデメリットも見ていきましょう。まず運転音です。ファンが常時稼働するため、一定の騒音が発生します。

静かな環境を好む人や、寝室近くに設置する場合は気になってしまうかもしれません。

ファンという可動部品が増えるため、故障の可能性が若干高まります。長期使用によるファンモーターの劣化や、ほこりの蓄積による不具合もやや高いです。

やや構造が複雑になり、同等サイズの直冷式と比べて価格が高くなります。ファンや冷却器にほこりが蓄積しやすく、定期的な清掃も必要です。

※清掃を怠ると、冷却効率の低下や異臭の原因を引き起こす可能性。

また空気の循環が活発なので、適切な保存容器を使用しないと食品が乾燥しやすくなります。

ペルチェ式(電子式)のメリット

ペルチェ式(電子式)冷温庫には、以下のようなメリットがあります。

  • 静音性
  • 温度制御の柔軟性
  • 小型・軽量
  • 省エネ性

ペルチェ式は可動部品がほとんどないため、とても静かに動作します。寝室やオフィスといった、静かな環境での使用に最適です。

冷却と加熱の両方が可能で、幅広い温度帯(約5℃〜55℃)での調整ができます。

精密な温度制御が可能になっており、ワインセラーや化粧品の保管といった特定の温度管理が必要な用途に良いでしょう。

構造がシンプルで小型化しやすいのもポイント。限られたスペースでの使用ならペルチェ式が有利です。

※ポータブルタイプの製品にペルチェ式が多いのは、このメリットが大きいからと言えます。

適切な制御により、消費電力を管理しやすい点もおすすめしやすい点です。とくに小容量の場合、従来の冷蔵庫と比べて省エネ性に優れています。

構造がシンプルで可動部が少ないため、メンテナンスもしやすいです。構造から霜取りの必要がなく、定期的なお手入れの手間も少なくて済みます。

電子式で振動がほとんどなく、デリケートな物品ならペルチェ式が良いでしょう。ワインや高級化粧品の保管に向いています。

ペルチェ式(電子式)のデメリット

ペルチェ式(電子式)冷温庫は、いくつかのデメリットがあります。一般的な冷蔵庫で使われないデメリットとして、冷却能力の制限が挙げられるでしょう。

ほかの冷却方式と比べて冷却能力が低く、5℃以下にするのは難しいです。冷凍機能がなく、食品の冷凍保存はできません。

外気温との温度差が大きい場合、効率が低下する傾向もあります。冷却効率が低いため、長時間の連続動作が必要です。消費電力が大きくなってしまうでしょう。

特に小容量の製品では、従来の冷蔵庫と比べて電気代が高くなる可能性も。

上記のデメリットを踏まえたうえで、適した環境での利用を選択してください。適した環境であれば、非常にメリットが活きます。

次に、冷温庫の選び方について解説していきます。

冷温庫の選び方

冷温庫は、保冷と保温の両機能を備えた便利な家電です。しかし多様な製品が市場に出回っているため、自分に最適な一台を選ぶのはかんたんじゃありません。

そこでこの項目では容量や温度調整機能、サイズや価格といった冷温庫選びの重要なポイントを詳しく解説します。

この要素を考慮すれば、あなたのニーズに合った理想の冷温庫が見つかるでしょう。

容量の選び方

冷温庫の容量選びは、使用目的や家族構成によって大きく変わります。以下のポイントを参考に、最適な容量を選びましょう。

例えば世帯人数の容量目安は下記のとおりです。

  • 一人暮らし:150~200L
  • 2人暮らし:200~400L
  • 3~4人家族:400~500L
  • 5人以上の家族:500L以上

上記だと非常に大きく、一般的な冷蔵庫の選択となってしまいます。冷温庫だと大容量のものは選択しにくいため、使用目的別の選び方からも選んでみましょう。

  • 飲み物の保冷用:20~40L
  • ワインセラー用:50~100L
  • 化粧品保管用:10~30L

容量計算の基本式も覚えておくと安心です。

70L × 家族の人数 + 100L(常備品) + 70L(予備容量)

適切な容量を選べば価格に見合った冷温庫が手に入る上、省エネにもつながります。冷温庫の機能や使い勝手も考慮に入れ、総合的に判断してみてください。

温度設定

冷温庫の温度設定機能は使用目的や保存する内容物に応じ、適切な温度を維持するために重要です。

一般的な冷温庫では、-9℃~60℃程度の広い範囲で温度設定が行えます。

製品によって保冷時は約5~25℃、保温時は約20~50℃といった具合に、モードによって設定可能な温度範囲が異なる場合もあるでしょう。

ほかにも3段階や7段階といった、あらかじめ設定された温度レベルから選択するタイプもあります。

最近では1℃ごとに細かく温度を調整できるタイプも増えてきました。より精密な温度管理が可能です。

デュアル温度設定タイプも主流になっています。一部の2ドアタイプ冷温庫では、上下や左右で異なる温度設定が可能です。

断熱材の違い

冷温庫選びは、断熱材の種類も重要です。使われている種類と特徴も見ていきましょう。

■発泡プラスチック系

  • ポリスチレンフォーム:軽量で安価、断熱性能は中程度
  • 硬質ウレタンフォーム:高い断熱性能、やや高価

■無機繊維系

  • グラスウール:安価で普及率が高い、湿気に弱い
  • ロックウール:耐火性に優れる、やや高価

最後に真空断熱材です。この断熱材は高い断熱性能を誇り、薄くて軽量。しかし非常に高価です。

家庭用冷温庫の場合、ポリスチレンフォームや硬質ウレタンフォームが一般的となっています。

ポータブル冷温庫は軽量性が重要なため、ポリスチレンフォームや薄型の真空断熱材を使用した製品がおすすめです。

断熱性能の指標についてもまとめました。

  • 熱伝導率:値が小さいほど断熱性能が高い
  • ポリスチレンフォーム:約0.04 W/m・K
  • 硬質ウレタンフォーム:約0.024 W/m・K
  • 真空断熱材:約0.004 W/m・K
  • 断熱材の厚さ:厚いほど断熱性能が高くなる

価格と性能のバランスも見ていきましょう。

  • 低価格帯:ポリスチレンフォーム、グラスウール
  • 中価格帯:硬質ウレタンフォーム、ロックウール
  • 高価格帯:真空断熱材

意外と断熱材の種類と性能を比較することは少ないでしょう。多くの場合はスペックや機能を重視するからです。

しかし、高い断熱性能は省エネにつながるため、長期的にはランニングコストの削減に貢献します。

静音性

冷温庫の静音性は、快適な使用環境を維持する上で重要です。スペック表を見ながら、静音性の項目も見ていきましょう。

一般的な運転音レベルだと、多くの冷温庫は30〜40dB程度の運転音です。

40dBは市内の深夜や図書館の中程度の音、30dBはささやき声程度の音量に相当します。

快適な音量レベルを目指していってください。睡眠に影響を与えず、室内で快適に過ごせるのは30dB以下とされています。

静音性にこだわる場合は、25dB以下の運転音を目安にすると良いでしょう。

方式も非常に重要です。ペルチェ式(電子式)は一般的に静音性が高く、コンプレッサー式よりも静かに運転します。

ファン式(コンプレッサー式)は比較的大きな音がするため、注意しなくてはなりません。

製品仕様で騒音値(dB)が記載されているか確認しましょう。低騒音システムを搭載しているモデルも静音性が高い傾向です。

実際の使用感については、ユーザーの口コミも参考になります。気になる製品があったら総合的に判断してみてください。

ただし静音性は冷却性能を犠牲にする傾向があります。パワフルに動作するものほど、静音性は低いと思えば分かりやすいかもしれません。

冷温庫を選ぶ際は上記の点を考慮し、自分の生活環境や使用目的に合った静音性を持つモデルを選びましょう。

とくに寝室や静かな環境で使用する場合は、25dB以下の運転音を目安にするのがおすすめです。

まとめ

今回は冷温庫について選び方や冷蔵庫との違い、冷却方式ごとのメリット・デメリットについて解説していきました。

この他にも、DIYや電動工具に関する知っておきたい知識は、まだまだあります。

ぜひ、その他の関連記事も読んで参考にされてみてください。