防塵マスクと防毒マスクの違いや選び方について解説します
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皆さんは防塵マスクと防毒マスクの違いについてご存知ですか。
特殊な現場でしか利用しないため、きちんとその違いを理解している方は意外と少ないかもしれません。
ということで今回は、防塵マスクと防毒マスクの違いや選び方について解説します。
◆防塵マスクについて
防塵マスクは工事現場や製造現場などで使用され、空中に飛散する粒子状物質の吸入防止のために着用するマスクです。産業用マスクとも呼ばれることがあります。
防塵マスクは使い捨て式と取り替え式に分けられます。使い捨て式は濾過材と面体部分が一体型となっている簡易的なタイプで、使い捨て式が一般的です。
一方、取り替え式は、何度も使用する面体部分と、取り替えできるカートリッジの形となった濾過材を組み合わせるタイプとなります。
防塵マスクには「D」「R」「S」「L」の4つの規格があり、「D」は使い捨て式、「R」は取り替え式、「S」は固体粒子、「L」は液体粒子という意味です。
またアルファベットの末尾に1〜3の数字が付いており、数字が大きいほど捕集性能が高いことを意味します。
たとえばDS3という規格のマスクは使い捨て式で、固体の試験粒子を99.9%以上捕集することができるマスクです。
ただし環境に応じた適切なスペックの防塵マスクを使用しなければならず、必ずしもスペックが高ければ良いというわけでもないので注意が必要になります。
防毒マスクについて
防毒マスクは有毒ガスや混在する粒子状物質の除去において活躍するマスクです。有機ガス、ハロゲンガス、酸性ガス、アンモニア、亜硫酸ガス、硫化水素などの有毒ガスに効果があります。
それぞれに対応するカートリッジ型吸収缶を取り付けたマスクを着用することで効果を発揮し人体を防護します。
しかし有毒ガスの濃度が規定の上限を超えている場合や、酸素濃度が18%未満の環境では使用できません。
またガスの種類に応じた専用の吸収缶を使用しなければ、防御の効果がありません。
防塵マスクと防毒マスクの違いについて
防塵マスクは作業等で発生する粒子状の物質を、口や鼻から吸い込まないようにするための呼吸用保護具です。
細かな粒子が気管支や肺に侵入し、障害を起こすのを防ぐために防塵マスクが使用されます。
具体的にはコンクリートの微細な粉末や飛散した塗料、金属材料の見えないくらい小さな破片など、そのもの自体に毒性はないが吸入すると健康に悪影響を及ぼす微粒子を防ぐために使用する装備です。
防毒マスクは環境に存在する有毒ガスを吸収缶で除去し、吸入する空気を浄化するためのマスクです。
科学的に中和や解毒するだけでなく毒性を持つガスや微粒子の浸入も防いでくれるので「防毒マスク」であれば必ず「防塵マスク」としての性能も備えているのが特徴です。
通常のマスクと防塵マスク・防毒マスクの違い
コロナウイルス、花粉症等でよく目にする不織布のマスクとは違い、防塵マスク・防毒マスクは国家検定という規格があります。
この規格は防塵マスクなら粉塵の捕集性能、防毒マスクなら使用する吸収缶の浄化性能等の規格です。
作業において防塵マスク・防毒マスクを使用する際は、厳しい規格の国家検定に合格しているものを使用しなければいけません。
不織布マスクよりも、防塵マスクは顔への密着性が高く、粉塵の捕集性能が高く防護性が高いマスクです。
防塵マスクの選び方について
つぎに防塵マスクの選び方について解説します。
フィットするものを選ぶ
性能の高いマスクを使用しても、顔との間に隙間があってはそこから粉塵などが入ってしまうと意味がありません。隙間があると20%以上も防塵マスクの効果を下げてしまうと言われています。
自分の顔に合ったサイズや形状のマスクを選ぶようにしましょう。また顔と接する部分がゴムなどの柔らかい素材で、かつベルトで締め付けを調整できるタイプは密着度が高く隙間ができにくいとされています。
国家検定に合格したものを選ぶ
防塵マスクには国家検定があり、合格したものを選ぶようにしましょう。日本基準やアメリカ基準など様々な基準がありますが、いずれかの基準に適合したものを選ぶと良いです。
特に業務で使用する場合には国家検定に合格したものを使わなければならない場面もあるので注意が必要となります
用途や目的に応じて選ぶ
防塵マスクは用途や目的に応じて選ぶ方法もあります。
花粉、PM2.5
花粉やPM2.5は大変細かい粒子で通常のマスクでは防ぎきれません。花粉は季節によって異なる種類のものが飛散します。
近年は中国でのPM2.5の健康被害が話題となっており、2013年に中国日本大使館は外出する際にN95のマスクの着用を推奨しており、日本の基準でいえばDS2以上です。
花粉については30〜40μmと粒子がPM2.5より大きいため、DS1以下のものでも防げます。
塗装
スプレーやエアーガンで塗装する際には、空気中に飛び散った塗料が粉塵になります。塗料によっては有機溶剤など有毒な機体を含み、防塵に加え防毒の機能を持った防塵防毒マスクを使わなければいけません。
活性炭タイプなら使いきりで手軽に使うこともできるので清潔に使う事ができるのでオススメです。
オイルミスト
オイル式のエアーコンプレッサーなどオイルミストが出る機械を使うときには、液体粒子に対応したマスクを選びましょう。
日本の規格であれば「L」がつくもの、アメリカ規格であれば「P」が付くものを選ぶ必要があります・
研磨・溶接
木工研磨の場合はDS1、RS1、DL1、RL1の防塵マスクで対応できるでしょう。溶接の場合はヒュームを防ぐため、液体粒子も防ぐDS2、RS2、DL2、RL2以上が必要となります。
アスベスト
アスベストは近年健康被害で大きく問題になり、現在は使用が禁止されています。古い建物などでは使われていることもあり、解体現場などで作業する人もいるでしょう。
作業によってどのマスクが適しているかの基準があり、多くの作業は粒子補修効率99.9%以上となるRL3、RS3が必要です。
作業によってはより高性能のS級が必要なものもあり、健康被害があるため厚生労働省のホームページなど充分確認しましょう。
防塵マスク使用時の注意点
次に防塵マスクの使用時の注意点について解説します。
正確に着用する
防じんマスクは日常的に使用していると、正確に着用してしまわなくなってしまうものです。ですが間違って使用すると、効果が充分に期待できなくなったり、健康障害をひきおこす危険性があります。
着用目的をしっかり理解しているか、正しく着用しているか、フィルターの交換や保管など管理が十分にできているかを定期的に確認することが重要になってきます。
まずマスクの着用はあごのほうからマスクを顔面にあて、締めひもを締めるようにします。この時に締めひもは緩すぎても、強く締めすぎてもいけません。
取り替え式マスクを使用する場合は、フィットテストを行うようにしましょう。フィットテストとはフィルター以外の部分から、空気の漏れがないか密着性を確認するものです。
手のひらでフィルター部分を完全に覆い、息を吸ったときに空気が吸引されずにマスクが顔に張りつくのが確認できれば大丈夫です。
密着性の状態は良好で正しく着用できているという証になります。万が一にもマスクに漏れがあり、有害な場所で作業をしてしまえば大変危険です。
しかし使い捨て式のものは構造上、フィットテストができません。そのため、使い捨て式のものはアスベストなどの有害性の高い粉じんのある現場では使用しないようにしましょう。
フィルターの交換をする
フィルターの交換は定期的に行うようにしましょう。交換時期については作業環境測定結果などを参考にしてください。定期的な交換をするために、管理者はフィルターの交換時期を記録すると良いでしょう。
交換時期前でも目詰まりして通気が悪くなったときには、早めに交換するように指導してください。
マスクの保管方法
マスクの保管はホコリのない乾燥した場所にしてください。直射日光の当たる場所や、温度が高い場所、及び粉じん作業場内は避けるようにしましょう。
また締めひもをフックなどにかけて、マスク本体を吊すのはお勧めしません。締めひもの弾力が失われ、着用したときの密着性が失われてしまうからです。
保管例としてマスクが入る大きさの食品保存用密閉容器や、密閉袋などに乾燥剤とともに保管すれば乾燥させた状態で保管する事が可能となります。
防塵マスクと防毒マスクのオススメメーカーについて
最後に防塵マスクと防毒マスクを買うならオススメしたい、メーカーについて解説します。
3M
3Mはアメリカのミネソタ州セントポールに本社を置く企業であり、登記上の社名は、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング・カンパニーです。
科学製品、自動車部品、文房具まで幅広いカテゴリーで製品を展開しています。創業から12年後の1914年にスリーエムアイトという名前の合成研磨材が誕生しました。
この製品が当時成長産業であった自動車業界からの圧倒的な支持を受け、3Mはサンドペーパー業界で名前が知られるようになります。
2019年の売上高は321億ドルで、営業利益は68億ドルで営業利益率は21.2%です。世界70か国に拠点があるグローバル企業となっています。
3Mは防塵マスクだけでも数多くの種類が発売されており、防毒マスクや医療用マスクなど幅広いラインナップがあるのが特徴です。
株式会社重松製作所
株式会社重松製作所は、1917年創業の呼吸用防具メーカーです。産業用防毒マスクや防じんマスクを製造し、消防や自衛隊など公安職向けの自給式呼吸器の販売を行っています。
重松製作所は、1917年に個人商店として発足し、工場や鉱山労働者向けに防じん・防毒マスクや保護眼鏡を製造する事業を始めました。
戦災で営業所や工場の焼失という大きな危機もありましたが、1947年に再操業を果たしてからは呼吸用保護具で順調に業績を伸ばしました。
2004年にジャスダック市場に上場し、呼吸用保護具の国内トップメーカーにまで成長しました。主力製品は防毒マスクや防じんマスクなどの呼吸用保護具。
電動ファン付き呼吸用保護具「シンクロシリーズ」をはじめ、鉄鋼、自動車、原子力、化学等のあらゆる産業の現場で使用されています。
火災・テロなどの災害時に活躍する空気呼吸器は空気呼吸器なども手掛けており、自衛隊や消防、警察などの官公庁の公安職の現場においても使用されています。
興研株式会社
1963年12月に創業した興研は、防じんマスクを主力製品として出発し、呼吸用保護具の分野ではトップメーカーの地位を確立しています。
防じん・防毒マスク、空気呼吸器の製造・販売を行っており、製造現場、医療現場、一般消費者向けなど、様々なタイプのマスクを開発しています。
医療現場向けの感染防止マスクは国内トップシェアで、特殊任務に就く自衛隊員にも使用されています。
精密機器などの製造現場や研究開発の現場において、画期的なクリーンゾーンを生成する装置オープンクリーンシステム「KOACH」の開発・販売も行っているのが同社の特徴。
それまで密閉しなければ果たせなかったクリーンゾーンの生成を、当社の新技術によって、オープンな環境かつ低コストで実現させた製品です。
その技術は“破壊的イノベーション”と評価され、多くの賞を受賞し、2015年にはものづくり日本大賞、内閣総理大臣賞などを受賞した事で有名です。
まとめ
今回は防塵マスクと防毒マスクの違いや選び方について解説してきました。
DIYなどについては、まだまだ知っておきたいことがたくさんあります。
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