塗料の種類や違い、選び方について解説します
目次
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DIYをはじめとする様々な現場で使用される塗料。
身近な存在ですが、その種類によって特徴が異なり、きちんと使いこなすには知識も必要です。
今回は、そんな塗料について種類ごとの違いや特徴、選び方などを中心に解説していきたいと思います。
ぜひ、参考にしてみてください。
塗料の種類について
塗料といっても様々な分野で使用され、その種類によっては用途が異なります。まずは塗料についてどんな種類があるのか、ご紹介したいと思います。
顔料
顔料は塗料に色を付けるための成分です。顔料が入っているものは着色塗料・エナメル塗料といい、入っていない透明なものはクリヤー塗料といいます。
また遮熱効果を持たせたり塗膜の劣化を抑えたりできる特殊な効果をもった顔料もあります。
樹脂(合成樹脂)
塗料の耐久性・グレードを決める成分です。代表的なのは「アクリル樹脂」「ウレタン樹脂」「シリコン樹脂」「フッ素樹脂」です。
さらにこれらの樹脂に別の成分を組み合わせることで、耐久性を高めたり特殊機能を追加したりする技術もあります(無機ハイブリッド塗料など)。
添加剤
塗料に様々な機能を追加して性能を高める成分です。仕上がりの見た目や塗りやすさ、品質などを向上させる役割をもっています。
・カビの繁殖を防ぐ「防カビ剤」
・光沢度を調整する「艶消し剤(艶調整剤)」
・塗面を滑らかにする「界面活性剤」
・粘度を上げる「たれ防止剤」
・柔軟性・密着力を上げる「可塑剤」
などがあります。
溶剤(希釈材)
塗料を溶かして薄め、塗り作業をしやすくするものです。水で溶かすものは「水性塗料」、シンナーで溶かすものは「油性塗料」となります。
油性塗料の中にも、強いシンナーをつかう「溶剤(強溶剤)塗料」と弱いシンナーをつかう「弱溶剤塗料」がありますが、住宅の塗装では弱溶剤塗料がメインです。
塗料ごとの特徴や違いについて
次に塗料ごとの特徴や違いについて解説していきます。
アクリル塗料のメリット
アクリル塗料の最大のメリットは、なんといっても費用が他の塗料と比べてダントツに安いことです。
そのメリットが突出していますが、他のメリットとしてはウレタンやシリコンと比較してカラーバリエーションが多いこと、そして1液型という、希釈や撹拌の手間が不要な種類が多いため扱いやすくDIYにも好まれている点が挙げられます。
アクリル塗料のデメリット
アクリル塗料はせっかく塗装しても劣化しやすく、塗り替えサイクルも早いというのが最大のデメリットです。
また塗料の特性として「塗膜が固い」というのがあるので、地震や衝撃に弱く塗装の表面がひび割れやすいです。
このようにどうしても耐久性が劣る部分があるので、太陽を最も浴びて紫外線劣化しやすい屋根に至っては、大手メーカーも塗料を販売していません。
最大のデメリットは、どうしても耐久性が弱いということです。
ウレタン塗料
ウレタン塗料は、ウレタン樹脂を使用した塗料です。伸縮性や密着性が高いため、金属や木部など様々な素材にも使えるのが特徴。
耐久性はやや低いので家の塗り替えでの使用は少なめですが、まめに塗り替えたいお家やアパート・マンションなどには使うことがあります。
また雨樋、ひさしなどの部分的な塗装にもよく使われます。
ウレタン塗料のメリット:安価に塗装ができる
ウレタン塗料の最大のメリットは、安価に塗装ができることです。ウレタンだと、耐用年数は他の塗料よりも短くなりますが、1番金額を抑えることができます。
今回の塗装は耐用年数よりも予算を重視したい、という方におすすめです。
ウレタン塗料のメリット:ひびや傷がつきにくい
ウレタン塗料は、ひびや傷に強い塗膜も特徴。樹脂が柔らかく、密着性に優れているためです。
そのため地震等の揺れや素材の伸び縮みが起こっても、塗膜が割れにくくなります。比較的伸び縮みが起こりやすい金属やモルタル外壁の塗装には、ウレタン塗料がおすすめです。
ウレタン塗料のメリット:光沢が出るので高級感がある
ウレタン塗料は光沢が美しく、高級感ある上品な質感にできます。その仕上がりの美しさから、高級家具・フローリングにもウレタン塗料が使われているのです。
美観にこだわりのある方にもぴったりの塗料となります。
ウレタン塗料のデメリット:紫外線に弱く、変色する可能性がある
ウレタン塗料は、他の塗料と比べて変色しやすいとされています。
塗料に含まれている「イソシアネート」という成分が紫外線に弱く、変色しやすいためです。劣化の度合いによりますが、黄色く変色しやすい傾向があります。
ウレタン塗料は必ず変色する、とは言えないですが、他より起こりやすい性質であるのは確かです。変色が不安という方は、シリコンやフッ素などより上のグレードの塗料を選びましょう。
変色に強いものが多く販売されています。
ウレタン塗料のデメリット:耐用年数が短い
ウレタン塗料は耐用年数が8〜10年程度と短く、最も長持ちする無機塗料(耐用年数15〜25年)の半分以下となっています。
そのため、今回の塗装は長持ちさせたい!という方には不向きの塗料です。もっと長持ちさせたいという方は、ウレタンよりも上のグレードの塗料を選びましょう。
シリコン塗料
シリコン塗料は、シリコン樹脂を使用した塗料です。10年以上という丁度よい耐久性と費用のバランスの良さから、現在の戸建塗装ではシェアNo.1となっています。
塗膜がやや硬いという弱点はありますが各メーカーがきちんと柔軟性を持たせた製品開発をしているので、外壁屋根に使う分には問題ありません。
シリコン塗料のメリット:費用・耐久性のコスパが良い
シリコン塗装は10〜15年の耐用年数を誇っています。新築時に塗られることが多いアクリル塗装と比べると約2倍の耐久性です。
また、フッ素や無機塗料よりも費用が安いのでお手軽です。そのためコストパフォーマンスの良さが選ばれる理由となっています。
シリコン塗料のメリット:有名である安心感
シリコンが人気の理由の一つとして、「実績が多い安心感」というのがあります。どんなに耐用年数が長い塗料も実績がなかったら、本当に長持ちするのか不安です。
塗装工事は、工事が完了した後に品質や耐久性が分かるので、実績はとても重要な判断材料となります。その中で、シリコン塗料は、外壁塗装で最も使用されている塗料です。
そのため、初めて塗装する人でも安心感を持って選ぶことができます。
シリコン塗料のメリット:汚れにくい
シリコン塗料はアクリル塗料やウレタン塗料と比べると紫外線に強く汚れにくいです。特に現在外壁の汚れに悩んでいる方や、長期間綺麗に保ちたい方におすすめ。
さらに汚れにくくするためには、低汚染効果やセルフクリーニング効果のあるシリコン塗料を選ぶと良いでしょう。
シリコン塗料のデメリット:種類によって耐久性・費用が変わる
シリコン塗料は約10〜15年長持ちする塗料と紹介しましたが、実は種類によっては10年持たないものもあります。
なぜなら、塗料によってシリコン樹脂の含有率が変わるからです。
シリコン塗料なのに相場より安すぎる塗料や、どこのメーカーで作られたか分からないオリジナル塗料などは耐用年数が低い可能性があるので注意しましょう。
シリコン塗料のデメリット:使用場面を選ぶ
シリコン塗料は最も選ばれる塗料ではありますが、万能というわけではありません。なぜなら、ご家庭によって何年持たせたいか、この先のライフプラン、メンテナンスプランは様々だからです。
業者によっては、「このシリコン塗料を選んでおけば絶対間違いないですよ!」と言ってくるところもありますが、本当にご自身のこの先のプランに合っているか確認した上で選ぶことが大切です。
フッ素塗料
フッ素塗料とは、フッ素樹脂を使用した塗料です。とても紫外線に強く耐久性に優れるため戸建住宅だけではなく、簡単に塗り替えできない大型建築や公共施設でも良く使われます。
光沢が長持ちすることから、汚れや色あせにも強いです。費用はやや高いですが、長期で見ると塗り替え回数が減るためコストパフォーマンスが良い塗料となります。
フッ素塗料のメリット:耐候性
フッ素塗料は、他と比べて耐候性が非常に高い塗料です。なぜなら塗料における樹脂は耐候性を左右する成分なのですが、そのフッ素樹脂自体が紫外線や熱にとても強いとされているからです。
そのため、塗料の中でも非常に長い15〜20年という耐用年数を持っています。フッ素塗料は素材にしっかりと密着する性質があるため、塗膜が強くて耐久性に優れているのです。
次の塗り替え目安である耐用年数(耐久年数)は15〜20年となります。実際に頻繁に塗り替えができない大型建築などにはフッ素塗料を使うことが多いです。
現在一番人気のシリコン塗料の耐用年数が10〜12年なので、それよりさらに1.5倍近く長持ちする塗料と言えます。
フッ素塗料のメリット:防カビ・防藻性
建物の見た目が悪くなる原因として多くの人が心配するのが、カビやコケ、藻などの汚れです。フッ素塗料はこのカビコケ藻が生えにくい性質(防カビ・防藻性)があります。
北面や日当たりの悪い面などはどうしても湿気が溜まりやすくこうした汚れが発生してしまいますが、フッ素塗料はそのリスクを軽減してくれます。
美しい見た目を長く保ちたい人にはおすすめです。
フッ素塗料のメリット:親水性・低汚染性
親水性とは、文字通り「水と親しい」性質のことです。塗装表面が水となじみやすいため、外壁についた汚れを水と一緒に洗い流してくれる機能を持ちます。
フッ素塗料のメリット:耐摩耗性
フッ素塗料は表面が劣化しにくい耐摩耗性をもっており、そのおかげで非常に美しい艶・光沢のある仕上がりになります。
どんな塗料も基本的にはすべて光沢がありますが、年数が経つと徐々に落ち着いてきます。フッ素は特に長く光沢が続くため、美観を長く楽しむことができるのです。
新築時の気分を思い起こすような綺麗な仕上がりになるので、機能性だけでなく見た目も大切にしたい方にはおすすめといえます。
親水性塗料
砂埃や排気ガス、鳥のフンなどが外壁に付着することがあると思いますが、雨が降ると塗膜と汚れの間に水がするりと入って汚れを流してくれるのです。
大通り沿いなどどうしても汚れが付いてしまう立地の家には、嬉しい機能となります。
無機塗料
無機塗料とは、無機成分と有機成分を組み合わせて作られた塗料です。無機ハイブリッド塗料ともいいます。
紫外線に強いが硬くて割れやすい「無機成分」と、柔軟性はあるが劣化しやすい「有機成分」の弱点を補い合うことで高性能な塗料を実現した新しい技術の塗料です。
耐久性は組み合わせる樹脂によりますが、例えばフッ素樹脂の無機塗料なら20年以上の耐久性を発揮する製品も多くあります。
長期的なコストパフォーマンスを求める人にはおすすめです。
ラジカル塗料
ラジカル塗料とは、正確にはラジカル制御塗料といいます。
塗膜を劣化させる原因物質「ラジカル」の発生や活動を抑えることで塗膜を長持ちさせる、最新技術を使用した塗料です。
業界でも注目されており、国内大手メーカー各社がラジカル塗料を開発、販売し始めています。価格も通常の塗料とあまり大きな差はないため、人気も高まっている塗料です。
光触媒塗料
光触媒塗料とは、太陽光の力によって汚れを浮かせて、雨で洗い流してくれる機能をもった塗料です。
長期間汚れが付きにくく、美しい外壁を保つことができます。
また室内用塗料では、消臭・抗菌効果としても活用されています。
ただ、普通の塗料と比べて高額なのと、太陽光が当たらない面は効果が弱いなどの理由から、近年では下火傾向にあります。
代表製品だったTOTOの「ハイドロテクトカラーコート」も2017年に販売終了してしまいました。他の大手メーカーでも取り扱いはないため、塗料の信頼性を測るのが難しいという点は注意が必要です。
遮熱、断熱塗料
遮熱塗料とは、日光を効率よく反射して屋根や外壁の表面温度を下げる効果を持った塗料です。夏場の室内の暑さが緩和されるため、空調費の節約、エコ塗料として人気があります。
国内の主要メーカー各社が多数の製品を販売している人気塗料です。特に熱を集めやすい金属屋根のお家などは、遮熱塗料の効果が実感しやすく、大型の工場などでもよく使用されています。
ただし、日光の反射率は色によって差があるため、カラーバリエーションには少し制限があります。断熱塗料とは、熱や冷気の出入りを少なくし、室内の温度を逃さないようにする塗料です。
夏も冬も室内の温度を快適にしてくれます。こちらは遮熱と比べて扱っているメーカーは少なく、金額も少し高めです。
また、すでに断熱材や断熱工法が使われているお家などは、塗料を塗ったことによる効果は実感しにくいことがありますので注意が必要です。
どちらの塗料も、耐久性は使用する樹脂の種類によって異なります。
その他の塗料との費用・耐用年数比較
アクリルは、塗料の中のグレード位置が低く他の種類と比較すると、費用が安い以外にも耐用年数(メンテナンスサイクル)がかなり短いというのが分かります。
価格が高いほど良いグレードの塗料で性能も上がります。しかし、比較表で分かる通り外壁塗装におけるアクリル塗料の最大の魅力は、正直なところ価格のみと言っても過言ではありません。
メンテナンスサイクルを比較してみると、アクリル塗装をした方が余計にお金がかかっていることもあります。また工事の回数が多いということは、毎回、足場代などの諸経費もかけていることになり、頻繁な工事によるストレスも少なからず発生します。
店舗や看板なら頻繁に塗り替えることで、集客にも繋がるメリットがあるので良いかもしれません。これらのことから一般の戸建て住宅塗装には、アクリル塗装は不向きといえます。
塗料の選び方
次に塗料の選び方について解説していきます。
アクリル塗料
耐用年数は3~5年です。安価でDIYでも扱いやすいですが、耐用年数が短いので家の塗り替えには不向きです。
ウレタン塗料
耐用年数は8~10年です。伸縮性、密着性に優れますが、住宅塗装には耐用年数が短いとされています。
シリコン塗装
耐用年数は10~15年となります。価格と耐久性のバランスが良く人気の塗料です。汚れと色褪せに強いのも特徴となります。
フッ素塗料
耐用年数は15~20年です。紫外線に強く耐久性は高いです。新しい塗料なので、まだまだ普及しておらず扱っていない業者も多いでしょう。
無機塗料
耐用年数は15~25年となります。紫外線に強く高耐久性の塗料です。組み合わせる樹脂によって耐久性が変わってしまうので注意が必要となります。
ラジカル塗料
耐久年数は10~20年。塗膜の劣化を抑える最新技術の塗料です。普通の塗料と価格差が少ないので選びやすく人気とされています。
光触媒塗料
耐久年数は10~20年です。太陽光の力で汚れにくくする効果があります。太陽光が当たらないところでは効果が薄く、近年は人気が下がっています。
遮熱、遮断塗料
耐久年数は10~20年です。室内の温度を快適にする効果がありますが、効果の度合は家の構造や素材などで左右されてしまいます。
上記のまとめを参考に、それぞれの塗料を選ぶと良いでしょう。
この他にも、「水性・油性」「1液・2液」「着色・クリヤー・多彩模様(色の違い)」「艶あり・艶なし(光沢の違い)」「その他付加価値」「特殊機能」などの細かな違いがあります。
用途に沿って塗料を絞り込んでいきましょう。
たとえば、「外壁塗装なら水性シリコン」「屋根塗装なら油性フッ素」「ウッドデッキ・木材塗装なら専用の水性クリヤー」「DIYなら水性1液タイプ」の塗料がおすすめです。
塗料選びの前に知っておきたい注意点
塗料には付加機能というものがあります。近年「機能性塗料」という言葉をよく耳にするようになりました。
機能性塗料とは、塗料としての基本的な役割である保護や美観といった目的以外の機能を持つ塗料のことです。
どんな機能が自分の家に必要なのか、考えてみましょう。
遮熱機能
遮熱塗料は、温度上昇の原因である近赤外線を反射することにより塗膜や家の温度上昇を抑制することができます。
家の屋根や外壁に塗布することで室内温度の上昇を抑制し、室内環境の向上とともに家の熱劣化を抑制するなどの効果があります。
室内温度を下げたい、エアコンなどの光熱費を削減したい人にぴったりの塗料です。
防水機能
防水塗料は弾性があるため外壁のひび割れに追随し外部からの水の侵入を防ぐことができます。
建物の不具合事象による相談の中で「外壁からの漏水トラブル」は上位を占めており、防水は非常に重要な機能のひとつです。
外壁のひび割れや目地のひび割れが目立つ場合は、防水塗料を検討してみるとよいでしょう。
セルフクリーニング機能
セルフクリーニング機能とは、建物の外壁に塗るだけで親水性(雨が汚れを洗い流す)を発揮する防汚効果のことです。
さらに、空気中の汚染物質も分解するので建物のまわりの空気までキレイになります。この機能を持つ塗料として一般的なものに光触媒塗料があります。
今現在汚れが気になっていたり、塗り替え後も外観をきれいに保ちたい人にぴったりな塗料です。
防カビ機能
防カビ塗料は、外壁に塗るだけでカビやコケを防ぐことができます。カビ・コケは美観を損ねるだけでなく、人体への影響や建物の腐食を促進し寿命を縮めてしまいます。
はじめから防カビ機能を持つ塗料もありますが、普通の塗料に防カビ剤を添加して防カビ性能を持たせるタイプのものもあるので、カビがひどい面にのみ塗布することも可能です。
カビは健康被害を引き起こす可能性もあるので、注意しましょう。
まとめ
今回は塗料について種類ごとの違いや特徴、選び方などを中心に解説していきました。
塗料については、まだまだ知っておきたいことがたくさんあります。
ぜひ、関連記事も読んで参考にされてみてください。
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