インパクトドライバーとインパクトレンチの違いについて解説します
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初めて電動工具の購入を検討されている方の多くが、この「インパクトドライバーとインパクトレンチの違いがよく分からない」問題につまづくのではないでしょうか。
インパクトドライバーとインパクトレンチでは共通点も多く、どう使い分けるべきか戸惑う方もいるはずです。
ということで今回は、この2つの電動工具の違いについてご紹介していきたいと思います。
インパクトドライバーとインパクトレンチの特徴の違い
インパクトドライバーとインパクトレンチ、この2つの違いは何でしょうか。
まず始めに、インパクトドライバーとインパクトレンチの共通点と違いについてお話します。
インパクトドライバーとインパクトレンチの共通点と違い
共通点としては、以下のような点が挙げられます。
- ガングリップ型
- トリガーを引くと先端工具が回転する
- スイッチで正転と逆転の切り替えが可能
- 回転する方向にインパクト(打撃)を与える
- 先端工具は交換が可能
- 六角ボルトの脱着に使う先端工具を取り付けられる
このように、見た目や機能での共通点が多いため、使い分けをどうするべきか困る方も多いです。
では、この2つの電動工具の違いはどんな点が挙げられるのでしょうか。インパクトドライバーとインパクトレンチには、以下の相違点があります。
- 最大トルク(回転する力)
- 先端工具を取り付ける部分の形状
- 負荷がかかる場所の太さ
回転する力はインパクトレンチの方が強く、負荷に耐えられる形状をしています。
具体的なインパクトレンチの特徴は、以下のとおりです。
- 本体に先端工具を取り付ける四角い突起がある
- 突起の太さは1/2インチ(12.7mm)
- 先端工具を固定するピンとリングが付属している
そして、インパクトドライバーの特徴は以下のとおりです。
- 本体に先端工具を差し込む六角形の穴がある
- 先端工具の差し込み部分は太さが1/4インチ(6.35mm)
似ているようで細かい違いがあり、用途にも違いが出てきます。
では、それぞれの違いについて見ていきましょう。
インパクトドライバーとインパクトレンチの用途の違いについて
インパクトドライバーは先端工具(ビット)を付け替えることで、幅広い用途に使えます。
- ドライバービットを装着して、ネジしめや取り外しに使う
- ドリルビットを取り付け、木材や金属材に穴をあける
- 六角軸のダイアモンドカッターや研磨砥石を付ければ、切削や研磨にも使える
- ソケットビットを取り付けて、小さなボルトの脱着に使う
ドライバーという名前のとおり、メインとなる用途はネジの脱着です。その他の用途としては、補助的な機能となるため、万能なわけではありません。
反対にインパクトレンチの用途は、ボルトやナットの脱着に特化しています。
作業に合わせた先端工具(ソケット)を装着すれば、さまざまなボルトやナットへの対応が可能です。
インパクトドライバーで代用するメリットとデメリット
インパクトドライバーとインパクトレンチは、先端工具を取り付ける際の手間が異なります。
以下は、インパクトレンチに先端工具を取り付ける手順です。
- 本体の四角い突起に、先端工具をかぶせて取り付ける
- 突起の穴と、先端工具の穴を合わせる
- 付属のピンを穴に通す
- ピンが落ちないようにリングで固定する
インパクトドライバーに先端工具を取り付ける際は、ピンやリングといった固定具を装着する必要がありません。
本体の六角穴に差し込むだけなので、先端工具の交換が容易です。
そのためインパクトドライバーで代用できれば、作業スピードが格段に早くなるでしょう。
しかしインパクトドライバーの先端工具は折れやすいという欠点があります。
負荷のかかる六角軸が折れてしまうと、装着用の穴に残った軸を取るのは大変です。
つまり大きな負荷がかかる作業に使う場合だと、インパクトドライバーでの代用はおすすめできません。
インパクトドライバーとインパクトレンチ、どう使い分けるべきか
インパクトドライバーはネジしめ、インパクトレンチはボルトやナットの脱着に特化しています。しかし、どちらの工具も先端工具を付け替えることで、幅広い用途に使用可能です。
インパクトレンチには、六角軸を差し込めるアタッチメントがあります。アタッチメントにドライバービットを取り付ければ、ネジしめ作業が可能です。
またインパクトドライバーも、ソケットビットを取り付けることでボルトの脱着に使えます。どちらともネジやボルトの脱着に使えますが、万能ではありません。
インパクトレンチは回転する力が強すぎるので、ネジをしめる際は繊細な操作が必要
回転する力が強くないインパクトドライバーは、大きなボルトの脱着には向いていない
上記を踏まえると、不得意な用途には注意して使う必要があるとわかります。そのため電動工具の扱いに不慣れな方は、代用せず適切に使った方が無難です。
インパクトドライバーでタイヤ交換するのを避けたほうが良い理由
太いボルトやナットの脱着にインパクトレンチを使用すれば、打撃の力を使ってスピーディーに作業できます。
しかし、インパクトレンチはプロ用のモデルが多いので、家庭で購入するにはやや高額な価格帯です。
そのためタイヤ交換でしか使わない方の中には、DIY用のインパクトドライバーで代用したいと考える方もいらっしゃいます。ですが、あまりオススメはできません。
ここではインパクトドライバーでのタイヤ交換を推奨しない理由についてお伝えします。
タイヤ交換に使うインパクト工具はパワーが必要
自動車のタイヤを固定するホイールナットには、締め付ける強さの適正値が決まっています。
大まかな適正値の目安は、以下のとおりです。
- 普通車は90~110N・m
- 軽自動車は70~90N・m
※N・m(ニュートンメートル)はトルクを表す単位です。
上記はメーカーが公表している最大値なので、使用環境によって適正な値は異なります。走行中にナットが固く締まってしまうと、適正値を超えるパワーが必要です。
そのためタイヤ交換では、適正値よりも余裕のある工具を使います。
例えば普通車のタイヤ交換に使う場合は、最大トルク200N・m以上が目安です。インパクトレンチなら600N・mを超える製品もあり、複数あるラインナップから適正なモデルを選べます。
しかしインパクトドライバーの最大トルク値は20~180N・mです。
180N・mの製品なら適正値以上ですが、普通車のタイヤ交換に使う目安は超えていません。
適正値を守らないタイヤ交換は危険
ホイールナットを締め付ける強さの適正値は、車種によって異なります。車種ごとの適正値を守らずにタイヤを交換するのは、危険が伴うでしょう。
なぜならナットを締め付ける力が弱いと、以下の状態になる可能性があるからです。
- 装着時は固定されているので、ナットの緩みに気が付かない
- 走行中の振動でナットがさらに緩む
- ナットが外れるとホイールやタイヤも外れる
タイヤの脱落が怖いからといって、ナットの締めすぎも良くありません。ホイールナットを締めすぎると、破損に繋がる可能性があります。
- ナットを締めすぎると、軸にかかる負荷が大きくなる
- 負荷に耐えられず、ナットがねじ切れる
- ナットが破損して、ホイールやタイヤが外れる
どちらの場合も、タイヤが脱落する危険を伴っています。そのためホイールナットは、締め付ける強さの適正値が明確に決まっているのです。
※自動車の取扱説明書には適正な値が記載されています。
タイヤを交換する際は、必ず適正値を確認しておきましょう。
タイヤ交換に使えるソケットビットは希少
インパクトドライバーでタイヤを交換する場合、ホイールナットのサイズに合ったソケットビットが必要です。
一般的なソケットビットではサイズが小さく、タイヤ交換には使えません。もしナットに合うサイズのソケットビットを見つけたとしても、耐えられる負荷が低いとビットの六角軸は折れてしまいます。
ソケットビットのサイズは、対応できる直径だけではなくソケットの深さも重要です。浅いソケットのビットではきちんと力が伝わらず、負荷のかかる部分だけ削れてしまう可能性があります。
上記を踏まえたソケットビットは希少なので、見つけ出すのが大変です。
そしてホイールナットに合うソケットビットが見つかったとしても、インパクトドライバーでのタイヤ交換は推奨されていないため不安が残ります。
自己責任の作業になるので、不測の事態に対応できない方へはおすすめできません。インパクトドライバーでのタイヤ交換に不安を感じるなら、専門店でプロに交換してもらう方が良いでしょう。
インパクトドライバーでタイヤ交換する際の注意点について
インパクトドライバーでのタイヤ交換は、締め付ける力が足りないためおすすめできません。しかし補助的な役割で使えば、タイヤ交換にかかる時間の大幅な短縮が可能です。
ここではタイヤ交換でインパクトドライバーを活用する方法や、使用時の注意点をお伝えします。
指で回す代わりにインパクトドライバーを使う
始めにタイヤ交換の流れを、かんたんにご紹介します。
- ホイールナットを緩める
- 車体をジャッキアップする
- 緩めたナットを外す
- タイヤを取り外す
- 新しいタイヤに付け替える
- ホイールナットを軽く締める(仮締め)
- ジャッキを回して車体を下ろす
- 緩んでいるナットを適正値まで締める(本締め)
全て手作業で交換する場合、緩めたナットを外すのと仮締めは自分の指や手工具を使います。
手順で見ると2か所でも、全てのナットを手作業で回すのは相当な労力が必要です。
そのため「緩めたナットを外す作業」「ホイールナットを軽く締める仮締め作業」でインパクトドライバーを使えば、作業時間や労力を大幅に減らせます。
補助として指の代わりに使うだけなので、最初のしっかり締まった①のナットを緩める作業や、適正値まで締める⑧のような負荷がかかる作業には適しません。
負荷がかかる作業ではクロスレンチやトルクレンチを使い、手作業で行います。
最後の本締めに使う手工具は、設定した値に締め付けられるトルクレンチがおすすめです。
トルクレンチは締め付けが設定した値になると、カチッという音で知らせてくれます。
適正な力で締め付けることが出来るので、タイヤ交換に不慣れな方でも使いやすいです。
タイヤ交換時にインパクトドライバーを使用する際の注意点
タイヤ交換でインパクトドライバーを活用する際は、以下の点に注意して作業を行いましょう。
- インパクトドライバーを使うのは補助作業のみ
- 負荷が大きい作業には手工具を使う
- 仮締めの最初は手でナットを回す
ホイールナットの脱着は、インパクトドライバーの想定以上に負荷がかかる作業です。
インパクトドライバーに大きな負荷を与え続けると、本体やビットが疲労で壊れやすくなります。
そのため負荷がかかる作業には、クロスレンチやトルクレンチといった手工具を使いましょう。
本締めは適正な値に締められているか、確認しながら作業する必要があります。
しかしインパクトドライバーでは締め付け具合を確認できません。
また仮締めの際にいきなり電動工具を使ってしまうと、ナットを破損させてしまう可能性があります。
電動工具を使うとかんたんにナットが回っていくので、ナナメに噛み込んだ状態でもなかなか気が付きません。
できる限り仮締めの最初は手でナットを回し、真っ直ぐにはめ込んでからインパクトドライバーを使いましょう。
まとめ
今回はインパクトドライバーとインパクトレンチの違いについて、それぞれの特徴や共通点、用途の違いなどを中心にご紹介してきました。
電動工具選びには、この他にもまだまだ知っておきたい事前知識がたくさんあります。
ぜひ、その他の関連記事も読んで、工具選びの参考にされてみて下さい。
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