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電動工具用グリースの選び方やおすすめのグリースについて解説します

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電動工具は定期的なメンテナンスが欠かせず、グリースにまつわる知っておきたい知識は知っておきたい情報のひとつです。

基本的には、電動工具メーカーがそれぞれ販売しているメンテ用のグリスがあれば、そちらを使用するほうが無難ですが、メーカーや製品によっては販売されていないケースも存在します。

ということで今回は、電動工具用グリースについて選び方やおすすめのグリースなどについて解説していきたいと思います。

まだグリースを購入したことがない場合は、ぜひ最後まで読んで参考にされてみてください。

電動工具用グリースの選び方で大切なポイント

電動工具の性能を最大限に引き出し、長期間にわたって安定した作業を実現するためには、適切なグリースを選ばなくてはなりません。

そしてグリースの選び方にはいくつかポイントがあります。このポイントを押さえれば工具の寿命を延ばせますし、作業効率をグンと向上させられるでしょう。

用途に応じた種類

電動工具用グリースの選び方で、大切なポイントである「用途に応じた種類」について解説します。

まず電動工具の種類や使用目的によって、最適なグリースは異なる点を押さえておきましょう。

高速回転工具向け

高速回転工具は、ドリルや研磨機のような高速で回転する工具のことです。こちらは低粘度の基油を使用したグリースが適しています。

このグリースを使用すると摩擦が最小限に抑えられ、効率的な動作が実現できるでしょう。

重負荷工具向け

重負荷工具は、チェーンソーやハンマードリルのような高負荷がかかる工具です。こちらにはEP(極圧)添加剤を含む、高性能グリースを選択してください。

このグリースは過酷な使用条件下でも、部品の摩耗を防げます。

精密工具向け

精密な作業を行う電動工具には、清浄性の高いグリースが最適です。清浄性の高いグリースは内部機構の正確な動作を維持し、長期的な性能を確保できます。

一般用途向け

ここまで紹介した項目に当てはまらないかな、と思った方は、標準的な電動工具がほぼ当てはまるかと思います。

こちらにはリチウム石鹸系のNLGI等級2グリースが良いでしょう。このグリースは多くの用途に適した、汎用性の高い製品です。

なお使用環境の温度や速度条件に応じて、グリースの粘度や添加剤を適切に選択することも重要と言えます。

分からない方は販売店に相談するか、ほとんどの場合は粘度や添加剤を気にしなくてもあまり問題がありません。

使用環境に適したグリースを選ぶ

電動工具を使用する環境条件は、グリースの性能に大きな影響を与えます。ご紹介する環境要因を慎重に検討し、最適なグリースを選択してください。

温度環境への対応

使用環境の温度範囲を確認し、条件に適したグリースを選択しましょう。一般的な作業環境では、-20℃から140℃の範囲で使用できるグリースが推奨されます。

とくに高温環境だとグリースの分離や潤滑性能の低下が起こりやすいため、注意が必要です。

防水性能の確認

水分が存在する環境の場合、耐水性の高いグリースを選択したほうが良いです。

例えば水洗いや清掃が必要な場所では、防水性グリースを使用しなくてはなりません。

一般的な工業用グリースを使ってしまうと潤滑が切れ、故障の原因となります。防水性グリースは水洗いに対しても、優れた保護性能を発揮可能です。

粉塵対策

粉塵の多い環境では、シール性の高いグリースを選択しましょう。シール性が高いと軸受部への異物混入を防ぎ、機器の寿命を延ばせます。

また清浄性の高いグリースを使用すれば、粉塵による性能低下を最小限に抑制可能です。

腐食環境への対応

化学物質や腐食性物質にさらされる環境なら、防錆性能の高いグリースを選択してください。部品の腐食や劣化を防ぎ、長期的な保護を実現できます。

また定期的な点検を行い、環境条件の変化に応じてグリースの種類を見直すことも重要です。

高負荷の作業には適切な粘度のものを選ぶ

高負荷作業における電動工具の性能を最大限に引き出すためには、グリースの粘度選択が極めて重要です。

基油の粘度と潤滑性能

グリースの基油粘度は、潤滑性能に直接的な影響を与えます。

高負荷作業は高粘度の基油を含むグリースで、より強固な潤滑膜を形成。部品の保護効果を高められます。

負荷条件に応じた選択

重負荷や衝撃荷重がかかる作業で高粘度のグリースを使用すると、以下の効果が期待できます。

■高粘度グリースのメリット

  • 潤滑膜の強度が向上し、金属接触を防止
  • 衝撃吸収性能が向上
  • 摩耗の軽減効果が増大

作業速度との関係

実は作業速度によって、最適な粘度は変化します。高速回転を伴う作業では、低粘度のグリースを選択したほうが良いでしょう。

なぜなら高粘度グリースを使用すると、過度な発熱や抵抗が生じるからです。

温度環境の考慮

作業環境の温度も、粘度選択の重要な要素となります。

高温環境下では高粘度のグリースが適しているものの、低温環境では始動性を考慮して低粘度のものを選んだほうが良いです。

このように高負荷作業へ適したグリースを選ぶ際は、作業条件や環境を総合的に判断してください。

最適な粘度を選択できれば寿命も延びますし、何より作業時の不良性が限りなく低減できます。

耐摩耗性や劣化防止のために必要な成分が含まれているか確認する

電動工具の長寿命化を実現するためには、グリースに含まれる添加剤の種類と配合を確認するのがおすすめです。

主要な添加剤とその効果

耐摩耗性と劣化防止に関わる重要な添加剤として、以下のものが挙げられます。

  • 極圧添加剤:高負荷時の金属接触による焼き付きを防止
  • 酸化防止剤:グリースの酸化劣化を抑制
  • 防錆剤:金属部品の腐食を防止

添加剤の配合量

添加剤の含有量は、以下が標準的な目安です。

  • 耐摩耗剤:5~10%
  • 酸化防止剤:0.1~1%
  • 防錆剤:0.1~1%

基油の選択

耐摩耗性や劣化防止には、基油の種類も重要な要素となります。

合成油を基油としたグリースの場合、鉱物油と比較して酸化安定性が高いです。高温での劣化が少なくなります。

増ちょう剤の確認

リチウム複合石けんやウレア化合物といった増ちょう剤は、機械的安定性に優れています。長期使用での性能低下を防ぐ効果が高いです。

メーカー推奨品が無いか確認する

電動工具のメーカーが推奨するグリースを使用すれば、工具の性能を最大限に引き出せるでしょう。さらに長寿命化を図れます。

推奨品の確認方法について

メーカー推奨グリースの確認は、まず取扱説明書の付属品・消耗品欄を確認するところから始めてください。

そこに記載がない場合、メーカーの公式サイトで製品情報を検索するか、サービスセンターに直接問い合わせると正確な情報を入手できます。

ノーブランド品の場合は記載がなく、問い合わせ先も不明な場合があるでしょう。その場合は標準的なグリースで問題ありません。(詳細は後述します)

メーカー推奨品のメリット

マキタやHiKOKIといった国内主要メーカーは、自社製品に最適化されたグリースを開発しています。

専用グリースは工具の特性に合わせた粘度設計がなされており、部品との相性も十分。さらに長期使用での信頼性も実証済みであるため、安心して使用できます。

選択時の注意点

メーカー推奨品が見つからない場合は、代替品の選択が必要となります。その際は使用温度範囲が工具の使用環境に適合しているか、事前に把握しましょう。

そして工具の回転速度に適した粘度であることを確認します。とくに重要なのは工具の材質、樹脂部品との相性です。

こういった要素を踏まえれば、適切な代替グリースを選択できます。(難しい場合は販売店やメーカーにご相談してください)

意外と不適切なグリースによる故障や、性能低下をしてしまうことがあります。できればメーカー推奨品を使用するのがおすすめです。

※不適切なグリースを使用して故障した場合、状況によってはメーカー保証対象外となるおそれもあります。

電動工具に適したグリースの種類と特徴

電動工具の潤滑に使用されるグリースは、その特性や用途によってさまざまな種類があります。

さらにそれぞれのグリースには独自の特徴があるため、使用環境や作業内容によって最適なものが異なるのです。

ここでは主要なグリースの特徴と、適した使用条件についてまとめました。

リチウムグリース

リチウムグリースは、一般的な電動工具に最適な万能グリースとして知られています。

70~130℃の温度範囲で安定した性能を発揮し、耐水性とせん断安定性が高いです。

とくに一般的な作業環境での使用に適しており、長期間の使用でも性能が安定。取り扱いも容易で、メンテナンスが比較的かんたんです。

リチウムコンプレックスグリース

リチウムコンプレックスグリースは、高温環境下での使用に適した高性能グリースです。

滴点が260℃以上と非常に高く、高温下でも軟化・液状化しにくい特徴があります。

耐荷重性にも優れており、高負荷での作業時も潤滑性を維持。耐水性と防錆性も備えているため、過酷な環境下での使用に最適です。

カルシウムグリース

カルシウムグリースは、水を使用する環境での作業に最適です。とくに耐水性は優れていますが、耐熱性は70~100℃程度と比較的低め。

高速回転や高負荷の作業には不向きです。おもに低速・低負荷の作業用電動工具に使用されます。

合成グリース

合成グリースは、合成潤滑油を基油として使用した高性能グリースです。下記の点で優れています。

  • 高温安定性
  • 低温始動性
  • 潤滑性

長寿命が要求される装置には必要不可欠な存在と言えるでしょう。とくに電動工具の精密な部品や、高温環境下での使用に適しています。

おもにPAO(ポリ-α-オレフィン)やエステル油を基油として使用しており、200℃までの高温環境下でも耐える性能です。

アルミニウムグリース

アルミニウムグリースは金属への粘着性が高く、120~180℃の高温下でも使用可能です。

耐水性と撥水性に優れていますが、長時間の高温使用で軟化する傾向があります。使用時には注意しましょう。

極圧グリース

極圧グリースは、高回転ベアリングや高速・高負荷の金属摺動部に適しています。

  • 耐摩擦性能
  • 金属表面保護性能
  • 高荷重潤滑性能

上記の項目に優れており、部品の保護効果も高いのが特徴です。とくに高負荷のかかるギア潤滑に適しています。

グリース選び必要な成分の基礎知識について

電動工具用グリースの性能を理解するためには、主要成分についての基礎知識が必要です。

グリースは下記の成分から構成されています。

  • 基油
  • 増ちょう剤
  • 添加剤

とくに基油は、全体の80〜90%を占める重要な成分です。ここではグリースの基本的な構成要素について、詳しく解説していきます。

基油の種類と特徴

電動工具用グリースの性能を決定づける重要な要素として、基油の選択があります。基油は大きく分けて鉱物油と合成油の2種類があり、それぞれに特徴的な性質を持っているもの。

鉱物油は一般的な作業環境での使用に適しており、コストパフォーマンスに優れています。

一方で合成油は、極端な温度条件や過酷な使用環境に最適です。もう少し特徴について見ていきましょう。

基油とは?

基油はグリースやオイルの基材として使用される、もっとも重要な成分です。グリース全体の80~90%を占め、製品の性能や品質に大きな影響を与えます。

大きく分けて、鉱物油と合成油の2種類に分けられるでしょう。鉱物油は原油から精製された油で、比較的安価で汎用性があります。

合成油は特定の目的を意図して、化学的に合成された油です。高温安定性や温度、粘度特性に優れています。

電動工具用グリースの基油選びでは、使用環境の温度条件や負荷条件を考慮したほうが良いでしょう。

例えば高温環境や過酷な使用条件なら、耐熱性に優れた合成油ベースのグリースが推奨されます。

※低温での始動性を良好にしたい場合は、低温特性の良い合成油がおすすめです。

基油の選択は、グリースの性能を決定づける重要な要素。使用目的や環境に応じて、適切な種類を選んでください。

合成油

合成油は化学的に合成された高性能な基油で、以下のような優れた特性を持っています。

  • 低温環境での性能が高い
  • 高温環境下でも粘度変化が少ない

マイナス40~50℃の極低温でも流動性を失わず、工具の始動性を確保できます。

また高温環境下でも粘度変化が少なく、200℃以上の高温でも安定した潤滑性能を発揮。

合成油のおもな利点もありますので、以下に3点まとめました。

  • 化学的に安定しているため、酸化されにくく長期間使用が可能
  • 蒸発しにくいため、消費が少ない
  • 高温でも粘度変化が少なく、安定した潤滑性能を維持

とくに過酷な使用条件下や、高精度な作業が必要な電動工具は合成油を選びましょう。ただし価格は鉱物油と比べて高価です。

鉱物油

鉱物油は原油を精製して得られる基油で、電動工具用グリースの基油としてもっとも一般的です。

一般的な作業環境での使用に適しており、-20℃から120℃程度の温度範囲で安定した性能を発揮します。

鉱物油の特徴は、なんといっても優れたコストパフォーマンスと汎用性の高さです。

一般的な作業環境での使用であれば、十分な潤滑性能を発揮してくれるでしょう。またほかの添加剤とも相性が良く、多くの用途に応じた性能調整が可能です。

ただし極端な高温や低温環境では、性能が低下する傾向があります。

高温環境では酸化劣化が進みやすく、低温環境では粘度が上昇して始動性が悪化する場合も。

そのため極端な温度条件下での使用は避けたほうが無難です。

一般的な電動工具のメンテナンスや日常的な作業なら、鉱物油を基油としたグリースで十分な性能が得られます。

コスト面でも優位性があり、もっとも実用的な選択肢といっても過言ではありません。迷ったら鉱物油を選びましょう。

増粘剤の種類と特徴

電動工具用グリースに使用されるおもな増粘剤には、リチウム系、カルシウム系、アルミニウム系があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

リチウム系

リチウム系増粘剤は、非常に広く使用されている万能タイプの増粘剤です。耐熱性や耐水性、機械的安定性が高め。幅広い温度範囲で使用できます。

通常70~130℃の温度範囲で安定した性能を発揮し、一般的な電動工具の潤滑に適しているでしょう。

またほかの添加剤と相性も良く、さまざまな用途に応じて性能を調整できます。

カルシウム系

カルシウム系増粘剤は、優れた耐水性が特徴です。とくに水を使用する環境での作業に適しており、防水性能が求められる電動工具に使用されます。

ただし耐熱性は比較的低く、通常70~100℃程度の温度範囲で使用するのが良いでしょう。

高速回転や高負荷の作業には不向きですが、低速・低負荷の作業用電動工具には適しています。

アルミニウム系

アルミニウム系増粘剤は金属への粘着性が高く、耐水性と撥水性に優れています。

120~180℃の高温下でも使用でき、耐熱性が求められる電動工具におすすめの増粘剤です。

またせん断安定性も優れているため、高速回転や振動の多い工具にも適しています。

ただし長時間の高温使用で軟化する傾向です。使用条件には注意しましょう。

添加剤の種類と特徴

電動工具用グリースの性能を高めるために、さまざまな添加剤が使用されています。

それぞれの添加剤は特有の機能を持ち、グリースの性能向上に役立つものばかりです。

極圧添加剤

極圧添加剤は高負荷時、金属表面に保護膜を形成。摩耗や焼き付きを防止します。とくに高負荷がかかる歯車部分や、軸受けの保護に強いです。

おもに硫黄系や燐系の化合物が使用され、金属表面との化学反応により保護膜を形成します。

抗酸化剤

抗酸化剤はグリースの酸化劣化を防ぎ、長期使用での性能低下を抑制します。

高温環境下での使用時はとくに重要で、グリースの寿命を大幅に延長してくれる添加剤です。

一般的には、フェノール系やアミン系の化合物が使われています。

防錆剤

防錆剤は金属部品の錆びを防止し、腐食から保護します。湿気の多い環境や水分との接触が避けられない場所での使用時は、この添加剤がとても重要です。

カルボン酸系やアミン系の化合物が使用され、金属表面に保護膜を形成します。

摩擦低減剤

摩擦低減剤は摩擦係数を低下させ、機械効率を向上させる効果があります。

同時に摩耗も軽減し、部品の寿命延長にも貢献。二硫化モリブデンやグラファイトのような固体潤滑剤が代表的です。

粘度指数改善剤

粘度指数改善剤は、温度変化による粘度変化を抑制。幅広い温度範囲で安定した潤滑性能を維持します。

とくに寒冷地での使用や、温度変化の大きい環境で重要な役割を果たしてくれるでしょう。おもに高分子化合物が使用されています。

まとめ

今回は、電動工具用グリースについて選び方やおすすめのグリースなどについて解説していきました。

この他にも、電動工具にまつわる知っておきたい知識は、まだまだあります。

ぜひ、この他の関連記事も読んで参考にされてみてください。

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