モーターレンチとは?用途や選び方、メリット・デメリットについて解説します
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配管工事や水道関係の作業には、欠かせない工具があります。その代表格が「モーターレンチ」です。
別名「イギリス」「イギリスレンチ」とも呼ばれており、使いやすさと汎用性の高さからプロがよく愛用しています。
今回はモーターレンチの基本的な特徴と、実際の使用場面などについて解説していきます。
これから手工具を揃えようと考えられている方は、ぜひ最後まで読んで参考にされてみてください。
モーターレンチとは
モーターレンチは、配管工事や水道関係の作業で広く使用される便利な工具です。
別名「イギリス」や「イギリスレンチ」とも呼ばれ、ボルトやナットを締めたり緩めたりするのに適しています。
そしてモーターレンチ最大の特徴は、ウォームギアと呼ばれる調整機構を使って開口部の幅を自由に変えられる点です。(モンキーレンチではありません)
この機構により、さまざまなサイズの配管継手やナットに対応できます。1本あれば多様な作業をこなせるでしょう。
モンキーレンチと似た構造を持っていますが、モーターレンチのほうが口の開きは大きいです。
そのためモンキーレンチでは対応できない大きなサイズの継手や、大きなナットにも使用できます。
またモーターレンチの開口部は柄に対し、平行に広がるのが特徴です。狭い場所での作業にも適しており、多くの場面で役立ちます。
※継手やナットに傷をつけにくいよう、開口部には滑り止めの歯がついていないのも特徴的。
初心者の方でも扱いやすい工具ですが、使用する際は対象物にしっかりと合わせて隙間なく固定しなくてはなりません。
隙間があると外れたり、対象物が破損したりします。
モーターレンチを使用する具体的な場面
水道や配管工事の現場で幅広く活用されるモーターレンチは、以下のような場面で重宝されます。
配管工事での使用
洗面台の下部裏側にある、配水管の継手を締め付ける作業に最適です。水道やお風呂、トイレといった衛生器具の配管時に重要な役割を果たします。
こういった配管は圧力が大きく加わらないパッキンで、気密性を保つ構造です。そんな場面こそ、モーターレンチの特性が活きます。
継手やナットの作業
大きな口径の配管継手やナットの締め付け、緩めに使用します。
モーターレンチはウォームギアで開口幅を自由に調整できるため、さまざまなサイズの継手やナットに対応可能です。
狭所での作業
開口部が一般的なモンキーレンチのようになっている、縦型モーターレンチがあります。
こちらを使用すれば、狭い場所での作業も問題ありません。
たとえば壁際の配管作業や、アクセスが難しい場所での継手取り付けに重宝します。
仕上げ材料の作業
仕上げ加工が施された材料の締付けや、緩めの作業に適しています。
継手やナットに傷をつけないよう配慮された設計なので、デリケートな作業にも安心して使用できるでしょう。
モーターレンチのメリット・デメリット
モーターレンチは配管工事や水回りの作業に欠かせない、便利な工具です。とはいえその特性ゆえに、長所と短所もあります。
どちらも理解し、用途に応じて使用しましょう。
ここではモーターレンチのメリットとデメリットを詳しく解説しました。
メリット
モーターレンチには、下記4つのメリットがあります。
- 優れた汎用性
- 作業対象を傷つけにくい
- 狭所での作業性
- 実用的な機能性
モーターレンチはウォームギアによる調整機構を備えているため、さまざまなサイズの配管継手やナットに1本で対応できます。
とくにモンキーレンチでは対応できないような、大きな開口部が必要な作業でも問題ありません。
※咥えさせる口の部分が平滑な設計になっているため、仕上げ加工が施された材料やメッキ管、化粧ナットといったデリケート部分を傷つけません。
モーターレンチの中でも縦型モーターレンチは、狭いスペースでの作業に適しています。
左右方向に動く下アゴの特性により、狭く作業が難しい場所でも効率的な作業が行えるでしょう。
洗面台の下部裏側にある、配水管の継手締め付け作業に最適。実用的な機能性が備わっています。
またパッキンで気密性を保つタイプの配管作業にも最適です。
デメリット
モーターレンチは便利な工具ですが、いくつかのデメリットも存在します。以下におもな点をご紹介しましょう。
まずモーターレンチはアルミや樹脂製であることが多く、強度が弱い特性があります。
そのため水回り以外の硬い配管やナットに使用すると、変形したり怪我をしたりする可能性も。
口開きが大きいため、全長が長くなるのもデメリットです。水回りの作業は狭い場所が多いため、場所によっては作業がしづらくなることもあります。
基本的にモーターレンチは、あまりトルクの必要ない箇所で使用することが多いです。強い力をかける必要がある作業には適していません。
また構造上ガタが多いため、自動車整備用工具としては使用が難しいです。精密な作業や高トルクが必要な場面も適しません。
一部のモーターレンチでは、最後まで口が閉じないものもあります。小さなものが挟めない問題が生じる可能性もあるでしょう。
最後に、使用前は適切な幅に調整する必要があります。しっかり幅を合わせて固定しないと、ボルトを傷つけて回せなくなってしまう可能性があるからです。
デメリットはあるものの、基本的には優れた工具であることに違いはありません。
モーターレンチとその他のレンチとの違い
配管工事や水回りの作業には、さまざまな種類のレンチが使用されます。
中でもモーターレンチやモンキーレンチ、パイプレンチは代表的な工具といって良いでしょう。
しかしこのレンチ類は一見似ていますが、それぞれ特徴や適した用途が異なります。この項目では似たようなレンチの違いと、適切な使い分けについてまとめました。
モンキーレンチとの違いや使い分け
モーターレンチとモンキーレンチは似た形状をしていますが、いくつかの重要な違いがあります。
開口部の向き
モンキーレンチの開口部は柄に対し、90度に広がります。しかしモーターレンチは柄に対して、平行に広がる仕組みです。
この違いにより、モーターレンチのほうがより広い開口部となっています。
最大開口幅
モーターレンチは、モンキーレンチよりも大きな開口幅を持ちます。
そのためモンキーレンチでは対応できない、大きなサイズの配管継手やナットにも使用可能です。
使用場面
モーターレンチはおもに、水道や配管工事で使用されます。
とくに洗面台の下部裏側にある配水管の継手を締め付けたり、狭い場所で作業したりするのに最適です。
一方でモンキーレンチは自動車整備やDIYと、より幅広い場面で使用されます。
強度と用途
モンキーレンチのほうが一般的に強度は高く、高トルクを必要とする作業にも適します。
対してモーターレンチはおもに水回りの作業向けで、比較的低トルクで済む作業がおすすめです。
両者の使い分け
どちらをどう使ったら良いの?という方に、使い分けをご紹介します。
水回りの作業や大口径の配管作業には、モーターレンチを使用しましょう。
それ以外の一般的なネジ緩め・締め作業や、より高いトルクが必要な場面ではモンキーレンチを選択してください。
パイプレンチとの違いや使い分け
パイプレンチとモーターレンチは似た形状をしていますが、重要な違いがあります。
それぞれ項目ごとに違いや使い分けを見ていきましょう。
口の形状と用途
パイプレンチは丸いパイプを挟むための工具で、口の部分に滑り止めの刻みがあります。
一方でモーターレンチは、配管継手やナットを回すための工具です。口の部分は平滑で、滑り止め加工がついていません。
締め付け方法
パイプレンチは、回すとアゴがテコの原理で閉まっていく構造になっています。モーターレンチはウォームギアを回し、口の開閉を調整する構造です。
※パイプレンチも手動で開口部を調整するギアはあり。
対象物への影響
パイプレンチは対象物に傷がつきやすいのに対し、モーターレンチは傷をつけにくい設計になっています。
この違いはパイプが丸みを帯びているため、滑り止め加工がないと回せないためです。
使用場面
パイプレンチはおもにガス管や水道管の作業に使用されます。
モーターレンチは水回りの配管作業、とくに仕上げ材料の締め付けや緩めに最適です。
強度とトルク
パイプレンチのほうが一般的に強度は高く、高トルクを必要とする作業に適しています。
モーターレンチは比較的、低トルクで済む作業に使用されることが多いです。
材質と重量
パイプレンチは通常鉄製で重量がある一方、モーターレンチはアルミ製や軽量設計のものが数多くあります。
トルクを必要としない作業が想定されているため、モーターレンチは強度よりも取り回しを優先するようです。
両者の使い分けについて
使い分けとしては、パイプの締め付けや高トルクが必要な作業にはパイプレンチを使いましょう。
水回りの配管作業や仕上げ材料の作業には、モーターレンチを選択するのが適切です。
モーターレンチの選び方で大切なポイント
モーターレンチを選ぶうえで、大切なポイントをいくつか紹介します。まず口開きの大きさです。
できるだけ口開きの大きいものを選びましょう。さまざまなサイズの継手やナットに対応できるよう、使用したいナットの大きさに合わせて選ぶと良いですね。
次に重さと大きさを見ましょう。作業性の向上に大きく関わる要素です。長時間の作業や狭い場所での使用を考慮し、適切な重さと大きさを選んでください。
形状も見なくてはなりません。一般的な横開き型と、狭い場所での作業に適した縦型があります。作業環境に合わせて選択しなくてはなりません。
材質はアルミ製のものが軽量で扱いやすい一方、強度は鉄製のものに劣ります。用途に応じて適切な材質を選びましょう。
全長も大切なポイントです。長いものは力を入れやすいですが、狭い場所では使いづらくなります。
最後に用途を見てください。水回りの配管作業や、仕上げ材料の作業に適したものを選びましょう。
ここでご紹介したイントを考慮すれば、自分の作業環境や目的に合ったモーターレンチを選べるはずです。
モーターレンチを買うならオススメしたいメーカー
モーターレンチを選ぶ際、メーカー選びは非常に重要なポイントとなります。
日本には優れた工具メーカーが多数存在しますので、とくに注目したい3メーカーをまとめました。
- トップ工業
- MCC(松阪鉄工所)
- ロブテックス
それぞれのメーカーが持つ特徴や、強みを詳しくご紹介します。
トップ工業(TOP)
トップ工業は新潟に本社を構える老舗の作業工具メーカーで、品質の高い製品を作り出しています。
製品はメッキナットや銅、真鍮、砲金といった軟質ナット類を傷めずに締付け作業ができる設計です。
アゴ部には強度のある鍛造品を使用し、耐久性と作業性を両立しました。
マーケティングから出荷まで全工程を自社で行う、ワンストップ一貫生産を実現。品質管理が徹底されています。
なにより製品ラインナップが豊富で、家庭用の基本的な工具からプロ仕様の本格的なものまで幅広いです。
とくに縦型モーターレンチは15度の傾斜角度により、掘削穴での配管作業性が向上しています。
本体・上アゴともに鍛造品を採用し、強靭で耐荷重性・耐久性に優れた製品を提供。
またバックラシュレスウォームを採用し、スパナ感覚で使用できる製品も展開しています。
MCC(松阪鉄工所)
MCC(松阪鉄工所)は1916年に創業した、100年近い歴史を持つ老舗工具メーカーです。
販売している製品の特徴を見ていきましょう。アルミ合金製のモーターレンチは従来の鉄製品と比べて、約45%の軽量化を実現しました。
とくにメッキナットを傷つけにくい設計で、クイックウォーム機構により素早いサイズ調整が可能です。
なんと日本で初めてパイプレンチやボルトクリッパを製造した実績を持ち、作業工具分野において革新的な商品を生み出してきています。
独自の技術と最新鋭の設備により、確かな品質の工具を提供しているのが特徴です。
さらに世界50カ国以上で製品が使用されており、プロから高い信頼を得られています。
衛生配管や水栓、トラップ管、ロータンクの作業に適した製品を展開中。
企業としても魅力的で、「人を大切にする」という社風が特徴です。有給取得率は全国平均を超える65%以上を実現しました。
品質管理を徹底し、現場のニーズに応える製品開発を継続的に行っています。
ロブテックス(LOBSTER)
ロブテックス(LOBSTER)は大阪に本社を置く、1888年創業の老舗工具メーカーです。
販売している製品には独自開発のX-DRIVE(3点固定システム)を採用し、力の分散により安定した締め付けを実現します。
またバックスラッシュレス機構によりガタつきを最小限に抑え、より正確な作業が可能になりました。
全般的に軽量で扱いやすいアルミダイカスト製を採用しながら、必要な強度も確保しています。
開口部も広く設計されており、さまざまなサイズの配管継手に対応可能です。
なんと2019年のJAPAN DIY HOMECENTER SHOWでDIY協会会長賞を受賞していて、その品質と革新性は高く評価されています。
製品ラインナップはプロユース向けの高性能モデルから、DIY向けの使いやすいモデルまで幅広い製品を展開中。
とくに水道配管工事用のモデルは、狭い場所での作業性を重視した設計となっています。
充実した保証制度と修理サービスも提供されており、長期間安心して使用できる体制です。
まとめ
今回はモーターレンチの基本的な特徴と、実際の使用場面などについて解説しました。
この他にもDIYや電動工具に関する知っておきたい知識は、まだまだあります。
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