カムアウトとは?意味や発生する原因について解説します
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カムアウトはネジ回しの作業中によく遭遇する、厄介な問題です。しかしなぜ、このような現象が起こるのでしょうか。
実はカムアウトの発生には、いくつかの要因が関係しています。
ということで今回は、インパクトドライバーなどで発生する「カムアウト」について意味や発生する原因について解説していきます。
初めてインパクトドライバーを使用する方や、カムアウトに悩まれている方は、ぜひ最後まで読んで参考にされてみてください。
カムアウトとは?
カムアウトとは、ネジを回す際に「ドライバーの先端がネジ頭から外れてしまう現象」のことです。よくプラスネジを締めたり、緩めたりする際に発生します。
これだけだと分かりづらいですので、家具の組み立て作業を例に挙げて説明します。
たとえば、プラスドライバーでネジを締めようとしている際、力の入れ過ぎやドライバーとネジがきちんと噛み合っていないまま作業を行ってしまうことがあると思います。
そのような特定の条件下において、突然「ガッ」とドライバーが滑って外れてしまうことがあります。
この外れてしまう状況のことをカムアウトと呼びます。
ちなみに、カムアウトが発生すると以下のような問題が発生してしまいます。
■カムアウトが発生すると起こるデメリット
- ネジ頭の損傷:再度ドライバーを使用しづらくなる
- 作業効率が低下:ネジを締めるのに時間がかかる
- 怪我の危険性:ドライバーが突然外れて手を傷つけたり、周囲の物に当たったりする危険性
カムアウトを身近な例えで説明すると、滑りやすい氷の上を歩くようなものだと考えられます。
まっすぐ慎重に歩いていれば問題ありません。しかしバランスを崩したり力の入れ方を間違えたりすると、突然足が滑って転んでしまいます。
ネジを回すときも同じで、適切な力加減とバランスが重要なのです。
カムアウトが発生する原因について
カムアウトが発生するおもな原因は、ドライバーとネジの接触面に関する問題です。まずドライバーを押す力が弱すぎる場合に起こりやすくなります。
例えば壁にネジを打ち込もうとしているときに、ドライバーをしっかり押さえずに回すと溝から外れやすくなるでしょう。
ドライバーが斜めになっている場合も原因の一つです。家具を組み立てる際に、狭い場所でネジを回そうとして、ドライバーを斜めに当ててしまうことがあります。
このような状況ではネジ頭の溝にうまくはまらず、滑りやすくなる可能性が高いです。
ネジとドライバーのサイズが合っていないことも、カムアウトの原因になると言われています。
小さなネジに大きすぎるドライバーを使用すると、ドライバーの先端がネジ頭の溝に深く入りません。力を加えたときに外れやすくなります。
※精密機器の修理でとくに注意が必要。
またプラスネジの構造による特徴も関係しています。プラスネジは外側の溝が浅くなっているため、ドライバーが外れやすい設計です。
(ネジを締めすぎないようにする安全機能の一つですが、同時にカムアウトの原因ともなります)
さらにネジ頭やドライバーの先端が摩耗している場合も、カムアウトが起こりやすくなるでしょう。
古い家具や機器を修理する際に、何度も使われて溝が浅くなったネジに遭遇した場合はカムアウトが発生しやすくなります。
最後に、ネジを回す際の力の入れ方も重要です。力を入れすぎたり、急激に回したりすると、ドライバーが溝から外れやすくなります。
固く締まったネジを無理に回そうとして力を入れすぎると、ドライバーが滑ってカムアウトが起こりやすいです。
カムアウトした際のデメリット
カムアウトは、一見些細な問題に思えるかもしれません。しかし実際にはさまざまな面で、作業に悪影響を及ぼします。
ここではカムアウトが引き起こす、3つの主要なデメリットについて詳しく見ていきましょう。
- 作業効率と品質の低下
- 安全性の問題
- 工具と材料の損傷
このデメリットを理解すれば、カムアウト防止の重要性がより明確になるはずです。
作業効率と品質の低下
作業効率と品質の低下は、カムアウトによって引き起こされる重要なデメリットの一つです。
カムアウトは一度発生すると連続しやすく、発生するたびに作業が中断されてしまいます。
家具の組み立てや電化製品の修理、複数のネジを扱う作業では、カムアウトが起こると全体の作業時間に影響を及ぼしてしまうでしょう。
とくに狭い場所や見えにくい位置にあるネジの場合、この再調整に時間がかかります。
カムアウトによってネジ頭が損傷を受けると、ネジの締め付けが不十分になる恐れも。
精密機器の組み立ての場合、ネジがしっかりと締まっていないと性能や耐久性に影響を与える可能性もあります。
万が一ネジ頭が潰れてしまったら、後々のメンテナンスや修理の際に問題が生じる点も見過ごせません。
なぜなら潰れたネジは取り外しが困難になり、場合によっては特殊な工具が必要になるからです。
このようにカムアウトは単に作業時間を延ばすだけではなく、製品の品質や将来的なメンテナンス性にも悪影響を及ぼします。
できるだけ起こさないほうが無難と言えるでしょう。
安全性の問題
カムアウトによる安全性の問題は、作業者や周囲の環境に対して重大なリスクをもたらす可能性があります。
まずカムアウトが突然発生すると、ドライバーが予期せぬ方向に滑ってしまうでしょう。作業者の手や指を傷つける危険性があります。
ドライバーの先端が手に刺さったり、鋭利な部分で皮膚を切ったりすることも。(小さな電子機器の修理、細かい作業を行っている際にはこのリスクが高め)
ドライバーが滑ると、周囲の部品や材料を傷つける恐れもあります。見た目が損なわれるだけではなく、場合によっては製品の機能にも影響を与えるでしょう。
高所作業や不安定な姿勢での作業中にカムアウトが発生すると、バランスを崩して転倒するリスクも高まります。
このような安全上のリスクは、作業者の経験や技術レベルに関わりません。
DIY初心者が家具の組み立てを行う際も、熟練の技術者が精密機器の修理を行う際も、カムアウトによる怪我のリスクは同様に存在します。
なので少しでもカムアウト防止策を講じ、安全な環境を作り出す必要があるのです。
工具と材料の損傷
カムアウトは、工具と材料の両方に深刻な損傷を与える可能性があります。まず工具の損傷について考えてみましょう。
頻繁にカムアウトが発生すると、ドライバーの先端が徐々に摩耗。形状が崩れていきます。
プラスドライバーの場合、先端の十字形が徐々に丸くなり、ネジ頭にしっかりとフィットしません。
ドライバーの使用寿命が大幅に短くなり、頻繁な交換が必要になります。
高品質な工具でも、カムアウトによって損傷を受けやすいです。とくに精密ドライバーのような繊細な工具だと、一度の強いカムアウトで使用不能になることも。
材料の損傷についても重要な問題があります。カムアウトが発生すると、ネジ頭の溝が潰れたり、変形したりするでしょう。
ネジの再使用が困難になると、完全に使用不能となることがあります。
※電子機器の組み立てで使用される小さなネジは、一度カムアウトが起こると溝が潰れて使用不可に。交換が必要になることも多いです。
適切な工具の選択と使用方法を心がけ、カムアウトを防ぐのが何よりも重要と言えるでしょう。
カムアウトを防ぐコツについて
カムアウトは厄介な問題ですが、適切な対策を講じれば十分に防げます。ここではカムアウトを防ぐ重要なコツをいくつかまとめました。
この方法を実践すれば作業効率が向上し、工具や材料の損傷を防げます。
より安全に作業を進めるためにも、具体的なテクニックを学んでいきましょう。
「回す」力と「押す」力のバランスに注意
カムアウトを防ぐ重要なコツの一つは、「回す」力と「押す」力のバランスを適切に保つことです。
具体的にはネジ締めの際、「回す」力と「押す」力の比率を30:70に保ちましょう。全体の30%を回転に、70%を押し込みに使うイメージです。
この比率を意識すると、カムアウトのリスクを大幅に減らせます。
もう少し分かりやすく言うなら、ネジに対して押し付けは強めに。そしてやや控えめに回すイメージです。
ドライバーの先端がネジ頭の溝にしっかりと噛み合い、滑りにくくなります。
ただし押す力が強すぎるとネジや材料を傷つける可能性があるため、適度な力加減を見極めることも大切です。
「軸」をブレさせない
ネジ締めの際に「軸」をブレさせないことは、カムアウトを防ぐ上で非常に重要なポイントです。
軸がブレるとドライバーの先端がネジ頭の溝にフィットせず、力を加えた際に滑りやすくなります。
片手でグリップを握り、もう一方の手で軸を支えれば、安定した操作が可能になるでしょう。
精密な作業を行う際には利き手でグリップを握り、もう一方の手の親指と人差し指で軸を軽く挟むようにして支えてみてください。ブレを最小限に抑えられます。
意外と軸の垂直性を意識できていないと、ブレを確認できずカムアウトしやすいです。意識的に垂直を保つよう意識しましょう。
ほかにも軸をブレさせないコツとして、ドライバーを回す際は手首の力だけじゃなく、腕全体を使って回すこと。手首を使うとブレやすいです。
腕全体を使えればより安定した力の伝達が可能になり、軸のブレを抑えられます。
工具とねじの十字穴のミスマッチに要注意
工具とネジの十字穴は、ミスマッチを起こしているとカムアウトしやすいです。先端サイズをしっかりとあわせましょう。
ネジにはさまざまなサイズがあり、それぞれに適したドライバーが存在します。
例えば日本の規格では、ネジの呼び径に応じて0番から4番までのプラスドライバーがあるのをご存知でしょうか。
小さな電子機器用のネジには0番や1番、家具や建具には2番や3番が使われることが多いです。
ドライバーが大きすぎる場合、ネジ頭の溝に深く入らず、力を加えた際に滑りやすくなります。
逆に小さすぎるとネジ頭の溝にフィットせず、力が分散。どちらの場合もカムアウトのリスクが高まります。
そのためDIYや修理作業を行う際は、さまざまなサイズのドライバーをセットで用意しておくのがおすすめです。
作業前に必ず適切なサイズのドライバーを選び、ネジ頭との相性を確認しましょう。
まとめ
今回は、インパクトドライバーなどで発生する「カムアウト」について意味や発生する原因について解説していきました。
この他にもDIYや電動工具に関する知っておきたい情報は、まだまだあります。
ぜひ、この他の関連記事も読んで参考にされてみてください。
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